「話は十数年前からあった。『やっと』という感じだよ」。都築学園グループ前総長による強制わいせつ事件。県警幹部は、この事件が長年の懸案だったことを打ち明けた。
幹部によると、以前から多くの女性職員が県警に被害を訴えながら結局、解雇を恐れて泣き寝入りを余儀なくされていたという。「逮捕は被害者の勇気のたまもの」と捜査関係者は口をそろえる。
鹿児島支局時代、似たような事件を取材した。障害者施設の入所者に暴行を繰り返す園長に、ほとんどの職員は無言を貫いた。報道で事実が明るみに出た際、彼らは一様に「クビになるのが怖かった」と釈明した。
権力をかさにした内部の暴力は闇に葬られやすい。都築学園が「物言えぬ体質」から抜け出せるか、職員たちの勇気が真に試されるのはこれからだ。
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2007年11月27日