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【国際】

小さな島国『時間ない』 COP13参加、水没危機 具体的取り組み要請

2007年12月8日 夕刊

 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=吉枝道生】「私たちは既に苦しんでいるが、結局は皆が苦しむんだ」

 大国が利害をかけて交渉を続ける国連気候変動枠組み条約の第十三回締約国会議(COP13)には、小さな島国も参加している。海面上昇で「最初に沈む国」とも言われる南太平洋のツバルは有名だが、ほかにも多数の島嶼(しょ)国があり、「残された時間は少ない」と早急な対応を訴えている。

 平均標高が約一・五メートルのツバルは、地球温暖化による海面上昇で水没が懸念されている。ソポアガ元国連大使は「人々の家が海面上昇で壊されているのは、皆が写真で知っている通り。これ以上何が見たいんだ」と焦りをみせ、「どう取り組むのかのプロセスを明確にしてほしい」と訴える。

 ツバルの現状は世界でも知られるようになったが、それでも支援は十分ではないという。「ツバルは狭く低い特殊な国で、もっと支援が必要だ」と、隣国サモア環境省のタウレアロ氏も話す。サモアもサイクロンが増えるなど気候変動の影響が出ているが、あまり知られていない。

 「今行動しなければ世界全体が苦しむことになる。しかし、この会議にはあまりに多くの政治的な課題があり、結論を出すのに時間がかかる」と漏らす。

 中米カリブ海に浮かぶ島国セントルシアのドーベルニュ氏は「既に海面上昇に脅かされているが、支援してくれるのは非政府組織(NGO)だけだ」と指摘。先進国が途上国で事業を行って排出権を取得できる「クリーン開発メカニズム(CDM)」についても「小さい国だから対象にもならない」とため息をつく。サモアのタウレアロ氏は「一国だけでなく、いくつかの小国をまとめてCDMができないか」と提案する。

 カリブ海ジャマイカの気象学者マハルン氏は「確かにツバルのように有名な国には注目が集まるが、そこに集まる支援を島嶼国で分かち合えばいい。温室効果ガスを排出している国が責任を果たしてくれることを願う」と話している。

 

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