経営者の高齢化などを背景に増加を続ける商店街の空き店舗を、有効活用しようという動きが大阪で広がっている。誕生会の会場として貸し出したり、放課後の小学生の遊び場として開放したり…。商店街の衰退に歯止めをかけ、活性化・再興を図ろうと、地元のNPO(民間非営利団体)や学生などの力も借りながら、子供たちや若いファミリー層を呼び込もうと奮闘している。
大阪市淀川区の三津屋商店街に今年8月、オープンしたのが「みつや交流亭」。商店街と地域住民の交流拠点を作りたいと、木造2階建ての元和菓子店を市職員労働組合の支援で改装した。
「昭和30年代」をテーマに古い家電や当時の写真を飾り、当時を知る人にとってはノスタルジーに浸ることができる内装。地元の子育てサークルのメンバーなどが常駐し、子供たち向けの絵手紙教室や自治会の会議、落語会に活用されている。
来月からは、誕生会などのパーティーの会場として貸し出す計画も。室内の飾り付けや、商店街の洋菓子店のケーキやドリンクなどが付いた基本セットを用意。ほかにも、花束や総菜、プレゼントなど商店街の各店からの出前も可能だ。同商店街振興組合の浜西正次理事長(49)は「なんでもそろう商店街をうまく活用してほしい」とPRする。
大阪府柏原市のオガタ通り商店会では、同市にキャンパスがある大阪教育大学と連携した取り組みが進んでいる。
空き店舗を改装し、昨年オープンしたコミュニティースペース「PECO」は学生が中心となって運営している。週3回、子供たちに開放し、学生らが工作の指導をしたり、商店街の地図作りのワークショップを企画するなどしている。
以前より商店街の夏のイベントで学生が音楽や踊りを披露するなどのかかわりがあり、商店街が大学側に「空き店舗を利用してみないか」と持ちかけ実現した。
商店会長の井村則夫さん(59)は「子供が集まると一緒に親も来てくれる。それに学生さんがいることで商店街の雰囲気が若返った」と喜ぶ。商店会の活動に関心が薄かった“2代目店主”の世代が活動に参加するようになったり、空き店舗に若者向けの店を誘致する計画が持ち上がったりと、“PECO効果”も出始めているという。
また摂津市の正雀本町商店街では、子育て支援を目的としたNPO法人「キッズぽてと」の協力で、親子で絵本を読んだり、休憩できるスペースを運営している。
府商店街振興組合連合会が平成15年2月に行った調査によると、調査に応じた162組合の空き店舗率は8・4%で、9年時(7・1%)より1・3ポイント増えるなど、空き店舗は年を追うごとに拡大している。前川文雄事務局長は「(商店街だけでは)常設のスペースを運営する体力はないので、学生やNPOなど外部の人の力を借りるのも一つの手法かもしれない。各商店街の試みが、新しい店やお客さまを呼び込むきっかけづくりになってほしい」と話している。
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