
卒業研究@自殺心理学・改 安藤希紗 2005.09.30
†はじめに
†方法と人気
†インターネットと自殺
†何故自殺するのか
†おわりに
†はじめに
何故、私が自殺心理学という暗いテーマを選んだかというと、以前自分が自殺したかったからです。
それは自分だけではないだろうと思い、調べてみることにしました。
†方法と人気
自殺したい人でも、方法はなんでもいいという訳ではありません。
大抵は安楽死を望みますが、「どんな方法でもいいから死にたい。」という方もいます。
数ある自殺のしかた方法のうち、一般的なものの解説です。
―首吊り
縄が1本あれば良いという手軽さで、自殺者の殆どが首吊りで亡くなっています。
地面から足を離して首を吊る定型縊死の場合、動脈が圧迫されて静脈は圧迫されないので、顔が鬱血することなく、生前の状態のまま死ねるという長所があります。
しかし、この方法ではある程度の高さがないと死ねません。
そこで、地面に足をつけたまま首を吊る非定型縊死の場合ですが、こちらは首絞めと同じように静脈が圧迫されるため顔が鬱血します。
首を吊ると脳に血液が行き渡らなくなるので、助かった場合でも言語障害や半身不随などの障害が残ります。
―飛び込み
30歳未満の自殺者の50%は飛び込み自殺です。
朝なんとなく「死にたい」と思った時にすぐ逝けるからでしょうか。
ですが、電車を破損させたり止めたりするとその分の料金を支払わされます。
JR中央線の場合は実際にかかった費用を請求され、都営地下鉄の場合は実害があったらその費用を請求されます。
殆どは振替輸送の乗車券代らしいので、要するに「かかった金を払え。」ってことなのだと思います。
ちなみにその料金はJRの方が私鉄よりも高いです。
JRは現場検証第一なので警察の到着を待ってから死体の回収をしますが、私鉄は電車の復旧第一なので職員が死体収集をします。
なので私鉄の方が乗客を待たせる時間が少ないので、損害賠償なども少なくてすむのだそうです。
―クスリ
現在この方法で自殺しようとするのは難しく、大量に服薬しなくてはいけません。
昔と違い、今はそんなに強い薬を販売しなくなったからです。
だから現在自傷行為の1つである「オーバードーズ」(通称OD)という薬の大量摂取ができるのだと思います。
ちなみに薬自殺の64%が農薬などによる服毒自殺で、残りは睡眠薬や鎮痛剤などの薬や、大麻やハシシなどドラッグを使っての自殺です。
ちなみに薬と同時にアルコールを摂取するか、日常的にリストカットをしていると心臓が肥大しているので通常より効果が上がります。
服薬の場合、睡眠導入剤のハルシオン0.25mg錠を150万錠も飲まないと致死量に達しません。
ハルシオンを飲むと、とてつもない眠気が襲ってくるので、いかにも危なそうな感じがしますが、意外と死ねない薬なのだそうです。
そして薬物自殺は死ぬ前に救急隊員に発見されると死よりつらい胃洗浄が待っています。
鼻の穴、もしくは口からチューブを胃に入れられます。
ものすごく痛い上に、喉をチューブが通る時に吐き気がこみ上げてくるらしいです。
それで胃の中に水を入れて吐かせるといったことを繰り返します。
その後3時間ほどは、チューブを抜いた衝撃で窒息死しないようにということで、そのまま放置します。
ちなみに自殺で病院に運ばれた場合も保険は使えます。
例)ハルシオン50錠飲んで救急車で運ばれた男性の場合
胃洗浄+生理食塩水の点滴+尿道カテーテル=¥24000
救急車は無料だそうです。
―リストカット(通称リスカ)
この方法は服薬自殺並みに困難です。
リスカだけで死ぬ場合、動脈を半分〜全部切らないといけないので、同じところを何度も何度も切り続けなければいけないです。
なので、部屋中血だらけになるそうです。
それに血が固まってしまうとだめなので、腕をぬるま湯などにつけておかないといけないそうです。
リスカは自殺の手段というより、自傷の手段でしかないのだろうと思います。
†インターネットと自殺
インターネットで仲間を集めて集団自殺。というニュース、最近多いですよね。
やっぱりみんな1人では死ねなくて、他の人と死ぬ約束をして後戻りできないようにしているのだと思います。
心中相手募集専用の掲示板や、某巨大掲示板、殺人をしたい人たちが集う掲示板などに「一緒に死にませんか」とか「殺してください」という書き込みがありました。
その中には私たちと同じか、それ以下の年齢の人たち書き込みもあり、みんな本当に悩んでいるんだなぁ。と思いました。
昔、「ドクターキリコ事件」という事件がありました。
これはインターネットを通じて「ドクターキリコ」と名乗る人が青酸カリを売っていた事件です。
殆どの人は飲まなかったのですが、1人が飲んでしまい明るみに出た事件です。そして現在でもそのような取引をするような書き込みがされています(本当に取引しているのかはわかりませんが)。
でも、そういう自殺助長サイトではないサイト、いわゆるココロ系と呼ばれるサイトが増えてきています。
そこではみんな相手の悩みを聞いて、アドバイスしたり励ましあったりして生きています。
†何故自殺するのか
私は「死にたい同盟」というインターネット上での同盟を作り、自殺についてのアンケートをとりました。
そこでは10代〜20代の人が答えてくれました。
それと、「自殺するの?」というココロ系ホームページの「パティオ」というメールマガジンでも何故自殺しようと思ったのか、などを聞きました。
この場を借りて深くお礼申し上げます。本当にどうもありがとうございました。
「誰でもいくらでも嘘を書くことの出来るネットのメルマガに書きこまれている他人の言葉を「ほんもの」の資料として扱う時点で、『論文』として成り立たないと思いますよ。」
との意見もいただきましたが、他人の「死にたい」という言葉が嘘だと思えなかったので、「ほんもの」の資料として扱おうと思いました。
では、その中から特徴的だと思うものを載せます。
@10〜20歳の方々
―浅那火凛さんの理由
「生きてる意味が分からないからどうせいつかは死ぬんだからあと何十年も生きていける気がしない」 <原文ママ>
思春期にありがちな理由がない漠然とした自殺願望だと思います。
浅那火凛さんはリストカットをしたこともあるらしく、思春期で自殺願望ある人の典型といった感じを受けました。
―ツムギさんの理由
「ここの世界にいたくない。親が嫌い。親に死ねと言われてから。私を生んだ人に。『死ね』と言われてまで生きていたくない、からです。」
(一部明らかにタイプミスと思われるところは訂正させていただきました。)
親に死ねって言われるのほど辛いことはないと思います。そんなこと言うなら生まなければいいのに。とも。
パティオで聞いた方の中にもそういった理由の方がいました。
「家族なんて信用もしていません。
しょせん勝手に生んだだけの人たちですし。
こっちは生んでくれなんて一言も頼んでいないのに。」
全文ではなく抜粋でごめんなさい。ハンドルネームは無いみたいなので載せませんでした。
子供は親を選べません。親も子供を選べません(最新の機械では子供が育ったらどういう顔になる。というのをシミュレートして、可愛い子とかカッコイイ子を選ぶこともできるらしいですが・・・)。
でも、子供は親のものじゃない。子供になんでも言っていいっていうわけじゃない。そう思いました。
―雪さんの理由
雪さんは中2の時にすごい自殺願望があったそうです。
それは「『人生に疲れた。もうなにもかも駄目だ。死にたい。』と言うわけではなく、『私が死んだらみんな私のことを心配してくれるだろうか、気にかけてくれるだろうか。』という思い」からだったそうです。
周りの人たちに構ってほしくてリストカットや自殺未遂もしていたそうです。
そして、閉鎖病棟に入院しましたが、退院後はリストカットもやめることができたそうです。
「今でも、リストカットや自殺未遂をしていた頃の自分を嫌ったりはしません。昔私が苦しんでいたのも事実だから、それを否定せずに、受け止めて生きていこうと思っています。自殺をしたがっていた自分も含めて、『私』だから。」と前向きなメールをいただきました。
そして、今は雪さんの友人が自殺願望を持っていて、自殺未遂をしたそうです。
「虚しい…悲しい…どうして…。」
「死んで迷惑かけるくらいなら、生きて迷惑かけて欲しい」と思ったそうです。
雪さんも、誰かにそう思わせていたのかもしれないけれど。
「生きていれば、良くも悪くもいくらだって変わることは出来る。けれど、死んでしまったら何も変わらない。」
「否定ばかりせずに受け入れることも大切だと思っています。」
といってくれた雪さんですが、現在は元気に高校に通っているそうです。
@30〜40歳の方々
平成15年の自殺者数は3万4427人で過去最多だったそうです。
前年と比べて、30代が17%、40代が13%も自殺者数が増えているそうです。
働き盛りの人たちの自殺願望の理由は「借金で逃げ場がない」「問題がたまって気分が晴れない」などです。
でも、それ以外の理由で死にたい方もいます。
―piyokoさんの理由
piyokoさんは鬱病で会社をクビになったそうです。
鬱病というのは、
「抑鬱気分・悲哀・絶望感・不安・焦燥・苦悶感などがあり、体調すぐれず、精神活動が抑制され、しばしば自殺きと企図・心気妄想を抱くなどの症状を呈する精神の病気」<広辞苑>です。
鬱病だからクビというのはなんか偏見のような気がします。
「会社をクビになった事で、人生を否定されたとも思いました。せっかく大学まで行かせてもらったのに、もう行くところは無いんだと思った」そうです。
苦しくて死にたくてどうしようもなかったらしく、「残された家族や友人達の事は、全く考える余裕がありませんでした。」
自分のことで精一杯な時は、みんな他人のことを考える余裕がなくなるものだと思います。
現在はある程度冷静に考えられるようになったそうですが、鬱病はまだ治ってないような感じの文面でした。
―惠子さんの理由
「小5の時に親が一時行方不明になり、私がひとり取り残され、かなり、しっかりしているつもりの子供でしたが、やはりどうにもならず途方にくれた時。なぜだか、『20歳になったら死のう』と思ってしまいました。」
(一部明らかにタイプミスと思われるところは訂正させていただきました。)
惠子さんは20歳の時に自殺未遂をして、後年も自殺しようとしているそうです。
精神科にも行ったそうですが『ここに入院している患者さんとは違い、精神病ではなく、性格的な問題です。』と言われたそうです。
性格的な問題で自殺しようとしたり、リストカットをしたりする人は少なくはないです。
惠子さんが自殺未遂をすると周囲の人は怒り、嘆いているそうです。
「生涯を伴にするはずの人でも『俺の手には負えない』とかそんなもの」なのだそうです。
「俺の手には負えない」と切り捨ててしまわないで、正面から向き合ってほしいと思います。
それでもだめだったとしても、本人にそんなこというのはちょっと。と思ってしまいます。ごめんなさい。
―音魚さんの理由
「私にとって自殺とは,客観的にみれば,『うつ病の一症状の結果』です。私は2001年の秋に精神科医に『うつ病』と診断され,勤めていた会社を休職→復職→休職→復職→休職し,現在に至っています。そんな私を,私自身は『役立たず』だと思い,『迷惑な存在』だと思いました。」
「『共稼ぎ』だったので,家計はそれほどダメージを受けませんでしたが,それでも『家族のお荷物になってしまった』という思いは拭いがたく,うつ病は悪化,そして自殺を思い立った,というわけです。」
音魚さんはリストカットによる動脈の切断やODで自殺未遂を行ったそうです。それで死ねる確立が低いことを承知で。
「私は,家族と別れたくなかった。『どうしようもないお荷物』だと,自分を追い込みながら,それでも『家族はきっと私の死を一生背負って生きていかなければならなくなる』ことが怖かった。」
誰かのことを思いやって生きているうちは自殺できない。と何かの本に書いてありました。どうしても死ぬ寸前でやめてしまうからだそうです。
†おわりに
自分の人生なんだから、人に左右されないで、自分の意思を貫こうと思いました。
†スペシャルサンクス
「完全自殺マニュアル」
著者:鶴見済 出版:太田出版 発行:1993年
「自殺のコスト」
著者:雨宮処凛 出版:太田出版 発行:2002年
「ネット心中」
著者:渋井哲也 出版:NHK出版 発行:2004年
「リストカットシンドローム」
著者:ロブ@大月 出版:ワニブックス 発行:2000年
「卒業式まで死にません」
著者:南条あや 出版:新潮社 発行:2000年
「自殺するの?」
http://park7.wakwak.com/~your/JISATSU.html
「死にたい同盟」
http://www.geocities.jp/i_like_degeneration_life/
どうも、ありがとうございました。