今月1日に北京で開催された閣僚級の「日中ハイレベル経済対話」初会合で日中両政府が合意した共同文書について、中国側が日本側の了解なしに一部削除して公表していたことが9日、分かった。人民元切り上げに関する部分などで、日本側は訂正を申し入れている。高村正彦外相や日中外交筋が明らかにした。
ハイレベル経済対話ではマクロ経済や温暖化対策・エネルギーなど多方面の分野で日中間の連携強化が確認された。共同文書の「一方的削除」は極めて異例で、今後の「戦略的互恵関係」構築にも影響を与えそうだ。
日本側が発表した共同文書では「日本側は人民元の実効為替レートのより速いペースでの増価を許容することに向けた中国の努力を期待する」と、人民元切り上げに対する日本側の要望が盛り込まれた。しかし、中国側公表の共同文書(中国語)では、この部分は完全に削除されていた。
日本側がエネルギーに関する貿易自由化などを定める国際エネルギー憲章に中国が参加することの意義を指摘した記述も抜けていた。