平成19年第1回定例会 可決した意見書

意見書

公開制度見直しなど戸籍法の早期改正を求める意見書
 現在、個人情報保護に関する法整備の進展とともに、行政機関等においても、より適切な個人情報の保護を図ることが喫緊の課題となっています。特に、2005年4月から個人情報保護法が全面施行された中にあって、戸籍の公開制度を悪用して、他人の戸籍謄・抄本を不正取得、不正利用する事件が相次いでおり、戸籍法に対する国民の不満や不安が高まっています。
 そうした現状を背景に、戸籍法の見直しを検討してきた法制審議会(法務大臣の諮問機関)の戸籍法部会は、昨年12月、戸籍法改正の要綱案をまとめました。要綱案では、交付請求者の本人確認や、第三者による戸籍謄・抄本の交付請求については正当な理由があると認めた場合に限って交付できると制限し、また、弁護士などの資格者による請求についても、依頼者名と具体的理由の明示等の条件を付与するなど、これまで公証のために原則公開とされていたものを原則非公開に変更するものです。
 よって、政府は、戸籍法について、これら公開制度の見直しを図るとともに、不正請求、不正利用の防止に向けた罰則強化等、所要の改正を早期に実現するよう強く求めます。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成19年3月13日
枚方市議会議長  大槻 哲也

 〈提 出 先〉
  法 務 大 臣

がん対策推進基本計画の早期決定を求める意見書
 我が国のがん罹患率や死亡率は、ともに上昇を続けており、1981年以降、がんは死亡原因の第1位であり、その3割にも上っています。また、10年後には、2人に1人ががんで死亡するとも予想されています。
 昨年6月、がん対策基本法が制定され、日本で立ち遅れてきた緩和ケアや放射線治療の充実などが基本理念の中に盛り込まれるとともに、がん対策を戦略的に推進することが明示されました。同法はまた、今年4月の施行を踏まえ、基本的施策を具体的、計画的に推進するため、国にがん対策推進基本計画の策定を義務付ける一方、都道府県に対しても、がん対策推進計画の策定を義務付けています。
 今後、実効性のあるがん対策を前進させるため、がん患者の痛み、苦しみを和らげる緩和ケアの実施や、欧米型のがんの増加によって需要が増加している放射線治療の充実、さらに、最適な治療、ケアを受けられる体制作りなどが求められています。
 具体的な施策の柱としての、@全国レベルでの医療従事者への緩和ケアの研修、A放射線治療の専門医等の育成、研修及び大学医学部の体制充実、Bがん登録に必要な患者の罹患、転帰その他の状況把握と分析の整備、C都道府県が設置しているがん検診の推進と質の向上のための精度管理委員会の活性化などを行うべきです。
 また、全国のがん診療連携拠点病院には、現行で286院が指定されていますが、同病院の整備及び速やかな推薦体制の確立が求められます。
 さらに、がんと診断された患者が容易に複数の専門家の意見を聞くことができるよう、セカンドオピニオンの充実を図るとともに、がん情報提供窓口の整備、抗がん剤及び医療機器等の早期承認なども含め、総合的な取り組みによる患者の立場に立ったがん対策を推進するべきです。
 よって、政府は、がん対策基本法施行後、一日も早く、がん対策推進基本計画を閣議決定し、国会に報告するよう強く求めます。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成19年3月13日

枚方市議会議長  大槻 哲也
 〈提 出 先〉
  文部科学大臣       厚生労働大臣

医師不足の解消等、安心できる地域医療体制の確保を求める意見書
 近年、全国的な医師不足、特に小児科・産婦人科医の不足が問題となっています。その原因は、平成16年4月から実施されている臨床研修制度に伴う大学医局の医師派遣機能の低下による地域の医療機関からの医師の引き上げ、公的病院等での医師の過酷な勤務実態、地域の医療機関の経営状況の悪化及び女性医師への仕事と子育ての両立支援策の不足など、多岐にわたっています。
 医師不足の解消に向け、さまざまな努力が進められていますが、安心できる地域医療体制の整備に向け、引き続き積極的な取り組みが必要です。また、医師不足のみではなく、看護師・助産師不足の解消も重要な課題です。
 よって、政府は、医師不足を解消し、安心できる地域医療体制を確保するため、下記の措置を早急に講ずるよう強く求めます。


1.地域医療体制の再構築に向け、総合的なビジョンを早急に策定すること。
2.救急医療・周産期医療体制の整備及び維持のための支援策を拡充すること。
3.小児科医療等医師不足が指摘される科目の診療報酬の抜本的な見直しを図ること。
4.公的病院の診療体制の強化を図るため、集約化への取り組みの支援を拡充し、中核病院と地域医療機関の連携を強化するための対策を講ずること。
5.臨床研修制度の在り方について検討を行い、前期・後期臨床研修において、地域医療への従事を適切に確保する取り組みを進めること。
6.医科系大学の医師の地元への定着推進策を充実すること。
7.女性医師に係る仕事と生活の両立支援策を充実すること。
8.看護師・助産師不足の解消に向け積極的な対策を講ずること。
9.小児救急の電話相談事業の充実のための対策を講ずること。
10.出産・分娩時の事故に係る無過失補償制度の早期創設を図ること。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成19年3月13日
枚方市議会議長  大槻 哲也

 〈提 出 先〉
  総 務 大 臣       文部科学大臣       厚生労働大臣

柳澤厚生労働大臣の罷免を求める意見書
 柳澤厚生労働大臣による、女性は産む機械、産む装置、一人頭で頑張ってもらうしかない、2人以上の子どもを持つことが健全という発言、また、これに加えて、マスコミ報道によれば、生産現場の工場労働者は労働時間だけが売り物という発言もなされるなど、国内外に怒りが広がっています。
 女性を国の人口政策の道具のように見る考え方、また、働く人々の人格を無視する考え方は、人間として許されるものではありません。
 とりわけ、少子化が深刻な社会問題になり、その対策を講じることが最重要課題となっている現状において、その先頭に立つ担当大臣が人権感覚を疑わざるを得ない発言を行うことは、国の政策そのものが実効性を持たないということにもつながります。
 今、政府がやらなければならないことは、子どもを持ちたいと望んでいる人々が、安心して産み育てられる環境の整備、教育や自立への援助及び女性の地位向上などの施策を行うことです。
 男女共同参画社会基本法では、男女相互間での人権の尊重がうたわれています。法を遵守し推進する立場にありながら、女性の人権を無視した発言を行った柳澤氏は、厚生労働大臣の資格に値しません。
 よって、政府は、速やかに柳澤厚生労働大臣を罷免するよう強く求めます。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成19年3月13日
枚方市議会議長  大槻 哲也

 〈提 出 先〉
  内閣総理大臣

格差拡大を是正し、生活弱者への救済措置を求める意見書
 政府・与党がこれまで進めてきた政策によって、所得、雇用、教育、福祉など、あらゆる面で格差が拡大し、地域間、企業間及び個人間の格差は、もはや個人の努力ではどうしようもないほど広がってしまいました。
 とりわけ、2004年度の税制改正による老年者控除の廃止、公的年金控除の減額、そして定率減税の縮小、廃止の影響は、生活弱者、特に高齢者世帯を直撃しています。昨年6月から新たに住民税が課税となった人や数倍もの負担増になった人が大勢いることと合わせ、これらの税制改正は、介護保険料、国民健康保険料にも影響し、さらなる負担増につながっています。
 また、健康保険法等の改正に伴い、昨年10月から高齢者の医療費負担が増加しました。今年度は経過措置の対象期間になっていますが、税源移譲に伴って所得税と住民税の税率の変更があり、負担増に拍車がかかっているのが実情です。
 よって、政府は、格差の拡大を是正するとともに、生活弱者を救済するため、下記の措置を早急に講ずるよう強く求めます。


1.税制を緊急に見直し、生活困窮者に十分配慮したものにすること。
2.介護保険、国民健康保険の国庫負担分を緊急に増額すること。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成19年3月13日
枚方市議会議長  大槻 哲也

 〈提 出 先〉
  内閣総理大臣       財 務 大 臣       厚生労働大臣