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 ホーム病院勤務医のささやき>第107回日本外科学会に参加して
【この項の目次】
第8回労働実態2
第7回労働実態1
第6回医療過誤
第5回「外科学会」
第4回『国が捨てる』
第3回『医療崩壊』
第2回県の医師数
第1回医師の数
■病院勤務医のささやき 
〜医師不足を考える〜
第107回日本外科学会に参加して
〜『診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業』について〜
(ホームページコラム第5回)

 先の4月13日大阪で開催された日本外科学会に参加し、シンポジウム『医療の安全確保のために今何ができるか、何をすべきか〜医療関連死調査分析モデル事業の現状と将来〜』を聞く機会があり、少々感ずるところがあったので報告します。
 
 シンポジストは外科系の大学病院長として関西医科大学の今村洋二先生、弁護士の立場から児玉安司氏、立法府の立場から参議院議員の足立信也氏(民主党?)、厚生労働省から佐原康之氏などでした。

 平成11年におこった都立広尾病院事件で院長が異状死事例を所轄警察に届出しなかったことから医師法21条違反で有罪となった事件や(医師法21条の解釈、異状死の解釈の仕方がここから問題となった)、平成11年の患者取り違え事件(おそらく横浜市立大学)などが契機となり、また多くの医療訴訟が社会問題化し、計19の学会の要請を受けて、平成17年度より予算1億円で『診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業』が開始されました(ホームページ:www.med-model.jp)。

 これは医療紛争が医療者側と患者側の対立という構造のもと、警察、検察側が医療者を犯罪者さながらに攻め立てるしかなかった今までのありかたを、何とか改善させたいというところから考えだされたもので、いわゆる第3者的中立機関です。これには臨床医、病理医、法医学者、弁護士等が参加して、死亡症例の剖検や検査を行い、死亡にいたった原因究明、そのような事例の再発予防手段を考えることが大きな目的で、今までの検死システムでは医療者側にも患者側にも、剖検結果が報告されないできたという大きな問題があり、この機関は剖検結果を両者に提供するシステムとなっています。

 実際にホームページをみてみると、まだ10数例ではありますが、病理側、臨床側の真摯な真相究明に関する態度が垣間見え、感情論のない、科学的な考察がなされていることがわかります。ときには医療事故のあった病院に設置された事故調査委員会に対する苦言ものせられており、中立な態度といえるでしょう。一度みてください。

 現在問題となっている医師不足、特に産婦人科や外科系の医師に関して、医療紛争をさけるために医師がやめていく現状をくいとめるためのひとつの方策とも考えられます。この方策は3年後に制度化されるようですが、はたして全国展開した場合、誰がおこなうのか、どこで行われるのか、国はどれほどの予算をつけてくるのでしょうか?

 最後のフロアからの質問では、医師不足問題で現場からの声として先頭に立っている済世会栗橋病院の本田先生が質問に立ち、「このような方策では医師は増えない、医師の絶対数が不足しており、現場の労働環境を改善させるためには、カネ、ヒトを増やすべきだ。ガダルカナルではモノも食い物も不足した中で戦わされた、医療現場も同じで、カネ、ヒトを増やさないといけない」と訴えていました。

 厚生労働省の佐原氏はこれに対し、「現状の医療現場からそのような声をもっと発していただければ、省としても考えざるを得ない」と発言しましたが、これに対し国立がんセンターの土屋了介先生(この先生はかなりの良識のある方です)が、「もうすでにそのような声は多く発せられてる。厚労省の○○局ではすでにそのような情報を得ているはずであり、もう行動すべきときではないですか?」と発言され、何か納得させられた気分で帰ってきました。


石川勤労者医療協会 城北病院外科
斉藤典才


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