内閣総理大臣の諮問を受けて経済財政政策の重要事項を調査・審議する「経済財政諮問会議」が「平成20(2008)年度予算編成の基本方針(案)」を了承したことについて、日本医師会は12月10日までに「地域医療の崩壊を食い止めるためには、診療報酬の引き上げが必要」などとする見解を公表した。
社会保障については、平成20年度予算の基本的考え方(各分野における歳出改革)で、「医療について、勤務医対策や地域医療の確保等サービスの質の維持・向上を図りつつ、効率化によるトータルコストの削減努力を最大限行う観点から、診療報酬・薬価等の見直しや、先発品に比べて薬価の安い後発医薬品の普及促進等を行うことをはじめ、所要の措置を講ずる」と記載。
これに対し、日医は「過去の厳しい診療報酬マイナス改定により、地域医療の崩壊が現実化しつつある。このままでは最低限の医療の提供もできなくなる。国民の生命と安全を守るため、08年度診療報酬改定では大幅な引き上げが必須」と強調している。
また、「希望と安心」の国に向けた予算の重点化・効率化(信頼でき持続する社会保障制度の整備)で、「医療については、小児科や産婦人科などの医師不足の解消策や、救急患者の受け入れを確実に行うためのシステム作りなど救急医療の充実を図る」と記述。
日医は「産科医療、小児科医療、救急医療の建て直しが喫緊の課題であることは言うまでもなく、日本医師会の主張とも合致している」としながらも「そのためには、地域医療全体の下支えも不可欠である」と指摘している。しかし、地域医療の現場で、現実には「産科の分娩実施施設が約10年間で27%減少」、「小児科では、小児科標榜施設が約10年間で6%減」、「救急では、半分近くの県で患者を医療機関に届けるまでに30分以上かかっている」といった問題が起きていることを挙げている。
こうした現状を踏まえ、日医は「地域医療の崩壊を食い止めるため、診療報酬の5.7%引き上げを要望する。そして、まず産科医療、小児科医療、救急医療の建て直しを目指す」べきと訴えている。
このほか、基本方針(案)が「原油価格の動向等が我が国経済に与える影響には留意する必要がある」としていることに関しては、日医は、ライフライン産業である電気料金・ガス料金は燃料費の占める割合が高く、燃料価格の変動を「燃料費調整単価」として料金に反映させられると指摘。しかし「診療報酬には、そのような仕組みはなく、原油価格の上昇が医療機関に与える影響も考慮する必要がある」と求めている。
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更新:2007/12/11 キャリアブレイン
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