2004.3.20


こっちはSpacedeckである。梱包のために解体した。今日は浜名湖のオコゼさんところにこれを納めに行くのである。オコゼさんところにはSPだけでも4355、パラゴン、L300、ガウス・クアトロウーファーの4WAYマルチなど、まあ、よく一部屋に収まっているもんだ、と思うほどのシステムがある。

オコゼさんの試聴記はpart10で書きたいと思う。

iTunes 8064曲

2004.3.19


導入したのが昨年11月19日であったから、ちょうど4ヵ月で604-8Hが去っていった。上の写真は運び出される直前の最後の雄姿をとらえたものだ。配線をはずしたので、もはやバスレフポートからSPケーブルは出ていない。今度は札幌で鳴らされることになった。次こそは新たな天地で末永く愛用されることを願うばかりだ。

今は元の409-8Eを鳴らしている。4ヵ月ぶりに聴く409-8Eだが、以前と違ってCDPがTL5100だし、604-8H用に購入した御影石のボードの上に設置しているので、なかなかいい音がする。スケール感や低域の量感では604にはまったく敵わないが、同軸配置されたコーンツイーターから出るシンバル音が、なぜかとても小気味良い。仕事をやりながら604のお守りをするのは、時間的に結構キツイところもあった。409-8Eなら気楽に鳴らせるからちょうどいいかもしれない。だいいちこっちではゆっくり聴いている時間がない。

604-8Hの総括であるが、総体的には未完成な部分のあるユニットだと言わざるを得ない。未完成というより、当初の設計に無理があったのではないか?15インチウーファーと1インチスロートドライバの同軸2WAYでは、やはりクロス近辺が苦しい。
既述のように、最後の方で604をウーファーとして使い、ガウスHF4000をミッドに使った。このときクロスを1KHzから2KHzまでちょっとづつ変えてウーファーだけを鳴らしてみたのだが、1KHzならなんとか聴けるが、2KHz近くなると歪みっぽくて音が非常に荒れてきた。当然ALTECでもこのことは承知だったのだろう。604-8Hのオリジナルのクロスは1.5KHzに設定してある。だがこれではこんどはドライバ側の低域が苦しくなってくる。
ウーファー部の低域は大変よかった。515B相当というから、A5のようにまったく重低音が出ないのかと思っていたが、適度に下まで伸び、なおかつハイスピードな腰のある、たいへん無理のない好ましい音の出方であった。もし、次期BigBlockを製作することがあったら、ウーファーは迷わず515Bか515Cを使いたいと思ったぐらいである。
1インチスロートドライバ+マンタレーホーンは残念ながら好みの音ではなかった。2インチスロートドライに比べてエネルギー感に劣るところに加えて、指向性の改善のために音を拡散させるマンタレーホーンでますますエネルギー感がない。個人で使うにはもっとストレートに音が飛んでくる古典的なホーンが好ましい。これはやはり誰でもそう思うようで、UREIは604-8Gのマルチセルラホーンをウレタンコートのもっとストレートなものに変更したし、日本では新井氏が同じような形状のホーンをカリン材で製作していた(これはガウスの同軸ユニット用だったが)。

いろいろ研究させてもらって604-8Hには感謝している。できればずっと持っていたかったぐらいである。コーンにコルゲーションのないスッキリしたウーファーに長方形のマンタレーホーンが突き出したデザインは非常に秀逸である。毎日飽きるほど眺めながら聴くのだから、ブサイクなユニットではダメだ。アルニコマグネットにこのデザインということで、604-8Hはやはり604ファミリーの中でも唯一のユニットである。


NAOKさんにお願いして、急遽100V→230Vの変圧器を作っていただいた。速攻製作なので、ご覧のようにシャーシーむき出し、先のコンセントもむき出しの超危険状態である。へたに触ると感電しそうだ(笑)。230VということでNAOKさんには200V用のコンセントをつけていただいたのだが、Hyperspaceの電源プラグは普通の100V用3Pプラグなので、余っていたPADのコンセントを自分で取り付けた。
いままでのオモチャのような変圧器に換えて、これを電源にすると文字通り「音が激変」する。低域のボンつきが相当改善され、中域のちょっとこもったようなところがなくなり、今まで中低域ばかりが強調されていたテナーサックスがバリバリ鳴るようになった。一音一音の余韻が長くなって、いままでは音がブツ切れだったのが伸びやかに出る。中域のダイナミックレンジが拡がったという表現が妥当だろうか。わかってはいたが、やはり電源の強化は回転系には非常に重要である。
これに加えて604で使っていたCSE R50を入れると、さらに音が変わる。シンバルに厚みが出てアナログらしい重厚感が出てくる。低域も一層締まった。もちろんHyperspaceの売りである中低域の厚みは不変である。音だしから5日、ここまで出れば90%は満足の音と言えるかもしれない。


2004.3.18


試行錯誤が続くHyperspaceだが、昨日ぐらいからなんとかマトモに鳴るようになってきた。もっとも単に耳が慣れて、以前の音を忘れつつあるだけかもしれないが。

現状ではSpacedeck+SERIESXと比べて一長一短である。重厚長大なプラッターのせいか、低域の太いピラミッド型バランスの音なのだが、その分キレに欠けるところがあるようだ。中低域がボワーンと響きすぎてベースの音程が不明瞭であるし、グングンと腰にくるグルーブ感がない。Spacedeck+SERIESXの方が量感では劣るが、聴いていて気持ちが良かった。
ピアノやボーカルの透明度は素晴らしい。立ち上がりも超ハイスピードである。だが、シンバルは分解能が良すぎてシンシンと薄め。はっきり言うと前の方が好みの音だ。もっとも、今は100V→230Vの変圧器もオモチャのような間に合わせであるし、軸受けとシャフトの馴染みもまだまだであろう。アームとカートリッジの相性もいいとはいえない。

回転系の慣らしや、しっかりとした変圧器の導入、SERIESXの追加など、これから音は少しずつ変化していくであろう。ここはじっと我慢の時だ。

2004.3.17

冗談のような絵であるが、これがHyperspaceのマニュアルである。これ以外には、まるで手紙かのようなダラダラと書いた一枚の説明書きがあるだけだ。

Hyperspaceは、いまだ満足には鳴ってくれない。電源、アーム、慣らし、etc。いろいろ調整箇所があって試行錯誤の段階である。
☆ターンテーブル部
●ターンテーブル:特殊合金10kg
●ターンテーブルマット:特殊カーボングラファイト3kg
☆アームベース部
●アームベース:極厚アルミ削り出しベース
●ターンテーブルベース:60mm硬質カバ材HDFベースウッドによるアルミ3点支持ベース
●ドライブ方式:精密24極ロートルク、無振動、シンクロナスモーターによるシングルベルトドライブ
●回転:33 1/3rpm、45rpmの2段階プーリー
●定格電圧:AC100V
●定格周波数:50/60Hz
●カートリッジ適応重量:6〜20g
●サイズ:W490×D380×H260mm
●総重量:30.0kg

2004.3.16


昨夜はなんとかカートリッジを取り付けて音出しができた。結局現用のヘリコンを取り付けたのである。ところが出てきた音は「???」であった。


こうやってアーム単体であれば、カートリッジの取り付けも難しくない。今までは、こういうシェル一体型のアームでも、ターンテーブルについた状態でしかカートリッジを取り付けたことがなかったのだ。
まいどおなじみのオーバーハング調整。このシュアのゲージが一番使いやすい。
付属していたN・A・S・のレコード状のものは、インサイドフォースキャンセラー調整用の無溝レコードではなくて、単なるダストカバーであった。なかなかユニークな考えである。
前後左右の水平も水準器でキッチリだす。アームがスタティックバランスなので今回は慎重におこなった。シリーズXのようなダイナミックバランスアームだと、この辺は適当でよいのだが・・・。


2004.3.15

Hyper Space用の100V→230Vの変圧器が届いた。正確には110V→220Vであるが、なんとか使えるであろう。左はオマケについてきたプラグのユニバーサルアダプタ。イギリスや香港などでは日本やアメリカとはプラグ形状が違うので、こういうのを介して接続しなければならない場合がある。
Hyper Spaceは普通の3Pプラグであったので必要はないが、実はHyper Spaceには電源スイッチがないので、このアダプタについている電源スイッチが役にたちそうである。

黒ポストさんの話では、日本仕様のNottingham Analogue Studio製品についている黒い電源BOXは中味はなにもなくて、ただの電源スイッチしか入っていないらしい。結局モーター内部で電圧を制御しているようである。だからこの黒いBOXにインシュレータなんかひいてもなんのご利益もない、ということだ。

2004.3.14


新しいアナログターンテーブル Nottingham Analogue Studio "Hyper Spacedeck"が届いた。香港直輸入、英国本国仕様である。いわゆる並行モンというやつだ。正規輸入品との違いは(おそらく)電源電圧が230Vであるというだけである。

販売店は昌業影音香港支店。購入価格は内緒だが(笑)、国内価格120万よりは大幅に安かった。ここのHPを見るとSME SERIESXなども扱っており、価格は19500元などとなっている。昨日のオークションの、中古で本体のみのSERIESXを25万も出して買うことを考えると、香港に旅行に行って購入し、手荷物で持ち帰ればたいへんお買い得である。こういうものに関税がかかるのかどうかは知らないが、成田の税関だって大人しい顔をして善良な市民を装えば、たいていはフリーパスで通してくれるから問題ないであろう。

ところで、このHyper Spacedeckであるが、現用のSpacedeckとの違いは、プラッターが重量10kgの特殊合金製。その上に乗るマットがわりのシート(?)が重量3kgのカーボングラファイト製というだけである。見る限りモーターも同じだし、アームも同じである。これで国内価格(Hyper120万 Spacedeck40万)の差だけの価値があるのか疑問だ。おそらく軸受けなんかの強度もだいぶ違うのだろう。このへんにコストがかかっているのだろうが、いずれにしても80万もの差があるとは思えない。これは国内価格が異常に高いために、上級機ほど割高になっているためである。本国価格ではこれほどまでの差はない。
もしかしたらアームパイプはカーボンファイバー製で、Spacedeckのもとは違うのかもしれない。だが形状は記憶にあるSpacedeckの純正アームとまったく同じである。これがまた、たいへん使いにくいシロモノで先が思いやられる。リード線は細くてすぐ切れそうだし、オーバーハングもカートリッジを直接シェル上で移動させて調整するタイプだし、針圧調整も動きの渋いウエイトを(回すのではなく)指で押したり引いたりして合わせなければならない。目盛りもないので針圧計は必携だ。インサイドフォースキャンセラーもあるが、これも聴感で決めろということなのか、なんの目盛りもない。ただ写真のようなN・A・Sのレーベル入りの無溝レコードが付属しているので、たぶんこれでインサイドフォースキャンセラーは調整するのだろう。だが、どっちにしてもSME SERIESXのシステマティックな調整方法とは雲泥の差である。

これを使うには100V→230Vに変換する変圧器が必要だ。あたりまえだがカートリッジもいる。計画では現用のSERIESXを1本移植してダブルアームにしようと思っている。そのためにはHyperspace専用のSMEアームベースが必要だが、おそらく注文輸入になるので3ヶ月ぐらいかかるかもしれない。その間は、この使いにくいアーム1本でいかなければならない。カートリッジは結局ヘリコンしか使わないに決まっているので、今回はふたつともヘリコンというお馬鹿なことをやってみるつもりである。そうすれば、この出来損ないのアームの実力もはっきりとわかる。それにMCカートリッジは針交換ができないから、何年も経ってから針がダメになった時にヘリコンを製造してなかったらお手上げである。予備としてもうひとつ持っているにこしたことはない。
その時は「針交換価格」という市価より安い値段で新品と交換してくれるそうだが、いくら新品でもモデルチェンジしてしえばどんな音なのか信用できない。同じライラだからといってパルナサスD.C.ような失敗作もあるのだ。パルナサスD.C.はチタンボディでヘリコンより上級モデルだが、音は最悪である。甘ったるい人工的な音で、私は過去に購入して即日ヘリコンに交換してもらった経験がある。こういうものは製作者のその時の気分で音が決まるから、モデルチェンジすればもう同じ音は得られないと思って間違いはない。

まだ変圧器もないし、ヘリコンもないので今日は組み立てて写真を撮っただけである。明日からボチボチやっていこうと思っている。

2004.3.13

最近出番がとんとないが、ガラード401+SME3012Rで使っているEmpire4000D/V用の交換針を入手した。純正新品の超貴重品である。
一ヶ月に1時間ぐらいしか聴かないので、200時間もつとして10年以上はこれで安泰というわけだ。古いJAZZを真剣に聴くときは、やはりSPU-Aを使うが、軽めのピアノトリオなんかを聴き流す時はこっちの方が良い。
MC型のような切れ込みの鋭さはないが、SPUよりはレンジが広くてピアノが美しく鳴る。Shure V15Vのような寝ぼけた音では決してない。

オークションにSME SERIESX(もちろん中古)が出ていたので、成り行きを見ていた。SERIESXの最終価格も気になるが、出品者が四国の業者で、過去に私がインチキをやられたことがあったからである。終了間際に自分の別IDで吊り上げをしてきたのであった。その別IDの評価を見ると、マヌケにも同じバックで撮った写真を使って出品しているので、すぐにわかって入札を降りた。結局吊り上げが行われる直前より5万円ほど値段が上がって終了した。ところがオークション終了5分後ヌケヌケと、

「キャンセルになりました。次点なので買ってください。」

とメールが来た。筋書きどおりである。私もとぼけて

「キャンセルした落札者が値段を上げなければ¥○○で落札できたはず。この値段なら買う」

と返事を出した。ここで向こうが了承すれば私も面倒だから穏便にすますつもりであった。そうすると、なんと

「¥△△でないと赤字になります。この値段で買ってください」

赤字になるかどうかなんてのはこっちには関係ない。それなら最初からその値段でスタートするべきである。入札を増やして注目を集めるために¥1000とかでスタートするからには、そのリスクも覚悟すべきであろう。ま、インチキ吊り上げをするような業者にはこんな常識も通用しないが。
だが今回は相手が悪かった。なんせ私はオークションのプロである(笑)。そこまでわけのわからないことを言うのなら、ハッキリ言うしかない。

「あんた、全部バレてますけど。このオトシマエどうつけてくれるん?今はインターネットの時代。こんなことネットでばらせば、あんたとこ商売上がったりでっせー。なんせ、こっちには500人からのオーディオ仲間が全国におるさかい」

というわけで、こっちの言い値で売らせて、その時は一件落着したわけであった。

今回のオークションを見ていると、やはり「新規」だとかの怪しげなIDが終了間際に乱入してきて、¥90000があっという間に¥250000になってしまった。いくら新品が¥44万だといってもSERIESXの中古が¥20万を超えたことはない。限りなく黒に近い灰色といったところであろう。

2004.3.12

突然ではあるが、604-8Hを手放すことになった。604-8Hがイヤになったわけでは決してない。新たな機器の購入のための資金作りである。再三書いているように、ALTECのウーファーをバスレフ箱に入れた時の低音は絶品である。できればもっとセッティングを煮詰めてみたかった、というのが正直なところだ。

新しく来ることになった機器については来週早々にも明らかにできると思う。今はまだちょっと中途半端な状態なので、公表は差し控えたい。


日本ゼネラルモーターズ株式会社から突然このような小冊子が送られてきた。どうやらコルベットとキャデラックの専門誌らしい。たいした内容はないが、新型次期コルベットC6の記事には興味を惹かれた。
スタイリングは現行のC5とあまり変わらないようであるが、リトラクタブルヘッドライトを廃して普通のライトになっているのが特徴だ。その分ノーズがややスマートさに欠けるような印象である。

エンジンは現行のLS1を拡大して6000ccにしたLS2。相変わらずのOHVであるが、なんとか400hpの大台には乗せてきた。コルベットがOHVに拘るのはDOHCなどのヘッドを開発する技術がないからではない。もちろん単なる懐古趣味でもない。カムシャフトがエンジンブロックの中にあるOHVだと、シリンダーヘッドがコンパクトに設計ができ、エンジン全高も低くできる。同時にエンジンの重心も低くできる。ボンネットもその分低く出来て空気抵抗にも有利である。長いプッシュロッドを介してバルブを駆動するから高回転向きではないが、その分を大排気量で補う。いかにも物量投入のアメリカンらしくて小気味良いではないか。

iTunes 7940曲

2004.3.11

そろそろ期限が迫ってきた。何が?って、確定申告である。「かくていしんこく」。例年のことであるが、これは3月の10日を過ぎないとやる気が起きない。締め切りが迫れば迫るほどやらねばならぬという強迫観念に、快感さえ覚える。きっとMなのであろう(笑)。自慢じゃないが、2月15日に一番乗りなどというのは、これから先も一生無いと断言できる。

私のような零細自営業者には税理士を雇うなどという無駄は許されない。毎月の顧問料3万円+申告時20万=年間56万もあれば、立派なプリアンプが余裕で(中古だが)買えてしまうではないか。おまけに税務署が調査に来た時には、彼らは厚顔にも立会い料だとか修正申告代などを請求してくる。そんなもん、あんたが作成した申告書が悪いから発生するんやないけ。なんでオレが払わないかんのや、こんな無駄なことはない、というわけで数年前から申告は自分でやることにしたのだった。毎年ご丁寧にも送りつけてくる申告書の封筒にも「申告書は自分で書いて提出はお早めに」と書いてあるではないか。

たいした入出金があるわけでもないから、こんなものやってみれば簡単である。幸いにも今年は14日が日曜だ。14日に一気に仕上げてしまおう。余裕である、余裕(爆)。

去年税務署に呼びつけられて発見したのだが、税務署内のドリンク自動販売機は缶ジュース、缶コーヒーなどすべて80円であった。おそらく地元業者に無言の圧力がかかった結果なのであろう。国家権力の恐ろしさをみせつけられた瞬間であった(笑)。

2004.3.10

iPODがついに容量一杯になってしまった。結局7795曲入った。最後はどういう形で終わるのか、ちょっと興味があったのだが。こういうメッセージが出て終了を告げられた。

17.8MBも余っているのが気に食わないが、これからはBGM用にさらにiTunesに転送をしなければならない。あと4000曲はDELLのHDには入る予定である。これでようやく2/3まできたにすぎない。


上の写真の本は、恵太クンにもらった楽典である。楽典とは民間人には聞きなれない単語であるが、要するに「音楽理論」のことだ。楽譜の読み方といっても良い。例えば、


「音程」といえば、オーディオでは音の高さのことである。だが、本当の「音程」の意味は上のように、二つの♪間の音の離開度をいう。ちなみにこの音程名は「長3度」である。JAZZやROCKでも7thとか11thとかのコード名が出てくるが、その7とか11が音程にあたる。ま、こんなことがわかったからといって演奏技術が向上するわけではないが、何事も基礎が肝心、譜面も読めないようではいざというときに赤っ恥をかくことになる。

2004.3.9

またまたCARDAS GOLDENCROSSを入手した。今度は1.5mバランスである。新品定価はなんと\227,000。ショップで買えば中古でも\100,000はするだろう。
ところが、これが希望落札価格\85,000のところがなぜか\45,000で終了してしまった。日曜の夜9時以降はヤフーはつながりにくくて入札も苦労する。7時頃早めに入札して、ヨッパケテ(小樽的表現?)仮眠をとっていたら、この値段で終了していたのである。たまにこういうお買い得があるからオークションはやめられない。

3WAYマルチでいいところまでいった604-8Hだが、やんごとなき事情があって(今は内緒)、実は日曜日に解体してしまった。FAST C10Uを自宅で試聴するために、それまで使っていたCARDASのピンケーブル(CROSSとQUADLINK)もはずしてしまったのだが、月曜一日音なしで過ごすと、やはり音が出ないのは寂しい。そこで今日は久々にオリジナル2WAY(といってもマルチアンプだが)604-8Hの接続で聴いてみた。
だが、実はエアー・タイトのパッシブATTもすでに手元にはないので、プリはTRIO L-07CUである。チャンデバも以前のようにベリンガーとF20のダブルにするのは接続が面倒なのでベリンガー1本にした。L-07CUは低域が不満、ベリンガーは高域が荒い、というのが以前の印象だったが、この組み合わせだとなかなか良い。L-07CUのしっとりとした中高域とベリンガーのエネルギー感ある高域がうまくマッチして、ガウスコンビ(HF4000+1502)の中高域に迫る音を出してくる。そうなるとなぜか不満だったL-07CUの低域も悪くはない。もともと604の低域はJBLなんかのボワンボワンした、だらしのない緩い低域とは違って、気合いが入っているからこれなら不満もない。そろそろ遊びはやめて、この路線で固定するべきかもしれない。

これにも関係あるのだが、604-8Hの低域に馴れてくると、最近どうもBigBlockの低域に不満が出てきた。2231Hは下まで十分伸びているのだが、いかんせん反応が遅くて、音像が不鮮明になりがちである。2231Hは贅沢にもAMCRON2台で4発独立駆動しているので、世間一般の2231や2235よりはよっぽどマシではある。だが、それでも604-8Hの引き締まった反応の速い低域と比べると、どうしても少し不満が残る。
2231Hに換えて515Bなんかを入れれば最高に違いない。だが、ALTECの15インチウーファーは口径が大きくてBigBlockには入らない。後から手作業で口径を拡げるなんて、私のような素人には不可能である。新たにボルト穴も開けなおして鬼目ナットも打ち込まなければならない。到底不可能だ。
となると次善の策として、再びガウス4583Aが浮上してくる。4583Aから2231Hに交換して約半年、実体感の薄い人工的な低音に飽きてきたというのもある。ガウスの腰のある、あの暴力的ともいえる低域がそろそろ恋しくなってきた。

2004.3.8

この本は昭和57年発行の「ホーン型・同軸型スピーカーシステム研究」(誠文堂新光社)である。「無線と実験」誌からホーン型や同軸型のスピーカーの記事を集めたものらしい。
この中に、当時パイオニア在籍中の木下正三氏(現レイ・オーディオ)の「ホーンとホーンドライバーの使いこなしノウハウ集」という興味深い記事があった。
ホーンやコンプレッションドライバについての技術的解説は最近ほとんど見ることがなくなったので、これは大変貴重な記事だと思う。

その中に「ショートホーンとフルサイズホーンの違い」という項目がある。以下、要約抜粋である。

「フルサイズホーン」の定義は左図のように拡がり角が45°のところで切断したものだ。それ以上大きくしてもホーンとしての効果はあまり変わらない。逆に、これ以上短くカットしたものを「ショートカットホーン」という。
左の図は一般的なエクスポーネンシャルホーンの断面図である。これから判断するに、あの大きなゴトーのホーンですら、とてもフルサイズとは言えない。JBL HL93などほんの根元しかないことになる。これで一体どれぐらいホーンとしての効果があるのだろうか?
この図はホーンの長さを変えたときに周波数特性がどう変化するかを調べたものだ。Aがフルサイズホーン長である。Cのようにフルサイズの半分まで短くすると、さすがに低域が苦しくなる。@のようにフルサイズより大きくすると反射が抑えられ、特性のアバレが少なくなる。一方、ショートカットホーンは反射が大きく、低域再生レベルが低いため、ハイ上がりの特性になる。だが、(指数関数であるから)開口が極端に小さくなっているわりには帯域は広い。当然指向性は良いし、短い分カットオフ近くで位相変化が少ないという、中高域用のホーンとして優れたところがある。
これは、ホーン長を一定にしてカットオフ周波数を変えたものである。ちなみにカットオフ周波数とは、(たしか)フルサイズホーンで3dBレスポンスが落ちる周波数のことである。だから指数関数的に同じ方程式から導かれるのなら、フルサイズホーンをカットしたショートカットホーンも計算上はカットオフ周波数は同じである。@の方がホーンらしい形をしているが、実際はBの大型ホーンを短くカットしたものの方が低域限界は高い。だが、比較的高い周波数に限定すれば@の方が特性のアバレは少ない。ここでの結論は極端にカットオフを下げたショートホーンは使いにくいというものだ。
こんどはホーン開口部の直径を同じにしてカットオフを変えた場合である。間違えてはいけないのは、この場合、長いBの方が(形状的には)ショーカットホーンということである。@の方が短いが、これはカットオフの高いフルサイズホーンに近いものである。ここでの結論は、小型だがフルサイズの理想形より、より大型ホーンをカットしたもの方が、やはりホーンとしての動作は優れているということである。(左図で)同じ650Hzまで使うとすると@は急激に位相が変化する帯域に入ってしまう危険性がある。Bならまだ余裕がある。

フルサイズホーンのよい点は、帯域内で平坦なエネルギーレスポンスが得られ、特性も滑らかなことである。音質上は厚みのある鳴りの良い音で雰囲気の再現に良い。ショートホーンも(条件次第で)小型の割に再生帯域が広く、位相特性も素直といった利点がある。ややハイ上がりとなるため、音質上も解像度の高いしっかりとした傾向がある。ただし使用するコンプレッションドライバが十分強力なことが前提である。

iPOD 7708曲 残り453.1MBである。

2004.3.7

今日は何の日かおわかりだろうか?何を隠そう、当HPの一周年記念日なのである。陳腐な言い方だが、一年の経つのは速いものであるし、我ながらよくここまで続いたもんだと感心している。


一年前の最初の書き出しを読むと、結構緊張してマジメに書いているので笑ってしまう。お察しのとおり、気の利いた文章など書く能力も才能もないが、ここは「ナニワのド根性」でなんとか続けてきた。基本的には大雑把で飽きっぽいくせに、妙なところでしつこい性格なのである。いろんな人に見られていると思うと、エエカッコをしたいという虚栄心が旺盛なのかもしれない。誰にも見せないようなDialyなど、きっと絶対に続かなかったに違いない。

というわけで、当分はこのHPも続く。実は別に一周年記念というわけでもないのだが、新しいProjectが密かに進行中なのである。近日中に詳細を公開できるかもしれない。

HARD OFFでAMCRON MA2402発見。税込み¥210,000。特に.傷も見当たらないなかなか美品であった。ちなみに新品はサウンドハウスで¥249,000(税別)。¥50,000安いのは微妙なところだ。あと1割ぐらい値引きしないだろうか?
これはヤラセではない。さっき、4時間ぶりにトップページを開いたら、偶然150000番であった。ちょうど一年目の日にカウンタが150000というのも不思議なめぐり合わせであるし、それを主催者がたまたまゲットするのも不思議な縁である。

2004.3.6

今日届いた二品。アキュフェーズF25用のラインアンプユニットLA-25とミルトン・ナシメント「センティネラ」のCD。

去年オークションで根こそぎ集めたので、周波数ボードを装着するフィルターアンプユニットは一杯あるが、それとペアになるLA-25は7つしか持っていなかった。BigBlockが4WAY、A5は2WAYなので、6個あれば十分なのだが、「備えあれば憂いなし」の格言どおり、どちらのF25も4WAYまでフルに対応できるようにしておいた方が精神安定上よろしい。

このミルトン・ナシメントの最高傑作盤はアナログは持っている。HMVを見ていたらCDも出ているようなので注文したのだが、ブラジルから直輸入したようで、届くのに5ヶ月もかかってしまった。
このディスクはもう20年以上聴き続けているので、どんな音かは知り尽くしていると思っていた。だが、今日C10Uをつないだ604-8Hで聴くと従来のイメージとはだいぶ違う。こんなに音が良かったか?というくらい低域がガンガンくるし、声も素晴らしく滑らかだ。シンバルも昨日は薄いと感じたが、今日は艶やかにキレイに鳴っている。604-8Hがこんなにいい音で鳴ったのは初めてだ。これはやはりC10Uの威力であろう。
試しにエアー・タイトのパッシブATTに戻すと、中高域が荒くて声がギスギスして聴こえる。低域の量感は互角である。だが、両者を比べると、エアー・タイトの方はなんとなく抑えの利いていない蛇口全開のような大雑把な音に聴こえる。やはりプリアンプにマトモなものを使わないと、どうやってもマトモには鳴らないのか、というのを改めて実感した瞬間であった。

もうひとつ試しに、このCDを自宅に持ち帰ってBigBlockで聴いてみた。こっちも低域から高域まで文句なくバランス良く鳴るが、声の質感という点ではC10U+604-8Hに軍配が上がる。ドラムも量感はBigBlockの方があるが、抜けのよさでは604-8Hだ。なんか日によって言ってることが違うような気もするが(笑)、ソースによって印象も違うし、604-8Hはほぼ毎日セッティングを変えているので仕方がない。だが、これでプリアンプさえきまれば604-8Hもなかなかイケルというのが見えてきた。

2004.3.5

早速FAST C10Uを持ちこみ、604-8Hで試聴してみた。電源投入後1分も経っていないので、ちょっとボケ気味の曇った音である。特に高域は明らかに落ちている。

そこで我慢して4時間程通電したのち再度聴いてみた。たまたま手元にあったスティーリー・ダン「ロイヤル・スキャム」リマスター盤をかけると、いきなりエレキベースがゴーンと来てちょっとビックリした。低域のドライブ力が結構あるという印象である。エアー・タイトも低域がダイレクトで力があると思っていたが、C10Uの方がグイグイとくる。弾力があってノリが非常によろしい。この点はとても気に入った。中高域はやはりマイルドだ。球らしいといえばそうだが、あまり音に厚みがあるようには聴こえない。シンバルが遠く薄くなる。

まあ、特に際立った特徴のない、ちょっと高級なプリという印象ではある。604-8Hは毎日どこか弄って音が変わっているので、実はどれがホントの音か自分でもよくわからない。やはり、再度家に持ち帰ってLUXMAN C9やMclintosh C100Aと聴き比べないと本当の実力はわからないであろう。

恵太クンに借りた、小澤征爾「ベートーヴェン交響曲全集」。CD6枚組み+DVD1枚(第九のみ)である。演奏はサイトウ・キネン・オーケストラ。このコンビは今まで聴いた感じでは、実にわかりやすい解釈で素人には聴きやすい。往年のカラヤンと同じで一般大衆受けのする演奏である。
ベートーヴェンのシンフォニーではやはり第九が一番好きだ。1時間以上の演奏時間を感じさせない密度の高さがある。恵太クンによるとベートーヴェンには10番目の交響曲もあって「なくした小銭入れのなんとか・・・」とかいうふざけたタイトルらしい。未確認情報ではあるが、東京芸大卒の恵太クンが言うからには本当のことなのであろう。
ところで2002年録音という、最新のこの小澤指揮、サイトウ・キネン・オーケストラの「第九」を聴いてガッカリである。テンポがやたら速くて落ち着きがない。私のような素人が演奏する際、テンポに遅れないように必死についていこうと演奏してるのと同じように個々のパートに余裕がないように感じられる。要するにコンピュータが譜面どおりに演奏しているかのような情感のない演奏なのである。おまけに最近の録音のくせに音が非常に悪い。練習不足なのか、小澤の力量がこの程度なのか、愛聴盤であるアナログのカール・ベーム指揮の古い(1960年代?)録音には遠く及ばない。これも音は相当悪いが、演奏が素晴らしいのであまり気になったことはない。あまりにつまらないので途中で聴くのをやめてしまった。

ついにiPODの残り容量が1GBを切って845.2MBになってしまった。あと200曲ぐらいしか入らないことになる。8000曲は無理であったようだ。

2004.3.4

盟友、小樽の黒ポストさんから試聴用にFAST C10Uプリアンプを送っていただいた。初段に管球ECC83(5751)を使ったハイブリッドプリである。パワーアンプのM300とあまり変わらない堂々たる大きさの筐体だが、実は案外軽くて5kgしかない。これにはちょっと拍子抜けした。もうちょっとガッシリした筐体に入れて振動対策などをした方がいいと思うのだが。

初段の球はムラードが入っているらしい。このほかにTELEFUNKENとJAN5751も一緒に送っていただいた。差し替えて音の違いを確かめろ、ということである。
正直こういうのはちょっと苦手。TU-873やAudion300Bで、6SN7GTや300Bを差し替えて試聴したことがあるが、あまり違いはわからなかったのだ。

iPOD 7573曲

2004.3.3


今日は気合を入れてツイーターの聴き比べをやった。GAUSS1502、JBL2405、604-8Hのドライバ(802-8G相当?)の三つである。
結論からいうと1502が一番良かった。これはちょっと予想と反するが、2405だと音が大人しく綺麗になり過ぎた。BigBlockの場合は2450Jとの組み合わせでお互いに歪みっぽくない美音系でまとまっていたが、HF4000の荒っぽい中高域には1502ぐらいの荒さが丁度良い。604-8Hのドライバ部も荒っぽいが、こっちはマンタレーホーンの影響か、どうしても音が薄っぺらくなってしまう。シンバルの厚みが出ない。
その点1502だと音が太くて「チャリチャリ」っとした音が出る。クラシックにはとても向かないが、JAZZ、ROCKにはこれが一番いいようだ。

ツイーターの調整過程で発見したのだが、DEQ2496のPEQで8KHzあたりから上をブーストしてやると、サックスやヴォーカルが生き生きとしてきた。クロスは変わらず9.3KHzである。HF4000は公称13KHzまで延びていることになっているが、おそらく5KHzぐらいからダラ下がりなのであろう。8KHzからブーストすることによって1502とのつながりも良くなるようだ。
だが、5KHzから上が苦しいからといってクロスを下げてはいけない。この手のホーンツイーターは7KHz近辺で汚い音を出すので、ここを避けるのがセオリーである。クロスは高いほどいい。できれば10KHz以上で使いたい。

自宅に「Miles In The Sky」を持ち帰って、比較のためBigBlockで聴いてみた。604-8Hで毎日耳にタコが出来るほど聴いているので、両者の違いはたいへんよくわかる。一聴してBigBlockの方がワイドレンジ。重心が低くて、上が上品である。解像度や分解能にも格段に優れている。
だが、ロン・カーターの弾くエレキ・ベースは604-8Hの方が締まって音程がわかりやすく、ノリも良い。BigBlockでは重低音まで出すぎてやや不鮮明なところがどうしても出てくる。マイルスやショーターはBigBlockの方が荒々しいところもまったく無く、艶やかで文句のつけようがない。音像のスケール感でも500Hzからホーンを使っているBigBlockの方がが優れているようだ。

iPOD 7485曲

2004.3.2

DW'Sで話題になっている、インターネットのスピードテストを自宅で行ったら14.96Mbpsしか出ない。同じBフレッツ・ベーシック(公称40Mbps)のところだと、同じ計測ソフトで測ったら33.18Mbps も出ているらしい。頭にきて、早速NTT113番に苦情の電話をいれた。PC周りの環境によって多少の違いは出るだろうが、15MbpsごときではADSLにもへたすると負けるではないか。これではわざわざ光ファイバーの、しかも最速のベーシックにした意味が全然ない。なんといってもベーシックは月額料金が高いのである。

電話による抗議の結果、インターネット一時ファイルが溜まりすぎているのではないか?ということで、これをクリアしてみた。やはり相当溜まっていたようで、クリアするのに10分ぐらいかかった。ISDNの遅い時代からの慣習で、キャッシュが多い方がアクセスがちょっとでも速いという固定観念に縛られていたせいである。一時ファイルに関する設定でファイルサイズを大きく取り過ぎていたのが原因であった。一時ファイルを削除した結果はというと、サイトを開くスピードが上がり、体感ではたしかに相当速くなったのがわかる。だが、再度計測してみたが、やはり15Mbps程度であった。
NTTに指定されたフレッツ・スクエアで計測すると25Mbpsぐらいは出ている。計測ツールで速度に差が出るのは仕方がないが、同じ条件で二倍も差があった上記の例はやはり納得がいかないところではある。


1997年製の古い3Dグラフィックソフト「Ray Dream Studio 5」が出てきた。今日はJBL2405やGAUSS1502を接続して鳴らしたが、このソフトで遊んでいたため全然真剣に聴いていない。明日は真剣に試聴しようと思っている。
Ray Dream Studio 5を使うと、こんな3Dロゴも簡単に(?)できる。オブジェクトをモデリングし、シーンに配置する。ライティングを考慮しながら照明を設置し、どの位置から描画するか?カメラ位置を決めて計算させる。2048×1366ピクセルの画像だと1分ぐらいで計算が終わる。97年当時のPCの能力だと、たしか半日ぐらいかかった記憶がある。
   カメラ位置を変えて視点を変えるとこんなのもすぐできる。              
しつこく、もう一丁

2004.3.1

      突然だが、最近物欲をそそる2台がこれ↑今までの経験からすれば絶対にいい音がするに違いない

注文したカナレ4S6がまだ届かないので1502や2405を接続できない。そこで次はAIDEN AT-7000をつないでみた。これはSPケーブルをハンダづけしてあるのですぐに使用できる。

これはA5でもダメだったが、やはり604+HF4000にも合わなかった。根本的に体力が違うという感じである。604やHF4000の持つ強力なエネルギー感にはまったく歯が立たない。
最初、音がこもった感じがしたのでHiのレベルをどんどん上げていったが、「シャラシャラ」とした音が増えるだけで一向にシンバルらしい音がしない。まったくホーンらしくないツイーターである。これは永久にお蔵入りである。
これは1962年11月のヨーロッパツアーのライブである。すでにDolphyはいない。この中の「I Want To Talk About You」が絶品。演奏も良いのだがトレーンのテナーがこの上なく美しく録られている。昨夜久しぶりにA5で聴いて、あまりの音の良さに身の毛のよだつ気がした。今日604-8Hで聴いたら、やはりそこまでは無理なようで、音は一段落ちる。1KHz以上までウーファーに持たせているせいで中域の分解能が劣るようである。
おとといのウエイン・ショーターのテナーは絶品だったが、さすがにトレーンは手ごわい。だからといって500Hzからコンプレッションドライバに持たせようとすれば、結局大袈裟なホーンが必要になってくる。三つとも同じような構成では面白くないので、604-8Hにはそこまでやる気はない。
午後になってカナレ4S6ケーブルが届いた。いつものことだが「ゆうパック」は届くのが遅い。前日の夕方までに発送すれば、ヤマトだと次の日の朝一に届く。「ゆうパック」はたいがい午後である。やはり親方日の丸体質が染み付いているのであろう。はやく民営化するべきである。

これでJBL2405が使える。が、時間がないので試聴は明日になるか?

iPOD 7401曲

2004.2.29

今日はてっきりもう3月かと思っていたら、まだ2月であった。一日多いということは、その分稼動日数が増えるので、稼ぎが増えてとてもいいことだ(笑)。もっともノルマのないサラリーマン諸兄には逆かもしれないが。

昨日は土曜日なので忙しくて時間がなかった。仕事の合間の(というか無理やりサボって)5分、10分を使って配線の引き回し、音だし、レベル合わせをやったのである。おまけにひっきりなしに電話がかかってくるので満足に1曲すら聴くことができない状態であった。午後7時過ぎにようやく仕事終了。8時に約束があったので30分だけゆっくりと試聴することができた。

ホリー・コール「Don't Smoke In Bed」から1曲目「I Can See Clearly Now」を爆音で聴く。相当の爆音である。以前訪問したことのあるマスタリングスタジオで鳴らしていたラージモニタと同じぐらいの体感音量である。これ以上出すと耳がヤバイというぐらいの音量だ。いきなり冒頭のウッドベースでノックアウトされる。スケール感、弾力感、量感とも文句なし。楽器の輪郭がよりクリアーになり、質感を鮮明に出してくる。これならBigBlockといい勝負だ。ホリー・コールの声も素晴らしい。しなやかで艶のあるヴェルヴェットタッチのデリケートな声の質感や細やかな表情も明瞭に描き出されるため、濡れたような唇で囁く様子までもイメージでき、とても官能的である。

よく言われることだが、ツイーターを追加することは、単に高域の再生レンジを広げるだけではなく、結果的には中域、さらには低域の品位の向上をも見込むことがができる。とくに低域の改善効果が大きく、より素直になり、反応も機敏になることが多いのである。

これは、やはりウーファー+1インチドライバなんかとは勝負にならないポテンシャルを秘めている。Miles In The Skyの「Stuff」でも高域の荒さが極端に少なくなり、マイルスのトランペットも独特の艶や輝きを放ちながらも刺激的にならず、先端までのびやかに吹き上がって美しい。まるで金属製のリードを使っているかのような、ショーターのゴリゴリのテナーも、耳に不快な部分だけキレイに取り除いたかのうように美しくかつ極太の音色で迫ってくる。それでいて音像はシャープで決して大きくなりすぎるようなことはない。

というわけで、とてもいい感じで鳴ったのだが、時間がなくてこの2曲しか聴けなかった。明日はGAUSS1502とJBL2405を使ってみる予定である。



iPOD 7294曲

2004.2.28

いよいよツイーターを足して3WAYに挑戦である。前述のGAUSS1502やJBL2405も当然候補であるが、予備実験として604-8Hのドライバ部をツイーターに使って3WAYにしてみた。ホントはSPケーブル忘れてきたので追加のツイーターを接続できなかったのであるが(笑)。チャンデバはベリンガーCX3400、クロスは1KHz、9.3KHzである。ツイーター用のアンプはTU-8730をとりあえず使用する。

9.3KHzという中途半端な数字はCX3400の限界がこれなので仕方がない。1インチ系の安っぽい音を払拭するには、ホントはもうちょっと上げたいところである。11KHzぐらいがいいと思っている。
ところが、いざ鳴らしてみると、もともとTU-8730のゲインが低いのと、マンタレーホーンの能率が高域では相当落ちるようで、CX3400のHiのゲインを一杯に上げても追いつかない。マンタレーホーンからは蚊の鳴くような音しかでない。そこで裏技、DEQ2496のPEQで10KHz以上を+12dB/octで6dBブーストしてやったらなんとかバランスがとれて、聴けるようになった。

2004.2.27


HL93が届いたので早速装着した。ホーン装着で能率が上がるので4dB程絞って丁度ぐらいの感じである。
音はというと、これが凄く悪くなった(爆)。トランペットやサックスが鋭くなって、体に突き刺さるような感じは増えたが、正直なところ極端なハイ上がりで、このままではマトモには聴けない。これはあたりまえで、604-8Hのマンタレーホーン用に調整したEQカーブの音が素直に音に出てきたにすぎない。

HL93は自宅で使った経験からいうと、中高域は特に補正の必要もないナチョラルな特性を持っている。ハイ下がりのマンタレーホーンとはだいぶ違う。逆にショートホーンの特徴で少しハイ上がり気味でさえある。ここはやはり再調整が必要だ。

iPOD 7209曲 iPODの残り容量がついに3GBを切って2.87GBになってしまった。いよいよ終了が近づいてきたわけである。もちろん、iPODが終わってもiTunesの方はまだまだ続く。
↑の画像、NECの液晶モニタではちゃんと字が見えたが、仕事場のGATEWAY 21インチブラウン管モニタでは字が潰れて見えない。これはモニタのせいではなくてビデオカードの性能が悪いせいだ。

2004.2.26


すっかり忘却のかなたに行ってしまっていたが、ウチにはGAUSS 1502ツイーターがあった。ラフトクラフト特注の立派なスタンド付きである。この威容なら、オークションに出せば10万はくだらないであろう(たぶん・・・)。
当初BigBlockのツイーターとして使うつもりであったが、残念ながら好みの音では鳴ってくれなかった。JBLで言えば2405よりも075系の荒っぽい音である。シャリシャリと、いかにもツイーターが鳴ってますという音なので、2405と聴き比べて即座にお蔵入りになってしまった。2405もけっして出来がいいとはいえないが、12.5KHz以上に限定することでなんとかうまく鳴ってくれている。

ここで(得意の)余談だが、075は大嫌いである。あんな下品な音は到底許せないと思う。075のシンバル音がいい、なんてのは本物を知らないド素人のたわ言である。一度でも2インチドライバの厚みのある音を聴けば、こんなチャチなツイーターの出す音など馬鹿らしくて聴いていられない。D130+075とか、075を7KHzぐらいから使ったりとか、こんなもので満足しているようでは、それは耳が悪い証拠である。
だから1502もあんまり(笑)好きではない。604のドライバ部に相当するALTEC802系もそうだ。JBLの2426とかも最低・・。いいのはJBLなら2450、ALTECなら288-16Gである。こういう美音系の2インチドライバ(288は1.5インチ)の出す厚みや押し出しのあるシンバル音こそ「最高」というものなのだ。ま、この辺も実際に聴いて体験した人は少数であろう。多くは075、4344の2426、604など止まりである。それを正直にヒドイと思った人はホーンをやめ、耳が悪い人や真実を直視できない思い込みの激しい人は、いつまでもそれが最高と思っている。

余談が長くなってしまった。今頃1502をひっぱりだしてきたのはHF4000と組み合わせてみようと思ったからである。同じGAUSS製だから相性はいいかもしれない、というわけだ。以前の音から推測する限りではあんまり期待はできないが。
ところが、こうなると3WAYマルチにしなければならない。CX3400は一台で3WAYまで対応しているが、今はF20と併用して変則な使い方をしているし、DEQ2496で大幅に補正しているから、3WAYにするにはおそらくどうやっても一から再調整が必要である。これはちょっと面倒だが、1502を遊ばせておくのももったいないので、HL93ホーンが届いたらやってみようかと思っている。


iTunesがヴァージョンアップしたということなので早速インストールした。差分ファイルのみをインストールするのではなく、なぜか全てを再インストールするようになっている。残念ながら見た目はなにも変わらない。

V 4.1.1.54→V 4.2.0.72へのアップであった。

iPOD 7104曲

2004.2.25

ヤフオクを探してたら早速HL93ホーンを発見。HF4000用に速攻でゲットした。プロ用のグレーの2311より、ブラックのHL93の方が高級感があってよろしい。
問題はホーンとドライバを固定するボルトである。インチサイズなのでいざ入手するとなると苦労する。手持ちのものがあったはずであるが、どこにやったか不明だ。面倒だが探すとしよう。

HL93はご覧のようなショートホーンで、一見するとスロートアダプタにしか見えない。こんなものでホーンの効果があるとは思えないが、かのオリンパスでは大胆にも、これと375を使って800Hzから使用している。
4350や4355では1KHzからの使用である。BigBlockはこれと同じ形の砲金製ホーンで2.5KHzからだ。ということは、1.7KHzだと余裕があるということになる。これにはセットになる音響レンズがないが、どうせあっても使わないので不要だ。JBL43シリーズで、後生大事に音響レンズやサランネットをつけたままのものでロクな音が出ていたためしがない。JBLを使うからには音の鮮度がプライオリティなはずなのに、そんな音を拡散させるようなものをつけてどうするのか?と思う。なんでもオリジナルが一番などと考えているようだと、そこには進歩はないのである。
そういえば去年LE85を入手した時に、一緒にHL91用自作バッフルというのを入手したのがあった。幸いHL91やHL92などの1インチドライバ用ホーンも、このHL93も開口部の直径は同じである。使い方は簡単で、バッフル板の穴にホーンを差し込むだけだ。これを使えばさらに低い方に余裕ができるだろう。毎度のことながら、こういう組み合わせを考えている時が一番楽しい。



←SO505iで撮影。Photoshopで色相や彩度を手動で調整したらマトモになった。撮影したままだとグリーンがきつい。
知人の依頼によりオークションで落札したLIBBY TITUS。77年録音。レアもので結構ファンがいるらしく、CDのくせにいやに高価であった。
ウッドストックコンサートにも出演したらしいが、寡聞にして知らなかった。コンサートの映画には出てなかったような気がする。

声は、ミニー・リパートンやケイト・ブッシュにも似ているが、もっと落ち着いた大人のサウンドである。正直いってちょっと苦手の範疇だ。
ドライバーのボルト発掘。これで一安心である。これは以前、別のドライバを入手した時(確か2446Jだった)ボルトがなくて困り、ヒビノに無理をいって送ってもらったものである。ずっと使わずに転がっていたものを発見した。

これがなければどこかのショップに泣きついて送ってもらうか、重いドライバ本体を持参してホームセンターで現物あわせをしなければならないところであった。整理整頓は苦手だが、なんでも必要なものはその辺に転がしておけば、いざというときは、探せば絶対に出てくる。これも長年の生活の知恵というものだ(笑)。

2004.2.24

こうやって大型コンプレッションドライバをホーンなしで裸で鳴らすなんて、とんでもないことだと思っておられる方も多いに違いない。だが振動板をみればわかるように、コンプレッションドライバといっても実態はハードドームユニットと同じである。ホーンをつければロードがかかって能率が増し、低域の歪みが減り、指向性がコントロールできるというのに過ぎない。ホーンがないからといって、音色まで変わるわけではない。家庭で比較的小音量(笑)、高域寄りで使う分にはあまり問題はないと思う。

今朝、そんなことを考えながらHF4000と604-8Hを聴いていたのだが、そういえば以前、同じような鳴らしかたをしているのを聴いたことがあったのを突然思い出した。
それは埼玉のウエスタン・ラボという、WEなどのヴィンテージユニットを扱うショップでのことであった。約3年前である。515Bと311-90ホーンを手に入れたので、288ドライバを購入するため訪れたのである。
そこのリスニングルームで、このHF4000と同じように288-16Gを裸で鳴らしている2WAYシステムが鳴っていたのだ。ウーファーは30cmぐらいの見たこともないようなユニットであった。おそらくWEかなにかなのだろう。ソースはCDで、アンプは管球式。バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタがかかっていたのだが、あんなに妖艶で艶やかなヴァイオリンの音は後にも先にも聴いたことがない。30畳ぐらいの広い空間一杯にヴァイオリンの響きが広がり、ドアが開けっ放しの隣の部屋にいると、あたかもその部屋で実際に演奏されているかのようであった。ホーンは不可欠、それもでかいほど良いと思っていた当時は狐に包まれたような不思議な気がしたものである。

もちろんHF4000と288-16Gとでは特性も異なるし、当然音も違う。高域は288-16Gの方が圧倒的に伸びているはずだ。だが大型コンプレッションドライバに特有のあのエネルギー感では共通している。LE85などの1インチスロートドライバの方が高域に余裕があるといって、好んで使っている人も多いが、やはり10KHzあたりまでは大型ドライバで受け持たせてやった方がスケール感という点では圧倒的である。なによりも音がなんの抵抗もなくスーっと出てくる。そして音の通りが良い。同じ周波数で同じ音圧レベルが出ていてもなぜか違うのである。言葉で表現するのは難しいが、これは体験すれば誰にでもわかることである。

604-8H+HF4000などという組み合わせは変則もいいところだが、音が良ければ別にかまわない。ツイーターも今のところ欲しいとは思わない。一応HL93ホーンぐらいはつけてみようかとも思ってはいるが・・。理想をいえば288-16Gの方がいいかもしれないからそのうち出物があれば試してみるつもりである。

昨日の続きであるが、UREI MODEL6500はやはり片chが故障のようで音が出なかった。最初のスタンバイ状態から動作状態に変わらないのである。残念ながらNAOKさんに返却となった。

iPOD 7005曲

2004.2.23

NAOKさんに送っていただいたUREIのパワーアンプMODEL6500を持ち帰り、A5の515Bにつないで鳴らしてみることにした。だが、うっかりしていて、左右二つあるヒューズホルダーのひとつが脱落していたのを失念したままであった。ヒューズホルダーは仕事場に置いてきたままだ。このままでは片chしか音が出ないが、とりあえず音を出してみた。
このMODEL6500には輸入元としてオタリテックのシールが貼ってある。ということは80年代中盤の製造だろうか?噂によるとJBLのOEMだそうである。だが、JBLだって自分ところでパワーアンプまで製造できるとは思えないから、たぶんどこかの下請けの製造だと思う。デザインからするとSAEなんかに似ているが、これはまったくいい加減な想像である。



UREIを鳴らす前に、昨年末からA5もダブルチャンデバにしていたのをF25一台に戻した。604-8Hと同じようにベリンガーCX3400を低域用に使っていたのだが、UREIを接続するのにバランスケーブルをつなぎ直すのは面倒である。本体が軽いから、固いバランスコネクタを差し込むには両手でないとできない。片手だと本体が動いて力が入らないのである。ところがラックの裏側の狭いところでは両手を使うのは困難だ。重いF25なら片手でラクラクと差し込めるので、こっちに変更してしまった。
変更後であるが、F25の方が低域が締まっていいような気がする。ウッドベースがブルッと震える感じが良く出る。CX3400だと音が太くなりすぎてボワーンとした感じになってしまう。もっともたいした違いはないが・・。左右のセパレーションも多少良いようだ。A5に関しては敢えてCX3400を使うメリットはないようである。

UREIの電源を入れてみると、最初に内蔵冷却ファンが回る。だが、これはテスト回転のようで、しばらく回るとすぐ止まった。ところがファンの音が消えても同じような音が聞こえる。515Bから残留ノイズが盛大に出ているのだ。盛大といったら語弊があるかもしれない。FMの局間ノイズのようーな「ザー」という音が結構な音量で出る。これはパワーアンプのATTを最大にしても変わらない。幸い、普通聴く音量だと楽音にマスクされてほとんど気にならないレベルである。

片chしか音が出ないのでモノラル録音のCDを聴いてみた。常用のマッキンMC7270ブリッジと比べると柔らかくて弾力のある低音である。ただ、下の方はスパッと切られているようでレンジは狭い。フムフム、なかなか面白い音であるな、と思っていたら5分ぐらいで突然音が出なくなってしまった。電源は入っている。5分ぐらいしか聴いていないのにすでに冷却ファンが再び回り出している。このファンの音が結構うるさくて、先ほどの残留ノイズがまだ出ているのかわからない。ウーファーが飛んだのか?とあせってマッキンにつなぎかえたらちゃんと音は出た。やはりUREIが不調なようである。

どうも原因がよくわからないが、今日は時間切れだ。今晩ヒューズを持ち帰ってステレオで再度聴いてみることにしようと思っている。

GAUSS HF4000到着。重量13kg。女性だと持つのがやっとである。
実物はおそらく想像より遥かに大きい。
テストを兼ねて、604-8HのドライバのかわりにHF4000を接続して音出しをしてみた。要するに604-8Hのウーファー部とHF4000の2WAYマルチアンプ駆動である。クロスが1.7KHzだから案外ホーン無しでもこのままでもいけるかもしれない。使うとしてもHL93ぐらいで十分だろう。もっとも375と同じで10KHzから先はスッパリ切れているそうだが。


DCX2496のEQカーブも604-8H用のままであるし、チャンデバのレベルも全然触っていないのだが、偶然にも違和感のない音が出てきた。ピアノやヴォーカルがずいぶん滑らかになった。シンバルも当然厚みが増して音に甘みが出る。不思議なことに、10KHz以上が出ていないという感じはあまりしない。
ホーン無しのスロートだけだし、ホントは多少バッフル板もないと低い方は苦しいはずだ。だがおそらく超強力な磁気回路のせいだろう、普通の音量程度だと結構マトモに聴ける。やはり4インチダイアフラムを持つだけあって、オリジナル604-8Hのドライバ部(802-8D相当)よりはいい。


2004.2.22

ここのところワンパターンの感は否めないが、とりあえずpart9はこんな感じにしてみた。例によって当初は頻繁にデザイン変更があると思う。



さて、懸案の(?)エレクトリックマイルスである(笑)。前回は定義とメンバー表で終わってしまった。いちいちpart8まで見に行くのも面倒なので、ここに再掲することにしよう(・・ホントは余りの力作なのでこのまま埋もれさすのにしのびないのである)。

誤解してはいけないのだが、この当時のマイルスに正統派メインストリームJAZZや軟弱フュージョンを期待してはいけない。1968年のメンバーを見て、後年のVSOPクインテットを連想したり、チック・コリアやキース・ジャレットからリタン・トゥ・フォーエバーやスタンダーズ・トリオのような美しいサウンドを連想していると、ことごとく裏切られることになる。
エレクトリック・マイルスの根底にあるのは、R&Bやファンクである。それにフリーJAZZの要素を詰め込んで、すべて即興で仕上げたものと言って良い。だからチックもキースも(マクラフリンも)ここではひたすらメロディ不在のリズムオンリーの演奏に徹している。そこにあるのは黒人の体内に遺伝子として残ってるリズムやグルーヴ感を極限まで昇華させたものなのだ。

   サックス キーボード ベース ドラム ギター
〜1968
ウエイン・ショーター ハービー・ハンコック ロン・カーター トニー・ウイリアムス (ジョー・ベック)
   (ジョージ・ベンソン)
   チック・コリア なし
1969
(+ベニー・モウピン)

(+ジョー・ザビヌル)
デイブ・ホランド
(+ハーベイ・ブルックス)
ジャック・デジョネット
(+レニー・ホワイト)
(+ドン・アライアス)
ジョン・マクラフリン
  
1970 スティーブ・グロスマン

ゲーリー・バーツ
チック・コリア
キース・ジャレット
マイケル・ヘンダーソン
(ビリー・コブハム)
1971 レオン・チャンクラー
1972 デイブ・リーブマン なし アル・フォスター ピート・コージー
レジー・ルーカス
1974
(+エイゾー・ローレンス)
なし
(+ドミニク・ガモー)
1974〜 ソニー・フォーチュン なし
       ( )内は一時参加。+は交代ではなく追加共演。

ここで1968年〜1975年まで個々のグループについて詳細に書いていたら、いくら字数があっても足りない。ここは岩浪洋三風に私個人が好きななアルバムについて手抜き解説をすることにする。実際どんな音なのかはご想像にお任せする。

Miles In The Sky 1968年録音。ジョージ・ベンソン加入の"Paraphernalia"と、el-p el-bを初めて使った"Stuff"が収められている。残りは従来のアコースティック路線。シンプルなファンクという趣で聴きやすい。
Bitches Brew 1969年8月録音。ここにはすでにJAZZでもROCKでもない、新たなサウンドが造られている。el-p3台、dr2台,per、b-cl、el-g、ss、tp、b、el-bの12人編成。9人によるリズムセクションがオドロオドロシイ意味不明のポリリズムを刻む。そのリズムの海の中をマイルス、モウピン、ショーターが溺れそうになりながら泳いでいる、といった感じ。
A Tribute To Jack Johnson 1970年4月録音(といわれている)。マイケル・ヘンダーソン(el-b)の加入テストの際のセッションを映画用にテオ・マセロが適当に編集したものらしい。もっともROCKよりの音。ここではマイルスも素直にメロディを吹いている。マクラフリンのギターカッティングが素晴らしくカッコよい。
Black Beauty 1970年4月ROCKの殿堂Fillmore Westでの録音。テオ・マセロのハサミが入ってないノーカット版である。編集版である同年6月の"Miles Davis At Fillmore"と比べると、チック・コリアのソロなども長くて欲求不満なところがなく、こっちの方が良い。これも日本のみ発売。
Live-Evil 1970年12月録音。マイケル・ヘンダ−ソン(el-b)のファンクベースが炸裂する、楽しい楽しい音楽発表会みたいな演奏。キース・ジャレット(el-p)もノリノリである。ジャック・デジョネット(dr)、ジョン・マクラフリン(g)とサイドも奇跡の組み合わせ。
On The Corner 1972年6月録音。問題作である。確信犯ともいう。これは決してお勧めするわけではない。だがAmazonで検索すると、これは"Kind Of Blue"に続いてマイルスのアルバム中、売れ行きNo.2となっている。ホンマやろか?
Dark Magus 1974年3月録音。もはやキーボードは無く、el-g3人、sax2人の異色編成である。エレクトリック・マイルス中、最も病的な雰囲気を漂わせている。この5人のギター、サックスがまったくバラバラに勝手に演奏しているところが、そういうイメージを作りあげたのだろう。当時、アメリカではとても売れないと思ったのか日本のみの発売。
Agharta 1975年2月大阪録音。前年の反省からか、el-g2人、sax1人に縮小されている。過去2年ぐらい続けてきた、まったくの即興・切れ目なし・ブッツケ本番演奏にもグループが馴れたのか、適度にリラックスしたファンクっぽい演奏である。録音が良いので大音量で聴くと気持ちがいい。

これ以外、世間の評価の高い"Miles Davis At Fillmore"、"Pangaea"、"Filles De Kilimanjaro"、"In A Silent Way"などもあるが、個人的にはあんまり好きではない。

今日一日だけでファイルサイズが17KBにもなってしまった。すでに90KBまで1/5近くを消費したことになる。part9は短命に終わるかも・・・。