【ブリュッセル福原直樹】オランダ語圏(北部)とフランス語圏(南部)の対立で半年間、組閣ができない事態が続くベルギーで、国王・アルベール2世はこのほど、半年前の総選挙で敗北したフェルホフスタット前首相に、事態収拾を依頼した。同選挙で勝利した多数派が組閣に失敗したための異例の措置で、調整力に優れる前首相に、「国家分裂の回避」への期待が高まっている。
国王は、暫定内閣で残務を行うよう前首相を指名。暫定内閣には、権限がなく、来年度予算すら策定できないため、前首相は指名受諾でまず、予算や経済・治安政策を遂行できる権限を求める一方、挙国一致で両語圏の対立を解消し、新内閣の組閣を助ける意向を示したという。前首相の登場については「最後の手段」(政府幹部)「救世主登場」(有力紙)などの見方が出ている。
毎日新聞 2007年12月7日 19時43分