諏訪広域連合が諏訪市四賀飯島に設置した「諏訪地区小児夜間急病センター」が、6月1日の開所から6カ月が経過した。患者数は当初予想の2倍を超える2547人に達し、窮状が指摘される小児救急の受け皿として住民ニーズに応えた形となっている。比例して診療報酬も増えており、来年度以降は市町村の負担金が必要ない可能性も出てきた。
同連合は当初、1日当たりの患者数を6.7人と予想。これに対し、6月1日から11月30日まで6カ月の1日平均患者数は13.92人で、2.08倍に達した。
地域別では、諏訪市が890人(34.9%)で最も多く、次いで茅野市775人(30.4%)、岡谷市342人(13.4%)、下諏訪町131人(5.1%)、富士見町122人(4.8%)、原村87人(3.4%)。諏訪地域以外の県内は100人で、うち辰野町が50人。県外は100人。
年齢別では、0歳360人(14.1%)、1歳463人(18.2%)、2歳293人(11.5%)、3歳339人(13.3%)、4歳291人(11.4%)など。4歳までが約7割を占める。2次救急での対応は114人(4.5%)だった。
同センターは、昨今の小児科医の不足に加え、2次救急病院に軽症の救急患者が集中し、本来の2次救急業務への支障や小児科医師の負担増大が懸念されていたことを受け、1次救急と2次救急の機能を分担し、小児救急医療体制の確保を図る狙いで開設された。
諏訪地区の3医師会でつくるセンター運営医師会が指定管理者として委託を受け、同地区の小児科、内科、信大の医師約80人が交代で勤務。おおむね15歳以下の軽症の急病者を年中無休で受け入れている。診療時間は午後7─9時。
運営には当初、看護師、事務員1人ずつを見込んでいたが、予想以上の利用を受けそれぞれ2人ずつに増員。患者が多い土・日曜日は医師(通常は1人)も増やして対応しているほか、当面はインフルエンザの流行などに備え、休日や年末年始は医師を2人体制にすることも決めた。
一方、初年度は運営経費のうち約1800万円を六市町村が負担していたが、このままの患者数が続けば来年度以降はすべて診療報酬で賄える見込みという。同連合事務局によると、採算ラインは1日の患者数14人。現時点ではほぼ採算ベースで推移している。
当初予想を大きく上回っていることについて、同連合の関公行事務局長は「他地域の事例から最初は手堅く見積もった面もあるが、広報に力を入れ、周知が行き届いたことや、住民要望に合致した事業だったためではないか」と話し、「医師会や薬剤師会、行政など関係者の協力のたまもの」と強調している。