ニュースファンのリミックスを奨励、アーティストが新サイトCASH Musicプロジェクトでは、ファンがアーティストのコンテンツをリミックスしたり、コンテンツから着想を得たオリジナル作品を公開するのを認めている。(ロイター)2007年12月10日 16時58分 更新
ナイン・インチ・ネイルズのリーダー、トレント・レズナーが元所属レーベルから独立したリミックスサイトを立ち上げたのとまさに同じ週に、ほかのアーティストとマネジャーらが、ひっそりと同じような志を持った「CASH Music」計画を発表した。 CASH Musicサイトのブレーンとなっているのは、元スローイング・ミュージズのリーダー、クリスティン・ハーシュ、L7のドニータ・スパークス、ハーシュの夫でマネジャーのビリー・オコンネル、スパークスのマネジャー、ボブ・ファージェンやその他のパートナー。「Coalition for Artists and Stake Holders」の頭文字を取ったCASHは、アーティストが音楽やビデオなどのコンテンツをリリースし、ファンに自分なりのやり方でコンテンツを利用できる機会を提供する手段として作られた。 「かかわり合うためのプラットフォームを作ることが目的だ。アーティストが、コラボレーション、そして金銭的サポートの点でファンとかかわることができる」とオコンネル氏は言う。「ファンにとっても、クリエイターにとっても等しく持続可能でエキサイティングな方法を作り出すことがわれわれの意図するところだ」 このサービスの要は、ファンがアーティストのコンテンツをリミックスしたり、さらには参加アーティストの掲載コンテンツから着想を得たオリジナル作品を公開するのを認めていることにある。現時点では、コンテンツを提供しているアーティストはハーシュだけだ。彼女のシングル「Slippershell」と一緒に、ファンがダウンロードしてリミックス作成に使える「Pro Tools」用マルチトラックファイルも掲載されている。 オコンネル氏は、CASHサイトは楽曲のリミックスに限ったものではないと話す。例えばスパークスはツアー中に撮影したビデオや写真を中心にした、まったく違ったコンテンツを掲載する予定だという。別のバンドXiu Xiuは、もっとビデオ中心のアプローチを作り上げている。 ハーシュはファンに対し、彼女の楽曲のリミックスだけでなく、ビデオ、絵、エッセイなどの創作物もアップロードするよう呼び掛けている。寄せられた作品の大半を、彼女の次のCDに盛り込む計画だという。 「もっと活気のあるシーン、文化が、双方向コミュニケーションによって創られると確信している」とオコンネル氏は語る。 だが、懸念されることもある。レズナーは以前から、公式サイトNIN.comにマルチトラックを掲載し、ファンがダウンロードしてリミックスを作れるようにしていた。ファンが自分で作った作品をアップロードして共有できるサイトを作るのはまた別の問題だ。 レズナーがWebに載せたコメントによると、彼の元所属レーベルUniversal Music Groupは、ファンがほかのレーベルやメディア企業の著作物を使うことを恐れて、リミックスサイトの運営を拒んだという。そこでレズナーは自分でサイトを主催した。 CASH Musicを運営するグループも同様の懸念を抱えているが、不適切な投稿を避けるために、自ら管理するとともに、「コミュニティーによる取り締まり」も採用する計画だ。また要求があれば問題のあるコンテンツは削除するとしている。 リミックスは、レズナーのサイトとCASH Musicプロジェクトにとって始まりにすぎない。レズナーは、レーベルを通さずにリリースする次のアルバムをNIN.comで販売する予定で、ハーシュは多数の楽曲を提供している。ファンは彼女の最新シングル(ライナーノーツ込み)に支払いたい価格を選べる(デフォルトは3ドル)。 会費もさまざまな選択肢から選べる。四半期当たり10ドルで、すべての好きなメディア、商品、CDを入手できる。30ドルなら、さらに「制作中」のCDを入手でき、次のショーの無料ペア招待が付く。500ドルならそれにハーシュのスタジオ訪問が付いて、1000ドルなら次のCDのクレジットに「Featured Sponsor」として名前が載る。5000ドルなら「Executive Producer」としてクレジットに載る。 現在は、招待されたアーティストだけがCASH Musicプロジェクトに参加できるが、オコンネル氏は、準備が整えばすべてのアーティストにプラットフォームを開放すると話している。サイト上で行われる取引の一部を売り上げとし、またコンテンツの作成支援が必要なアーティストからコンサルティング料を得る計画だ。 [デンバー 9日 ロイター] copyright (c) 2007 ロイター・ジャパン(株) All rights reserved. (翻訳責任について) (著作権、商標について) 商標: Reutersおよび地球をデザインしたマークは、全世界でロイター・グループの登録商標または商標となっています。 新着記事
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