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【この項の目次】
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■病院勤務医のささやき
〜医師不足を考える〜
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「医師の過酷な労働実態が明らかに!― 勤務医の労働時間について」 |
(ホームページコラム第7回) |
先日日本医労連がまとめた「医師の労働実態調査」の中間報告が発表されました(2007.2.19)。医労連とは、病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者の組合で、現在約17万人が加盟し、国立大学病院や、日赤、各自治体病院、済生会、など大きな組織も含まれます。
昨年主として病院勤務医に送ったアンケート調査で、25都道府県約150施設の計1036名の勤務医(うち男性828名、女性204名)による個人調査の結果です。大変厳しい勤務医の実態があらわれていますので、いくつか紹介します。今回は勤務医の労働時間についてです。
1)1日の労働時間に関しては、平均が10.5時間で、12時間以上が44.5%と半数近くを占めています。一般常識的な勤務時間が午前9時から午後5時までとすると、この勤務時間は異常といえるのではないでしょうか。一般の方にはわかりにくいことと思いますが、たとえば通常の午前の外来開始時間前に、病棟の患者さんを回診するためだとか、朝のカンファレンスを行うためだとかで、午前7時〜8時に出勤するのでしょう。また午後5時過ぎには、日中にみられなかった新患の入院患者さんの診察をしたり、病棟患者さんのカルテをかいたり、紹介状を書いたり、保険の書類や介護意見書をかいたり、あるいは2〜3時間におよぶカンファレンスをしたり、いろいろです。また日中疑問に思ったことへの答えを、教科書や論文、インターネットで調べたりもするでしょう。医師の仕事は本当に多種多様です。場合によっては、入院患者さんが急変した場合、帰れないことも多いと思います。

2)次に週の労働時間です。月曜から金曜までの平日を午前9時から午後5時まで労働したとすると、週40時間になりますが、このグラフでは40時間以内の医師は15%にとどまります。一方、法廷でいわれる過労死ラインの時間外勤務が月80時間以上とされており、完全にあてはまるのがグラフの赤の範囲で、32%にものぼります。多くの医師が過労死寸前であると理解できるのではないでしょうか?

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