クラブ・ワールドカップ(W杯)準々決勝(愛知・豊田スタジアム)でセパハン(イラン)に快勝した浦和は13日、準決勝で欧州王者のACミラン(イタリア)と対戦する。シーズン終盤、立て続けに格下相手に連敗する大失速でJ連覇、天皇杯3連覇を逃した浦和だが、落ちるところまで落ちた末につかんだミランへの挑戦権。“マイスター”、オジェック監督の本領発揮といったところだが、実は浦和を救ったのはインフルエンザだった!?
クラブW杯にアジア王者として日本初出場した浦和。セパハンとの準々決勝では、FW永井、ワシントンらのゴールで3−1と快勝した。
「3点取れたことに非常に満足している。組織力もあり、いいパフォーマンスを全体としてみせられた。この1週間、いい練習をしてきたことが自信につながった」と“歴史的勝利”に自画自賛のオジェック監督。
確かに、シーズン終盤の浦和はボロボロの状態だった。J2愛媛、横浜FCに立て続けに敗れ、アジア王者となりながらも国内では無冠。このまま1年を終わっていれば、オジェック監督の手腕そのものが問われるところだった。
「Jリーグでうまくいかなかった後の1週間、まず最初の2日間、選手に完全なオフを与えた。そして『オフの間にすべてを払拭(ふつしよく)してこい』と選手に話した。そして再集合した1回目の練習では、とても楽しい、すごく楽しみながら5対5でゲームをしたのです。そして、次の日からは集中させて戦術的な練習に入った。リーグ終盤には試合の間に時間がなく、再構築する余裕がなかったから」
試合後のオジェック監督は、いつになく冗舌だった。いつもはドイツ語で話すのが普通だが、FIFA(国際サッカー連盟)の主催大会ということもあって、巧みな英語を使い、時にはまくし立てるように、そして、諭すように力強く話し続けた。
ドイツW杯では、戦術分析をするテクニカルスタディーグループの長を務め、昨年のクラブW杯ではFIFAの技術スタッフの責任者だったオジェック監督。1日の横浜FC戦での敗戦からわずか9日という短時間でチームを立て直した手腕はさすが、と言うべきだが、浦和の勝因はそれだけではない。
実は、開催国枠代替出場のセパハンは、来日して以来、悪質なインフルエンザの集団感染に悩まされていたのだ。
この日も主力選手数人を欠く状態で、ボナチッチ監督は、「今夜はセパハンじゃなかった。みんないい体調ではなく、違うチームだった。いいプレー、結果を出すことができなかった」と悔やむことしきり。もし、セパハンがベストな状態だったら、展開は全く別のものになっていたかもしれない。
とはいえ、体調管理もプロの仕事。セパハンを襲ったインフルエンザの悲劇も、浦和にとっては神風。一つの“ホームアドバンテージ”といえるかもしれない。
ただ、準決勝でぶつかるACミラン相手ではこうはいかない。
「ACミランは疑いようがない世界トップのクラブだ。挑戦するだけではなく、責任を果たすいい試合、いいプレーをしたい」とオジェック監督は気を引き締める。
果たして、自信と誇りを取り戻したアジア王者が、欧州王者を相手にどのような戦いを見せるのか…。浦和の真価が問われるのは、まさに、これからだ。
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