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上田の病院、産科医引き揚げの危機

2007年12月08日

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産科医を引き揚げる方針を打ち出し、産婦人科の縮小あるいは休止を検討している国立病院機構長野病院=上田市緑が丘で

 上田市を中心とした上小地域で、比較的リスクの高い分娩(ぶん・べん)も扱う国立病院機構長野病院(進藤政臣院長)の産婦人科の常勤医師4人全員が、来年7月いっぱいで派遣元の大学に引き揚げられ、出産、診療、健診など産婦人科の機能がすべて休止に追い込まれる可能性のあることが7日わかった。同病院では年間約480人が出産しており、最悪の場合、これがゼロになる。上田市では先月、市産院の院長が体力面を理由に退職したが、産科医不足が一気に加速する事態になった。(高田純一)

 長野病院によると、同病院で扱う年間約480人の分娩数は、上小地域全体の26%にあたる。研修医を含む産科医4人は昭和大学(東京都品川区)医学部から派遣されていて、11月16日に大学側から引き揚げの連絡があり、今月3日以降、分娩予約の受け付けを停止した。それまでに受け付けた97人は、来年7月の出産予定者まできちんと対応するという。

 全面的な休止になった場合、人口約16万人の同市内でお産ができるのは、市産院、上田原レディース&マタニティークリニック、角田産婦人科内科医院の3施設だけとなる。特に院長が退職して医師が3人から2人になった市産院の場合、補充ができなければ、年間約700人のお産数を500人程度に縮小することが検討されている。

 長野病院が6日に県上田保健所や上田市に引き揚げ方針を打診し、問題が表面化した。7日に開かれた上田市議会厚生委員会にも報告された。

 進藤院長は「大学側は、若い先生を指導する中堅層が少なくて支障が出ている、と引き揚げの理由を説明している。信州大や医師会などと協力して方向性を見つけたい」と話す。上田市の母袋創一市長は7日、「この問題を最優先し、まずは地域の声を大学側に届けたい」と語った。

 お産の場がさらに狭められそうな事態に、上田市などの母親らでつくる「安心してお産と子育てができる地域を作る住民の集い」副代表の桐島真希子さん(32)は「不安です。どこでお産したらいいか、さまよう人が増える。行政にはその危機感を分かってほしい」と話している。

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