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養護教諭の役割、法に明記へ いじめなどへの対応改善

2007年12月09日

 文部科学省は、学校保健法を改正し、養護教諭の役割や仕事の内容を明記する方針を決めた。現行法では学校内での権限がはっきりしないため、養護教諭がいじめの兆候をつかんでも、ほかの教諭を巻き込んだ対応ができないケースもあったという。同省は早ければ来年の通常国会に、改正案を提出する方針だ。

 全国には、ほとんどすべての小中高校に約4万2000人の養護教諭がいる。しかし、その役割についてはこれまで、47年にできた学校教育法で「児童生徒の養護をつかさどる」と書かれているだけ。学校保健法も、子どもの健康診断や、伝染病や虫歯への学校の対応を定めてはいるが、養護教諭の役割は示していなかった。

 しかし、最近の学校では、いじめや不登校など心の問題を訴える子どもが増加。06年度の文科省の調査では、中学・高校の養護教諭の95%が、心の問題で子どもを支援した経験があった。

 1日に保健室を利用している子どもの数は、平均で小学校41人、中学校38人、高校36人に達する。このため養護教諭は、担任などほかの教諭より早く、子どもの問題に気づきやすい。しかし、学校内での立場がはっきりしないため、ほかの教諭が動かず、対応が遅れるケースが少なくないという。

 そこで、学校保健法を改正して、現在担っている仕事をはっきり役割として定める方針を決めた。学校外の医療や福祉の関係者との連携が取りやすくなる効果も期待できるという。

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