都築学園グループの総長、都築泰寿(やすひさ)容疑者(71)が女性職員(23)への強制わいせつ容疑で逮捕された事件で、学園の女性職員らが都築容疑者のセクハラ行為を警戒して「総長の前では1人にならない」といった自衛策を取っていたことが分かった。被害に遭った職員から相談を受けた上司が口止め行為をした形跡もあり、県警は都築容疑者が学園トップの地位をかさに日常的にわいせつな行為やセクハラを繰り返していたとみて調べている。
調べでは、都築容疑者は昨年10月14日、福岡県太宰府市の大学構内で女性職員をエレベーター内に連れ込み、体を触ったなどとして逮捕された。女性職員は当時、わいせつ行為を恐れて別の女性職員と手をつないでいたが、都築容疑者は手を引いてエレベーター内に連れ込んだという。学園によると、事件当日は大学構内でオープンキャンパスが開かれ、都築容疑者も出席していたという。
学園の女性職員の間では、都築容疑者のセクハラ行為が事件前からうわさになっており、学園は4月に女性職員の制服をスカートからスラックスに変更したり、エレベーター内の照明を明るくしていた。一方、学園側は「制服の変更は機能性を重視したためで、照明も無関係」としている。
県警は、被害者を含む複数の女性職員が上司に相談した際、上司が「黙っていれば外に漏れない」となだめ、残業代を多く支払うなど口封じをしていたとの情報も把握しており、事実関係の解明を進めている。【河津啓介、鈴木美穂】
毎日新聞 2007年11月15日 西部朝刊