Notesからの移行は課題解決のチャンス - コクヨが取り組み事例を発表
2007/11/22
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コクヨビジネスサービス ITソリューション事業部の土山宏邦氏 |
20日に行われた「Notes移行セミナー〜部分移行と完全移行を徹底検証」において、Notesからの移行を実現した企業の一例として、コクヨビジネスサービス ITソリューション事業部の土山宏邦氏が取り組み事例と移行ポイントを紹介した。ここでは、その模様をお伝えしよう。
土山氏が所属するコクヨビジネスサービスは、オフィス用品メーカーのコクヨグループでITソリューションを手掛ける連結子会社である。2005年7月から約2年の間、社内システムにおけるNotesの移行に携わった。
コクヨグループでは、2004年12月までの約10年の間にNotesを全社的に導入。発行ID数は4,100にものぼり、約3,000のデータベースを有するヘビーユーザーだった。しかし、運用管理コストの負担増や、バージョンアップによる上位互換の保証がないといった問題から、Notesに対する不安の声が現場から聞かれるようになってきたという。また、2004年に大規模な分社化を行ったコクヨでは、グループ内でのコミュニケーションが大きな課題の1つに挙げられるようになったうえ、当時、「ITツールを連携したワークスタイル変革」と銘打った"IPスタイル"の推進をグループの経営ビジョンに据えていたという背景もあり、完全移行に踏み切った。
コクヨグループにおけるNotes移行は、まずは"グループポータルの構築"と"グループウェア基本機能の実装"という、グループ全社員を対象とする共通コンテンツから着手したという。その後、第2フェーズとして、各社独自ポータルの構築へと拡大しながら、Notesデータベースの再構築とWebメールの切り替えが行われた。さらに、社長ブログやIP電話コール機能など、Notesにはなかった多数の新コンテンツが追加されている。土山氏は「Notes移行は、店に喩えるならデパート・百貨店から専門店街に変わるようなイメージ。"何でもNotes DBから"ではなく、要件に合ったソフトを自由に追加するスタイルに変わった。ユーザー企業や開発会社にしてみれば、最適なソフトを見つける/作るという役割が加わることになるが、同時に選択の幅も大きく広がることになる。Notes移行の議論では、グループウェアの基本機能やデータベースの開発機能が中心になりがちだが、新しいシステムが提供する新しい機能に担当者は目を向けてほしい」と語った。
また、完全移行か部分移行かを見極めるポイントについて「まずは現時点のNotes活用レベルを正しく認識し、そのうえで将来目指す姿を明確にすることが大切。その組み合わせによってどちらが最適かを見極めるべき」と解説。また、Notes移行の際に必ず乗り越えなければならないハードルとして、"データベース開発体制"、"メール移行"、"データベース移行開発"の3つがあることを明かした。土山氏は「メールが日常で最もよく利用する情報共有ツールなので、"メール移行"は特にセンシティブな作業だった。ユーザーヒアリングや講習会を開催するなど、ユーザーフォローを入念に行った」と述べたうえで、上記3つのテーマについては事前にキーポイントを把握し、十分な準備と計画のうえ、対応することを勧めた。
さらに、無事にNotesの完全移行が成功したとしてもまだ安心はできないという。なぜなら、システムは経営・業務を進めるための道具であり、移行後の運用・管理こそが最も重要な課題であるためだ。コクヨグループでは、Notes移行により、新たなコンテンツを追加したが、当然ながらそれらを運用・管理する際の負担にも目を向けなければならない。また、Notes運用時と同様、ユーザーの啓蒙、PR、教育といった活動も引き続き行っていく必要がある。土山氏は「コンテンツの運用・管理はいかにして"見てもらえる"コンテンツをタイムリーに提供できるか、ユーザー教育と啓蒙推進は日常においてどれだけユーザーに発信できるかにかかっている」とポイントを語った。
土山氏が再三強調したのは「Notesはあくまでツールである」という点だ。同氏は「Notes移行を"目的"としてはならない。Notes移行は、課題を解決するための"きっかけ"と位置づけてほしい」と訴えた。また、「Notes移行は布教活動のようなもの。まずは知ってもらい、どんどんネタを発信し、時には現場からの反発も受けながら、現場の声を汲み取り、"数年後には笑顔"を心に、粘り強く頑張ってほしい」とエールを送った。
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