内閣府の「規制改革会議」が混合診療全面解禁を年末の答申に盛り込む方針を打ち出していることに対して、自由民主党の西島英利参議院議員は12月6日の参院厚生労働委員会で、「(規制改革会議での)議論は困っている患者を救済するためのものではなく、いかに儲かるというものでしかないのではないか」と、混合診療解禁に強く抗議した。
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今年11月、腎臓がんの治療を受けた患者が「保険適用外の治療を受けたことで、保険適用対象となるインターフェロン治療も自己負担とされたのは不当」などとして起こした裁判で、東京地裁は「混合診療を禁止する法的な根拠はない」とする判決を下した。
これを受けて混合診療解禁に関する議論が白熱。必要な規制の在り方を検討する内閣府の規制改革会議は、年末の答申に混合診療全面解禁を盛り込む構えを見せている。
日本医師会の常任理事を務めた経験のある西島議員は、規制改革会議の前身の規制改革・民間開放推進会議と厚生労働省が2004年に対立しながらも、例外的に混合診療を認める医療機関と医療技術を拡大することで合意したことに触れ、「現在新しく整理された下で、実績を積み上げているところなのに、一つの判決をもって全面解禁をまた主張し出したことに疑問を感じている」という異議を示した。その上で、規制改革会議が混合診療の全面解禁を主張する理由をただした。
まず、西島議員は、規制改革会議の事務局になっている規制改革推進室の委員構成について「金融・保険業界からの人員が多い」と指摘。民間で医療保険や介護保険を扱う「第三分野保険」が01年の解禁以降、「空前の実績を上げた」と述べ、「ここ(規制改革会議)での議論は困っている患者を救済するためのものではなく、いかに儲かるというものでしかないのではないか」と語気を強めた。
また、西島議員は、日本医師会の常任理事時代、規制改革・民間開放推進会議の前進である総合規制改革会議にヒアリングに呼ばれ、会議後の記者会見で宮内義彦座長(オリックス社長)が「医療産業というのは100兆円になる。どうして医師会の先生方は反対するのか」と発言したことを紹介。西島議員はそれに対し、「100兆円は一体誰が出すのか。それは国民が出さざるをえない。そういう議論の延長で混合診療の議論が行われている」と主張した。
それに加え、昨年発覚した第三分野保険における不適切な支払いの実態に触れ、「(販売している保険会社は)混合診療の全面解禁という流れの中で、自己負担が増えますから、将来の安心のためにどうぞお買い下さいと国民の不安を煽(あお)っておいて、一方では支払いの段階になると様々な理由をつけて支払わなかった。これが実態」と批判。規制改革会議が混合診療解禁を求めていることに対して「一つの判決が本当に関係しているのか」と疑問を投げかけた。
更新:2007/12/07 キャリアブレイン
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