平成18年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について

　平成18年度における児童生徒の問題行動等の状況については、以下のとおりである。

• 　国・公・私立の小・中・高等学校の児童生徒が起こした暴力行為の発生件数は、学校内において40,019件（小学校3,494件、中学校27,540件、高等学校8,985件）、学校外において4,602件（小学校309件、中学校3,024件、高等学校1,269件）、学校内外での合計は、44,621件である。
• 　暴力行為が学校内で発生した学校数は7,711校（小学校1,130校、中学校3,981校、高等学校2,600校）であり、全学校数に占める割合は19.6パーセント（小学校4.9パーセント、中学校36.1パーセント、高等学校48.0パーセント）となっている。学校外で暴力行為を起こした児童生徒が在籍する学校は2,856校（小学校241校、中学校1,728校、高等学校887校）であり、全学校に占める割合は7.3パーセント（小学校1.1パーセント、中学校15.7パーセント、高等学校16.4パーセント）である。
• 　形態別では、小・中・高等学校全てで「生徒間暴力」が最も多く、小学校2,018件、中学校15,188件、高等学校6,058件となっており、「器物損壊」、「対教師暴力」、「対人暴力」が続く。
• 　加害児童生徒数は47,791人であり、学年別にみると、中学3年生が12,841人と最も多く、性別でみると、男子が約9割を占める。
• 　加害児童生徒のうち、小学校では1.7パーセント、中学校では4.2パーセント、高等学校では84.0パーセントの児童生徒が学校において何らかの措置を受けている。措置の内訳は、小学校・中学校では「訓告」が、高等学校では「自宅学習・自宅謹慎等」が最も多くなっている。
• 　加害児童生徒のうち、小学校では2.7パーセント、中学校では11.2パーセント、高等学校では6.2パーセントの児童生徒が関係機関の措置を受けている。措置の内訳は、小学校では「児童相談所」、中・高等学校では「警察の補導」が最も多い。

• （注）「暴力行為」とは、「自校の児童生徒が起こした暴力行為」をいい、「対教師暴力」、「生徒間暴力」（何らかの人間関係がある児童生徒同士の暴力行為に限る）、「対人暴力」（対教師暴力、生徒間暴力を除く）、学校の施設・設備等の「器物損壊」の四形態に分類する。
  　なお、本調査においては、次のようなもの及び内容、程度等がそれを上回るようなものを対象とした。
  
  
  • 「対教師暴力」の例
    • 教師の胸ぐらをつかんだ
    • 教師めがけて椅子を投げつけた
    • 教師に故意に怪我を負わせた
  • 「生徒間暴力」の例
    • 中学3年の生徒と、同じ中学校の1年の生徒がささいなことでけんかとなり、一方が怪我をした
    • 高校1年の生徒が、中学校時代の部活の後輩である中学3年の生徒に対して計画的に暴行を加えた
  • 「対人暴力」の例
    • 偶然通りかかった他校の見知らぬ生徒と口論になり、殴打の末怪我を負わせた
    • 金品を奪うことを計画し、通行人に怪我を負わせた
    • 卒業式で来賓を足蹴りにした
  • 「器物損壊」の例
    • トイレのドアを故意に損傷させた
    • 補修を要する落書きをした
    • 学校で飼育している動物を故意に傷つけた

• 　国・公・私立の小・中・高等学校及び特殊教育諸学校におけるいじめの認知件数は、124,898件（小学校60,897件、中学校51,310件、高等学校12,307件、特殊教育諸学校384件）である。
• 　平成18年度に認知したいじめのうち、80.9パーセントが年度内に解消している（小学校84.4パーセント、中学校77.9パーセント、高等学校76.7パーセント、特殊教育諸学校69.0パーセント）。
• 　いじめを認知した学校数は22,159校（小学校10,982校、中学校7,829校、高等学校3,197校、特殊教育諸学校151校）であり、全学校数に占める割合は55.0パーセント（小学校48.0パーセント、中学校71.1パーセント、高等学校59.1パーセント、特殊教育諸学校15.0パーセント）である。
• 　いじめの認知件数を学年別にみると、中学1年生が24,023件で最も多く、性別でみると、男子が53パーセント、女子が47パーセントである。
• 　学校がいじめをどのように知ったかについては、小学校では「アンケート調査など学校の取組により発見」、中・高・特殊教育諸学校では「本人からの訴え」が最も多い。
• 　いじめられた児童生徒の相談の状況については、小・中・高・特殊教育諸学校全てで「学級担任に相談」が最も多く、次に「保護者や家族等に相談」が多い。
• 　いじめの態様については、小・中・高・特殊教育諸学校全てで「冷やかしやからかい」が最も多い。なお、「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる」は4,883件（3.9パーセント）である。
• 　いじめる児童生徒への対応については、小・中・高・特殊教育諸学校全てで「学級担任や他の教職員が状況を聞く」が最も多い。
• 　いじめられた児童生徒への対応については、小・中・高・特殊教育諸学校全てで「学級担任や他の教職員が状況を聞く」が最も多い。
• 　個々のいじめへの対応については、小・中学校では「被害、加害双方の児童生徒同士の話し合いを実施」、高等学校では「いじめの状況を確認するため、他の児童生徒に対しアンケート調査や個別面談等を実施」、特殊教育諸学校では「職員会議や委員会等でいじめについての対応策を検討」が最も多い。
• 　学校におけるいじめの問題に対する日常の取組については、小・中・高・特殊教育諸学校全てで「職員会議等を通じて、いじめ問題について教職員間で共通理解を図った」が最も多く、次に「道徳や学級活動の時間にいじめにかかわる問題を取り上げ、指導を行った」が多い。
• 　いじめの日常的な実態把握のための具体的な方法として、小学校では「アンケート調査の実施」、中・高・特殊教育諸学校では「個別面談の実施」が最も多い。
• 　いじめの問題により、就学校の指定変更等を受けた児童生徒は759人（小学校252人、中学校505人、特殊教育諸学校2人）である。

• （注）いじめについては、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。」として調査した。

• 　公立の小・中学校において出席停止の措置がとられた件数は60件〔17年度43件〕（小学校2件、中学校58件）である。
• 　出席停止の件数のうち、暴力行為（対教師暴力、生徒間暴力、対人暴力、器物損壊）を主たる理由とするものが56件である。

• 　国・公・私立高等学校における不登校生徒数は57,544人〔17年度59,680人〕で、在籍者に占める割合は1.65パーセント〔17年度1.66パーセント〕である。
• 　国・公・私立別にみると、国立で29人（在籍者に占める割合0.31パーセント）、公立で43,508人（1.78パーセント）、私立で14,007人（1.35パーセント）である。
• 　不登校生徒のうち、中途退学に至った者は21,485人、原級留置となった者は5,703人である。
• 　不登校生徒のうち、不登校状態が前年度より継続している者は21,376人である。
• 　不登校となったきっかけは、「その他本人に関わる問題」が最も多く、次に「学業の不振」が多い。
• 　不登校状態が継続している理由は、「無気力」が最も多く、次に「不安など情緒的混乱」が多い。

• 　国・公・私立高等学校における中途退学者数（以下、「中退者数」という）は77,027人〔17年度76,693人〕で、在籍者数に占める割合（以下、「中退率」という）は2.2パーセント〔17年度2.1パーセント〕である。
• 　国・公・私立別にみると、国立では44人（中退率0.5パーセント）、公立では53,251人（中退率2.2パーセント）、私立では23,732人（中退率2.3パーセント）である。
• 　中退した理由については、「就職を希望」が最も多く、次に「もともと高校生活に熱意がない」が多い。

• 　国・公・私立高等学校における懲戒による退学者数は429人で、原級留置者数は17,686人である。
• 　平成18年度以前に国・公・私立高等学校を中途退学した者のうち、再入学した者は1,053人、編入学をした者は7,302人である。

• 　国・公・私立の小・中・高等学校の児童生徒の自殺者は171人（小学校2人、中学校41人、高等学校128人）である。
• 　自殺した児童生徒の状況について、「その他」が最も多く、次に「進路問題」が多い。

• 　都道府県・政令指定都市の教育委員会が所管する教育相談機関は184ヵ所〔17年度193ヵ所〕であり、相談員として1,872人〔17年度1,681人〕が配置されている。総相談件数は213,418件〔17年度213,273件〕であり、うち73.5パーセントは電話相談が占めている。
• 　市町村（政令指定都市を除く）の教育委員会が所管する教育相談機関の数は1,468ヵ所〔17年度1,498ヵ所〕であり、相談員として4,838人〔17年度4,880人〕が配置されている。これらの機関における教育相談件数は766,378件〔17年度709,796件〕である。