年間450件以上のお産を扱っている国立病院機構・長野病院(上田市緑が丘、進藤政臣院長)は7日会見し、同病院に昭和大医学部(東京都)から派遣されている産婦人科医4人を今年度いっぱいで引き揚げるとの申し出があったことを明らかにした。4人がいなくなると産科医不在となり、医師の確保ができない場合は、出産の取り扱いの休止が懸念されている。同病院では、すでに今週から新規の分娩(ぶんべん)の予約を休止している。
進藤院長によると、先月中旬、「医局の産科指導者が不足し大学病院の診療に支障が出ている」などとして、来年3月末で引き揚げる趣旨の連絡があった。同病院ではすでに入っている7月ごろまでの分娩予約97件については責任を持って対応するという。
上田市内には長野病院のほか、上田市産院、二つの産婦人科病院が、上小地域を中心に年間1800~2000件の分娩を担当。長野病院は異常分娩などを引き受けているため、出産の取り扱いができなくなった場合の打撃は大きい。
同病院では大学側と慰留を含めて協議するとともに、関係医療機関との協力体制を取っていくという。また10日に広域連合の正副連合長会で、進藤院長の説明を受けて今後の対応を協議する。上田市の母袋創一市長は「今年8月に昭和大の教授に会って派遣の継続をお願いしたばかり。急な話に驚いている。大学側の事情を把握し、市としてどんな支援ができるか早急に検討したい」と話している。【藤澤正和】
毎日新聞 2007年12月8日