社会
「頼みの綱」3次救急病院も医師不足
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姫路市の男性が救急搬送の受け入れを十六病院に断られた末に死亡した問題は、地域の救急医療体制のもろさとともに、基幹病院として最終的な患者の受け入れ先となる三次救急病院が機能しなかったという新たな課題も浮き彫りにした。兵庫県は六つの三次救急医療圏域に計七病院を設けているが、丹波地域では常勤医の減少に伴い、受け入れが不可能になった診療科も。他の地域でも夜間に医師を呼び出して対応するなど、救急体制の維持に苦慮している。
三次救急病院は救急患者の受け入れに常時対応し、重篤患者の救命治療など、地域医療における「最後のとりで」としての役割が求められる。しかし姫路のケースでは、地元の三次救急病院が脳や循環器系疾患の診療に特化しており、男性は消化器系疾患だったため、救急隊が要請先から除外していた。
県保健医療計画による各医療圏域の対象病院は▽神戸市立医療センター中央市民病院、県災害医療センター(神戸)▽兵庫医科大学病院(阪神)▽県立姫路循環器病センター(播磨)▽公立豊岡病院(但馬)▽県立柏原病院(丹波)▽県立淡路病院(淡路)。
この中で最も深刻なのが丹波だ。柏原病院では近年、麻酔科など常勤医の激減で急患の常時受け入れが難しくなり、脳外科は十月から対応できなくなった。二〇〇六年度の救急受け入れ数は八百八十二件で、〇四年度から約四割減少した。現在は、重症患者を扱う二次救急の四病院とともに輪番制で対応するが、圏外への搬送も増えているといい、丹波市では市外搬送が四割を占めた。
但馬や淡路は病院数が少ないため、救急患者は原則受け入れている。〇六年、豊岡病院の受け入れ拒否はゼロ。「応急処置の後、神戸や鳥取に搬送することはあるが救急時の拒否はない」。淡路病院も「原則断らない」とし、両病院とも「必要時は専門医を呼び出して緊急手術などに対応する」としている。
〇六年の受け入れ率が96%だった神戸・中央市民病院は「断るのは満床時に緊急性のない患者の要請があったときや、深夜などに専門医が複数の手術を抱えた場合などに限る」。兵庫医科大病院も「四-五人の医師が当直勤務にあたり、救急用ベッドも常時三-四床空けておくようにしている」という。
また、受け入れ率が88%だった災害医療センターは、大規模災害などで緊急対応する役割も担っている。小沢修一センター長は「二次救急で対応すべき患者が運ばれることもあり、病床も恒常的に九割近く埋まっている。有事に備えて余裕を持っておきたいのだが」と、救命救急現場が抱える苦悩をのぞかせた。
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