この解釈は 「 将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、 今日の世代のニーズを満たす開発 」 となる。 言葉のわりに非常にわかり易い概念である。 これは工業技術革新にとどまらず、 例えば珊瑚礁の再生、 農産物の収穫量の増加、 次世代エネルギーの実用化 ( 太陽電池の開発など )など、 我々の生活環境のあらゆる方面に深くかかわる事である。
地球環境問題の多くは多岐にわたる様々な要素が複雑に関連しており、 それらがどのような相互関係にあるかを明らかにすることも重要になる。 その観点から言えば広範囲な分野の共通な取り組みとして、 低炭素、 循環型、自然共生型の持続可能な社会の形成に方針が定まるということだ。
1つの例を紹介すれば、 温暖化防止のための大気中温室効果ガス ( GHG− グリーンハウス・ガス ) 濃度の安定化方策。 社会活動で排出されるGHGの発生源と今後の推移を調べ、 炭素の大規模循環や濃度変化はどうなるか。 そして実際的にいつどのようは気候変化や海面上昇がおきて、 はたしてどのレベルでの気候変化で人類や生態系に変化がおきるかを確認する。 この確認は日々行なわれ、 すでにダメージをともなう影響を確認できている。 将来的にこの変化がどのように深刻化するかを予想することが大切だ。
このような危機に直面して、 我々はこれからどのような対策が必要か、 技術によってどこまで適応可能かを検証する。 自動車エンジンに置き換えれば、 すでにガソリンと電気モーターのハイブリッド技術が適応策の一部として実用化された。 適応策があれば緩和策が必要だ。 現在の技術でどこまでGHG排出を削減出来るかという問題こそ、 これからの技術開発の進展に託される。 これらの方策は各種各方面の継続的な持続可能性によるもので、 現在のハイブリッドエンジンからすでに水素エンジンや電気モーター単体のエンジン開発に進化してきている。 バイオエタノール混合ガソリンの普及も次世代エネルギーの方策の1つではある。
産学共同の学術研究でこのサステイナビリテイを推進しつつ、 消費者たる社会システムがこの革新にどう対応出来るかがカギになり、 突きつけられた課題にたいして我々はライフスタイルをどう変化させられるかが重要だ。 これは価値観に基ずくものだから、 共通の認識にたった社会システムの変化に多くの人が融合できなければいけない。 それは将来的な持続可能性を可能にするためにも個人がかかわっていく必要があろう。
サステイナビリテイ。 産業の研究開発や技術革新に求められるこの言葉の根底には、 世代は交代しようとも、 人類はこの先も地球において生存が持続可能なことが大前提だという意味が含まれる。 将来の世代が持続可能性を持てるように、 今、我々が取り組まなければならない問題を解決する必要がある。 それが将来の人類を持続させる為の我々の使命である。