アルツハイマー病の原因とされるアミロイド斑(老人斑)を生じさせる「βセクレターゼ」の活性が、脳細胞から分泌される「シアロ糖たんぱく質」と関連していることを福島県立医科大の橋本康弘教授(生化学)らが突き止め、7日発表した。シアロ糖たんぱく質がアルツハイマー病の早期発見の目安になると期待されるという。11月30日付の米雑誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に掲載された。
アミロイド斑は神経毒性の「Aβペプチド」が沈着して生じる。沈着を引き起こす「βセクレターゼ」の活性度測定が、アルツハイマー病診断につながることは分かっていた。しかし、βセクレターゼの活性度の測定は困難だった。
研究チームはβセクレターゼが活性化すると、シアロ糖たんぱく質も増えることをマウス実験で確認。将来、脳脊髄(せきずい)液でシアロ糖たんぱく質の増加量を測定し、診断に応用できるという。また、βセクレターゼの活性化を防げばアルツハイマー病の予防につながるという。
橋本教授は「早期発見によりアルツハイマー病の進行を遅らせることができる。将来的には早期診断と特効薬で、アルツハイマー病が治るようになるのではないか」と話している。【今村茜】
毎日新聞 2007年12月8日 東京朝刊