ロシア人豪遊 すし店貸し切り1千万円・料亭遊び2007年12月08日13時56分 富裕層のロシア人観光客やビジネス客の来日が増えている。モスクワからビジネスクラスで到着し、ホテルのスイートルームに宿泊。ヘリコプターで富士山を遊覧し、京都で料亭遊びも楽しむ。温泉付きのスキーツアーも人気だ。新潟県内のスキー場ではロシア人の宿泊客がこの5年で25倍に増えたホテルもある。
日本航空の東京―モスクワ便のビジネスクラスは、かつて日本人が大半を占めた。が、05年度から外国人が急に増え始めた。昨年度は、旅行客が目立ち始めた02年度に比べて3倍になる。現在、ビジネスクラスの外国人の8割がロシア人という便もある。11月1日の便では56席のうち55席をロシア人が占めた。 法務省入国管理局によると、ロシア人の入国者は昨年6万795人となり、02年より約2万4000人増えている。 旅行会社「ユーラスツアーズ」(東京都)によると、人気の観光地は銀座、箱根、京都、奈良など。家族連れなど個人客が多く、同社のストリグノフ・セルゲイさんは「手配した客の3割程度が富裕層」。都内の高級ホテルの広報担当者は「昨年10月ごろからロシアのお客様を見受けるようになりました。1泊数十万円のスイートルームに1週間ほど滞在するケースが多いですね」と言う。 京都では料亭遊びを楽しむロシア人観光客も出始めている。旅行会社「ジェーアイシー旅行センター」(同)の林寛之さんは「月に1回程度、問い合わせがある」と話す。 苗場スキー場のある新潟県湯沢町の苗場プリンスホテルでは、02年度に延べ人数で約60人だったロシア人宿泊客が昨年度は約1600人になった。今年度は2000人以上を見込む。朝夕食込みでリフト券付きの宿泊代金は1泊1人約2万円。スキーのほか、露天ぶろも人気。ロシアの極東地方では設備の整ったアルペンスキー場はあまりないという。 中本信幸・神奈川大名誉教授(ロシア文化)は「ロシアでは和食のレストランが増え、日本のアニメも人気。日本への関心が高いなか、天然資源の輸出による好景気が追い風となり、観光やビジネスで来日する人が多くなった」と話している。 この秋、モスクワからやって来た40代のロシア人夫婦2組が、ロシアで雇ったカメラマンと共に東京湾に面したヘリポートからヘリコプターに乗り込んだ。目的地は富士山。 ヘリコプターは山頂に接近。カメラマンはさまざまな角度からシャッターを切り、2組の夫妻は上空から初秋の富士山の雄姿を堪能した。飛行時間は約2時間。手配したユーラスツアーズによると、費用は1時間あたり30万円という。 05年11月、成田空港にモスクワから自家用ジェット機が着陸。降り立った2人の若い男女は車で銀座に向かった。高級すし店を2時間貸し切り、その日のうちに帰国した。2人の父親は、モスクワで人気のあるすしと天ぷらなどを出す日本料理のチェーン店の会長で、ジェーアイシー旅行センターは「貸し切り費用は1000万円でした」と話す。 12月7日の成田空港。ビジネスクラスにチェックインした会社経営、ピスクノーブ・ミハイルさん(35)は今年、日本とロシアとの往復が10回目となる。日本製の建設機械の輸出を手がけている。「国や地方の財政が良く、ロシアは今、建設ラッシュ。今回は人気が出ている日本製バイクの取引でモスクワに行く」。搭乗直前まで携帯電話で商談に打ち込んでいた。 11月には晩秋の日本観光を楽しむ多くのツアーが組まれた。10日の日程で友人12人と東京、京都、奈良などを回ったモスクワの会社員エレーナさん(68)は「姫路城が一番良かった。費用は約50万円。招き猫を買ったわ。インド、台湾、インドネシアにも行ったけど、日本にもう一度来たい」と話していた。 〈好況にわくロシア経済〉 ロシアは原油、希少金属、天然ガスの産出量が世界有数で、天然資源の価格高騰を背景に03年以降、国内総生産(GDP)は6%以上の増加と高い伸びを示している。モスクワでは高級ホテルの建設が相次ぎ、ロシア人富豪による英国サッカーチームの買収もあった。 PR情報この記事の関連情報国際
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