全国で九つの学校法人などを経営する都築学園グループの前総長、都築泰寿容疑者(71)=15日付で退任=による強制わいせつ事件で、事件前に複数の女性職員が都築容疑者に体を触られたなどとして、学園側に再発防止を求める文書を提出していたことが分かった。関係者によると被害者は延べ数十人に上り、県警は都築容疑者が日常的にセクハラやわいせつ行為を繰り返していたとみて調べている。
調べでは、女性職員らは被害が相次いだため今年9月、連名で抗議文書を提出した。大学構内の廊下やエレベーター内で体を触られた、などと被害に遭った日時や状況を具体的に記し、やめさせるよう求めたという。
関係者によると、都築容疑者は学園創立者の次男で「将軍さま」と呼ばれ、学園内では絶対的な権威があった。多くの役員を従えて構内を巡るさまは「大名行列」と呼ばれていたという。
県警は、逮捕容疑となった事件の被害女性が何度も被害を受けていたことを把握しており、容疑の裏付けを進めている。また、トップに意見を言いづらい職場環境で、都築容疑者のセクハラ行為がエスカレートしたとみて実態の解明を急ぐ。
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一方、14日夜の緊急理事会で都築容疑者の後任に決まった妻の仁子(きみこ)新総長(61)が15日、福岡市南区の第一薬科大で会見。女性職員らのセクハラ被害について「数年前から学園内でセクハラがあるという風評は耳にしたことがあるが、深刻だとは思わなかった。事実関係を調査したい」と述べた。今年4月に女性職員の制服がスカートからスラックスに変わったことについて聞かれると、「下半身が冷えないように頭寒足熱を勧めている」と話した。
毎日新聞 2007年11月16日 西部朝刊