妊婦や幼子を抱えた親が乗る場合、1割引きにする料金制度を花巻市の「花巻地区タクシー業協同組合」(筑後英孝理事長)加盟全15社(233台)が年明けから足並みをそろえて行う。妊婦・乳幼児を対象に地域全社が統一した割引制度を導入するのは全国初。協同組合と市は「子育てタクシー」として5日発表した。ところがこれに対し「全国子育てタクシー協会」(香川県高松市)は「登録商標の『子育てタクシー』の名を使うなら法的措置も辞さない」と猛反発。協同組合と市は急きょ「子育てタクシー」の名を撤回した。【石川宏】
花巻の割引制度は、低料金で気軽に使ってもらうことで子育てを応援するのが狙い。15社が8月に一斉に値引き申請し10月15日付で東北運輸局の認可が下りた。賛同した花巻市は妊婦と就学前の乳幼児6500人に「(仮称)子育てタクシーカード」を2月に発行しカード提示で割り引きが受けられるようにする。発行までは母子手帳や健康保険証を提示する。
一方の全国協会の狙いは子供の安心安全。中橋恵美子事務局長は「子供とのコミュニケーションやチャイルドシート装着などの講習受講を運転手に課しており、万一の事故に備えた特別の保険への加入も求めている。劣悪業者が『子育てタクシー』と名乗れないよう商標登録した」と説明。「料金割引だけで『子育てタクシー』と称するのなら法的措置も辞さない」とした。結局、花巻側が子育てタクシーの名を撤回した。
花巻タクシー協組の立花徳久理事は「1割引きは微々たるものかもしれないが少しでも子育てに協力できればと考えた。商標登録は犯さない」と話した。
12月6日朝刊
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