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若い女性の間で戦国武将ブーム

12月8日(土)

歴史小説や関連商品を販売する書店。11月の開店以来、若い女性客の姿も目立つ=松本市白板

 若い女性たちが最近、戦国時代に活躍した武将たちに関心を示している。県内の書店や県内外の歴史施設によると、最近、女性の訪問が目立つ。戦国時代を題材にした家庭用ゲームや女性に人気の男性俳優が登場するドラマもきっかけのようだ。ビジネスや政治に戦国武将の知恵を生かそうとする傾向のある男たちに対し、若い女性たちは武将を理想の男性として「アイドル」のように見つめてもいる。

 「本の名前で『石田三成』と見ると、手に取ってしまう。彼にはまっているんです」。11月中旬に松本市白板にオープンした書店(本店・東京)で、長男と来店した小山佳子さん(35)=塩尻市=が楽しげに話す。ここは、歴史小説や戦国武将をあしらったタオルや携帯ストラップなどを扱う専門店。「豊臣秀吉に生涯を懸けたところに引かれます」

 学生時代は歴史に全然興味がなかった小山さん。半年ほど前、子どもと一緒に戦国武将が登場するゲームで遊んでいるうちに登場する武将にほれ込み、合戦を題材にした小説を読むようになった。城にも興味がわき、上田城跡公園(上田市)に足を運んだ。この日も城の本を購入。職場では同じようにゲームが好きな女性と、「戦国談義」で盛り上がるという。

 同店によると、もちろんお客の中心は中高年の男性だが、一定数は若い女性。製薬会社勤務の女性(25)=松本市=は、関ケ原の戦いで石田三成率いる西軍に加担した武将、大谷吉継のファン。友人の石田に従った「義理堅さ」が理由といい、関ケ原(岐阜県関ケ原町)まで足を運んだこともある。戦国武将のファンになったのはNHK大河ドラマの影響で、今は隆慶一郎著「影武者徳川家康」を読んでいる。「今日は、探していた『中巻』が見つかってよかった」と笑う。

 こうした傾向は歴史施設でも同様だ。関ケ原町で合戦の資料を展示している関ケ原観光によると、ここ数年、全国から女子大生グループの来訪が目立つという。同社の西村圭専務は「ほとんどは西軍のファン。彼氏がいないのか、彼氏と趣味が合わないのか分からないが…」。

 松代藩ゆかりの文化財を管理している長野市松代文化施設等管理事務所の原田和彦学芸員も「この1年ほど、若い女性だけのグループが訪れる。不思議に思っていたんです」と話す。

 「昔の武将の方が、よほど男っぽい。今の男性は、個性がなくてみんな同じように見える」。松本の書店に来店した市内の会社員女性(35)はぽつりと言った。