Dedicated to gojoh@machikado and chopper@seaside

Kitty Recordsで宣伝を担当していた頃よく雑誌社回りをしていた。
感じの悪いディレクターやプロデューサーの多いラジオ、テレビ局と違って編集者たちは概して僕らに優しかった。特に音楽専門誌には女性編集者が多く訪ねるのが愉しみだった。
その中でSミュージック社にはML、Y. Gと有力誌2誌があり頻繁に訪れた。女性も沢山いたのだがここは個性的、男性的、動物的(?)な方が多く、特にMLの歴代編集長はおっかなく近寄りがたかった。

そのなかでY.G.まゆみちゃん、掃きだめに鶴、砂漠のオアシス、もう可愛かった。当然僕はS社にいくと彼女の前にべったり。取材の便宜を特別にはかったり(それでTAKANAKAはY.G.の露出が多かった!?)、上田正樹のファンと聞いてはキーボー引っぱりだして酒飲みに行ったり、レコードならぬ自分のプロモーションに大忙しだった。
ある日いつもの様に彼女の前にべったり座って話をしていると背中に鋭い視線を感じた。後ろの席ではいつもアロハみたいなシャツを着ているおっさんと、若い毛唐のにいちゃんが座ってタイプライターを打っているはず。視線の痛みに耐えかねて振り返ると、にいちゃんが僕のことを睨み付けている。
なんだこいつ。じっと振りかえる僕にまゆみちゃん。「そこは国際部よ」
「ふーん。なんか暗いね」

2ヶ月程たってまゆみちゃんからTEL。
『お世話になりました。今月一杯で退社することになりました』
「えっ、なんでまた、、、」
『、、あのね、結婚するの』
「えーッ!彼氏いないって言ってたジャン」
『ごめんなさい、社内の人だったんで、内緒にしてたの』
「社内?まさかヒゲの編集長じゃないだろうね」
『やだー。国際部のピーター』
「えっ、あの暗いやつ!?」
道理でべたべたする俺を睨んでた訳だ。

それから何年かしてテレビを見ていたら、あの暗いやつがえらそうなこといいながら出てきた。憎き
ピーターバラカン!!だった。

まゆみちゃーン。幸せかい?

 

 

音楽旅日記