社会
3次救急施設に要請せず 姫路の急患拒否で消防
播磨地域で唯一の3次救急医療施設、兵庫県立姫路循環器病センター=姫路市西庄 |
姫路市内の男性が六日未明、救急搬送される際に十六病院から受け入れを断られ、約二時間後に搬送先の病院で死亡した問題で、同市消防局が、播磨地域の救命救急センター(三次救急)を担う兵庫県立姫路循環器病センターを、受け入れの要請先から除外していたことが七日、分かった。
男性が消化器系疾患で、脳や、心臓など循環器系疾患に特化した同センターでの対応が難しいと判断したため。同センターは麻酔科医不足で緊急手術への対応が難しいという現状も背景にあり、地域の救急患者を最終的に受け入れる「最後のとりで」の救命救急センターとしての役割が揺らいでいる。
同市消防局によると、一一九番通報を受けて駆けつけた救急隊員は、男性が吐血し、当初意識があったことなどから、消化器系疾患に対応できる二次救急医療機関を中心に受け入れを要請。しかし、手術中やベッドが空いていないことなどを理由に相次いで拒否され、受け入れ先となった赤穂市民病院への搬送途中に容体が急変、その後死亡した。
同市消防局は、姫路循環器病センターに受け入れを要請しなかった理由について、「循環器系以外の疾患はたいてい要請をしても断られる」と説明。実際、二〇〇六年度に同センターで受け入れた救急患者数四千九十四人のうち、脳や、循環器系が三千九百三十二人と96%を占めた。
県医務課によると、同センターは当初、消化器系疾患にも対応していたが、その後、循環器系疾患に特化する中で、ほかの疾患については市内を中心とする医療機関が補完する体制を取っている。
病院関係者によると、同センターでは近年、麻酔科医が激減。予定されている手術への対応に追われ、開頭など高度な緊急手術への対応も難しい状況という。
同市は、市の休日・夜間急病センター(一次救急)で対応できない救急患者を搬送するため、輪番制で「二次後送病院」を指定。そのうち外科、内科に参加している病院は現在、総合病院が六、外科七、内科六の計十九カ所で、十年前の三十八カ所から半減している。
これらの状況に救急搬送数の増加や専門医の不足といった要素が重なり、救急患者を受け入れる医療機関にしわ寄せが来ている。
今回の問題を受けて、県医務課は「現状の救急体制でよいのかどうか、改善が必要なのかを含め、検討しなければならない」と話している。
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