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生活

網走管内 結核治療の空白続く 病床整備も医師が不足… 開設めど立たず(12/07 12:07)

 【北見】北見市など十九市町村からなる網走管内で、結核の入院治療の「空白状態」が二○○三年以来、続いている。網走厚生病院(網走市)が管内で唯一、結核患者の専門病床を備えているものの、呼吸器科の常勤医を確保できないことから病床を利用できずにいるためだ。空白地帯は道内では同管内だけ。解消のめどは今も立たず、管内の結核感染者は旭川や釧路などでの入院治療を余儀なくされている。

 「総人口三十二万以上となる網走管内で、結核治療を行えず、患者に負担を強いている現状は早急に是正されなければならない」。北見医師会の会長で、古屋病院の古屋聖児院長は話す。

 網走管内ではかつて結核患者が入院できる病床は、国立療養所美幌病院(現・美幌療育病院)に五十三床、雄武町国保病院に十八床あった。だが、患者数の減少や国立病院の再編に伴い、○三年三月までに全廃された。

 こうした状況を踏まえ、網走厚生病院は○六年二月の全面建て替えを機に、結核治療専用の病床十床を整備して患者を受け入れる方針を示した。しかし、地方都市で深刻化する医師不足により、呼吸器科の常勤医の確保が難航。同病院は「道などを通じて大学病院に医師の派遣を要請している」というが、結核病床を開設できる見通しは立っていない。

 道は、高度で専門性の高い医療に対応できる「三次医療圏」を定めており、道内を六つに分けている。網走管内は、管内全体がオホーツク三次医療圏に当たる。医療法では、結核の治療拠点を三次医療圏に一カ所は確保すべきだとしているが、結核の治療体制が確保できていないのは道内ではオホーツク三次医療圏だけだ。

 網走、北見、紋別の各保健所によると、網走管内で入院治療が必要になった結核患者数は、○三年十九人、○四年十七人、○五年十三人、○六年は幼児を含む六人の集団感染が発生し、年間の感染者数は二十二人に上った。各保健所は「過去に結核を患った高齢者が体力の衰えとともに再発するケースもあり、決して過去の病気ではない」と警戒を解いてはいない。

 道は、国立療養所美幌病院の再編などで結核病床がなくなった後、国や道内の医大などに医師派遣要請などを続けてきた。だが、呼吸器科の医師は絶対数も少なく、道保健福祉部は「医師確保は今後も難しい状態が続くのではないか」という。

 網走管内のある医療関係者は「自宅から遠く離れた病院で長期間の入院を余儀なくされることは、患者や家族の負担は大きい。地域医療を守るためにも、国や道は早急に対策を講じてほしい」と話している。

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