県内水面漁場管理委員会(会長・沖野外輝夫信大名誉教授、13人)は5日、長野市内で開き、漁業法に基づき、ブラックバスなど外来魚の再放流(リリース)を禁止する指示を出す方針を固めた。年明けに開く次回会合で、実施時期を含めて正式決定する。ただ、「バス釣り」が観光資源となっている地域に配慮し、漁協などが申請した場合に水域を限定して条件付きで再放流を認める道も残す方針だ。
再放流禁止は、生態系を破壊するとされる外来魚を減らす目的。生きたまま持ち出すことは禁止されているため、釣った場所で処理することが義務付けられる。これに対し、バス釣りでは釣った魚を逃がす「キャッチ・アンド・リリース」が一般的。再放流禁止には愛好者の間に強い反発がある。
同管理委は2003年4月に禁止指示を出すことを決めたが、当時の田中康夫知事が「有効性が明確でない」と指摘。知事には漁業法に基づいて指示を取り消す権限があることから、管理委は指示の実施を延期していた。
この日は外来魚問題を集中審議してきた小委員会が、県内の全水域を対象に禁止する案と一部水域を除いて禁止する案を示し、委員に意見を求めた。
研究者らは「一部(水域での再放流)を認めると拡散する」と全面禁止を主張。釣り人や漁協代表者の一部は「釣り人が減り、地域の観光産業への影響が大きい」などとして一部除外する案を支持した。
沖野会長はこれを踏まえ、ブラックバスとブルーギルについて県内の全水域で禁止指示を出した上で、漁協などの解除申請に基づいて同管理委が「当該水域からの拡散・逸出が防止されている」と認めた場合に解除できるとの案を示し、了承された。