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タミフルと寄付金問題



 インフルエンザ治療薬タミフルを服用した10代の異常行動が問題となっていた今年3月から4月にかけ、この問題を調査していた厚生労働省研究班のメンバーや、厚労省薬事・食品衛生審議会調査会に出席した大学教授の講座に、タミフル輸入販売元の中外製薬が研究資金を寄付していたことが判明した。研究結果や議論の公平性に疑問の声が上がり、厚労省は4月から、研究者が企業から受ける寄付金についてのルールづくりを進めていた。

医薬品審議会 公平性確保へ 寄付上限 1社年300万円 委員の受領制限、家族も 厚労省方針

2007年12月5日掲載)

 厚生労働省は5日までに、医薬品や医療機器の承認審査や安全性などを検討する審議会委員が、関係企業から1社当たり年300万円を超える寄付金や報酬を受け取った場合、審議や議決への参加を認めない方針を固めた。

 インフルエンザ治療薬タミフルに関する審議会に参加した大学教授の講座に輸入販売元企業が寄付をしていたことが今年4月に表面化、批判を浴びたことから、厚労省が審議の公平性と透明性を確保するためのルールづくりを検討していた。年内にも正式にとりまとめ、厚労省薬事・食品衛生審議会の薬事分科会の申し合わせとする方針。

 厚労省によると、寄付金などは生計を共にする配偶者や両親、子供が受け取った場合も含める。審議する医薬品などの輸入販売元企業だけでなく、競合企業にも適用。上限は4月の時点で暫定的に「年500万円」としていたが、さらに引き下げた。

 同省によると、審議に参加する研究者は、家族も含めて過去3年間に対象企業や競合企業から受け取った寄付金のほか、講演料や原稿執筆料などの報酬を自己申告。申告書は厚労省のホームページで公表する。

 1社当たりの総額が過去3年間に1回でも上限を超えた場合、当該品の審議と議決のいずれにも参加できなくする。

年50万−300万円の場合は審議だけの参加を認め、年50万円以下の場合は審議にも議決にも参加を認める。

 企業が広く一般的な研究支援のため拠出する「奨学寄付金」については上限規定の適用外とし、金額や使途などを公表した上で、審議参加自体は制限しない。

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 ●寄付認めるべきでない

 ▼医事評論家の水野肇さんの話 製薬企業からたとえ一円でも寄付を受けている研究者は、医薬品の承認審査などの審議にかかわるべきではないと考える。1社当たりの上限額を定めても、たとえば大学の教授が寄付の受け皿を部下の助教授名義にするとか、複数の企業から広く薄く寄付を募るとか、抜け道はいくらでもある。そもそも300万円という上限額の根拠は何なのか。「相場はこんなもの」という以上の納得のいく説明は厚労省にもできないはず。「李下(りか)に冠を正さず」の精神でやらないと、国民の理解は得られないだろう。

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