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【静岡】

浜松・上島駅周辺の区画整理訴訟 最高裁判例が変更の可能性

2007年12月6日

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 浜松市中区の遠州鉄道遠州上島駅周辺の土地区画整理事業に反対する地権者らが、事業計画決定の取り消しを求め同市を訴えた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷が5日、審理を大法廷に回付することを決め、これまで「事業計画決定は行政処分とみなされず、取り消し訴訟も認められない」としてきた最高裁判例が変更される可能性が出てきた。判例変更があれば、土地区画整理事業に対して早期に計画決定取り消しの訴えが起こせるようになるため、訴訟の門戸が広がる。

 同事業は、2002年6月に事業計画決定。遠州鉄道助信−遠州上島駅を含む約3・3キロの高架化にあわせ、市が2003−11年度、主に遠州上島駅西側の約5・7ヘクタールが対象に、遠州鉄道の線路と道路と立体交差させ、駅前を再整備する。総事業費は60億円。

 これに対し、対象となった土地の地権者のうち34人が「下水道もガスも通っており、基盤整備の必要はない」などと主張し、04年2月、市などを相手に、計画決定の取り消しを求めて静岡地裁に提訴した。

 一、二審では「土地区画整理事業計画決定は、事業の『青写真』にすぎず、行政処分にあたらない」との判断を示した1966年の最高裁判例を根拠に、行政処分といえるのは事業実施のために住民に移転を命じた段階からとして訴えを退け、原告側は上告していた。

 原告代理人の松浦基之弁護士は「土地改良法や土地収用法など、いくつかの分野で『公共事業の開始時点で争える』という判例が出てきており、区画整理の分野だけが取り残されていた。判例が変われば、『計画段階で争える』という流れに拍車をかける。ほかの公共事業にも波及するだろう」とコメントした。

 浜松市の担当者は「従来の判例で認識していたのでびっくりした。(事業は)粛々と進めていきたい」としている。

 

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