白崎昭一郎選考委員長から表彰状を受け取る市埜恭子さん(中)=福井市の日刊県民福井で
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新進文学賞4人を表彰
文芸同人誌「日本海作家」と日刊県民福井、中日新聞主催の第五回ふくい新進文学賞(県教育委員会、NHK福井放送局後援)の表彰式が八日、福井市の県民福井ビルで開かれた。福井震災を語り継ぐ祖母への愛情を描いた「語り部嫗(おうな)」で第一席に輝いた敦賀市本町二丁目、会社員、市埜(いちの)恭子さん(30)ら四人の入賞者に賞状や賞金などが贈られた。
日刊県民福井の吉田昭夫社長が「文学が人を触発する力を感じた。来年は三十歳以下という年齢制限を撤廃し、幅広く募集したい」とあいさつ。市埜さんをはじめ、第二席を受賞した福井市出身の東京都世田谷区赤堤、雑誌編集者、石川守哉さん(27)と坂井市丸岡町西里丸岡、高志高校二年、小林友香さん(16)、佳作の小浜市城内(じょうない)二丁目、若狭高校二年、大野木菜月さん(16)が表彰された。
選考委員長を務めた日本海作家編集委員の白崎昭一郎さん(福井市)は、市埜さんの作品を「文章はよく練られた作品だが福井震災だけでなく、福井空襲のことにも触れると、より迫力のある作品になったのでは」と講評。他の入賞者の作品も批評した。
この後、白崎さんをはじめ選考委員を務めた日本海作家編集委員の張籠(はりこ)二三枝さん(坂井市)、中島美千代さん(福井市)を交えて懇談。入賞者の「作家になるにはどうすればよいか」との問いに対し、選考委員が「作品を完成させるためにコンクールに応募し、小さな賞でもいいから挑戦すること」などと提案。「若いうちは児童文学や推理小説などさまざまな文学に取り組んでほしい」とアドバイスした。
同文学賞は、若い世代の文学振興と気鋭の新人作家の発掘を目的に二〇〇三年に創設。今回、県内外から三十二点が寄せられた。 (中西卓郎)
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