書籍「せんせぇに愛たい」発売中です♪
ブログではもう読めない期間限定テキスト他、
オリジナル特別編も収録してます。
登場人物紹介
BGM(PC限定)
。・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜
「せんせぇ…
私ね…
私…
せんせぇが思っているような
そんないい子じゃないんだ…」
「………」
俺は…
彼女が言わんとしている内容なんて、
もはやどうでもよくて…
不安と気持ち悪さで吐きそうになるのを
必死で堪えながらも、
彼女の視線から逃げまいとすることだけで
精一杯という情けない有様デシタ…
そんな虚勢をはるだけしか能の無い男に向かって、
覚悟を決めた女の張り詰めた声が、
今、まさに発せられようとしていたわけであり…
「せんせぇは私のこと、
誤解してる…
私はいい子なんかじゃない…
私は…
私は…
私はっ!!!」
「し、静香…?」
目を真っ赤にしている静香の出した
らしくない声のトーンに、
思わずビクッと体をふるわせて、
硬直する俺…(汗)
「私は…
せんせぇが思ってるような、
素直で思いやりのあるような
そんないい子じゃないっ!!
私は、私は…
嫉妬深くて…
好きな人のことも信用できなくて…
自分のことしか考えられない
嫌な人間なんだよ?!」
言い終えると、
顔を少し斜め下にそむけ、
はぁはぁと息を切らすその姿に…
こんな彼女…今まで見たことなかったから…
似たような感じは
あったかもしれないけど…
でもそれらとは何か違うっていうか、
うまくは説明できないんだけど、
いつもとはやっぱり違う、そんな気がしてさ…
そして…
思わぬことに呆然としていたのも俺だけじゃくて、
静香自身も自分のとった行動に驚いていたようでした。
俯き加減の表情にも
明らかな動揺が見て取れるっていうか…
定まらない視線に静香自身自分でもどうしていいのか
分からないといったように思えたわけであり…
まだ息が戻らないで
苦しそうな表情を見せる彼女に向かって、
「静香…」
首をゆっくりと2回ほど横に振りながら呼びかけたあと、
なるべくあまり刺激しないような優しい口調で喋ろうと
それだけは強く意識しました。
「自分のことそんな風に言うなよ?
俺はさ…
別にお前のことを誤解してないよ?
今まで何年一緒にいると思ってんだよ。
お前のいいところだけじゃない。
悪いところだって知ってる。
でも…
でもそれでも、そんなところを全部含めて、
お前のことが大好きなんだ。
嫉妬深いところも好きだよ。
それだけ俺のことを想ってくれてるってことだろ?
俺のことを信用できないってことも同じ。
それだけ懸命に考えてくれたから、
いろいろ悩んだんだろ?
ちゃんと分かってるから。
お前のことは分かってるから…
だから…
だからそんな風に自分のこと言うなよ?」
俺の本当の気持ち。
決して嘘偽りのない気持ち。
分かってくれると思った。
真っ直ぐに正直に素直に真剣に、
きちんと自分の想いを話せば、
静香は絶対分かってるくれると思ったんだ…。
だけど―――
「せんせぇは…」
それは、突然のことで…
俯いていたはずの静香が、
いきなり顔を上げて、
俺に鋭い眼光を向ける動作をしたのは…
「私のことなんか
なにも分かってないっ!!!」
え…
「せんせぇ、私、私…
せんせぇのこと疑ってたんだよ?
ううん…
本当は本当は…
今だってせんせぇのこと
信じてない…
本当は…
私のことなんて
あまり好きじゃないだろうって
そう思ってる…」
あまりにも…
予想を裏切る言葉に…
言葉が出ない…
ショック…?
いや…
そんな一言で片付けられるような
単純なことじゃない…
俺だってさ…
自分にも悪いところがたくさんあることぐらい分かってる。
そんなこと言われなくたって
分かってるさ…
泣きながら謝ってる静香を許さなかったり、
彼女の言葉尻を捕まえて追い込んだり、
本当に最低な男だなって後悔してるんだ…
でも…
でもさ、それはあくまでも…
彼女のことが好きだったから…
静香のことが好きだったから…
言い訳じゃなくて、本当に静香のことが好きだから、
男と一緒だったことに怒りが湧き上がったんだ。
いつまでも愚痴愚痴恨みがましくて、
男らしくないんだよ。
そんなウザイ男なんか大嫌いだっ!!
もしそう言われるなら仕方ないっていうか、
言い返すことなんて出来るわけないけど…
でも…
俺が静香のことを好きじゃないってことに
そういう論理になるのは納得できるるわけないだろ?!
どう考えたって…
そんなのおかしいだろ?!
「俺が…
お前のことを好きじゃない…?」
精魂枯れ果ててしまった体から
かすれ声を絞り出すのが精一杯でした。
「なんで…
なんでそんなこと言うんだよ…
俺が…
お前のこと好きじゃないって
どうしたらそんな風に考えられるんだよ?」
もう…
怒る気力すらなくて…
多分、俺の体は、
『怒り』よりも『呆れる』、
いや、それも微妙に違うかもしれない…
なんだろう…
人間じゃない、まるで物になったような感覚。
無機質な感覚とでも言おうか…
こんな感覚に占領されていたような気がする。
もはや静香と目を合わせ続ける勇気なんてなくて、
逃げるように視線をそらすと、
テーブルの下の散らかっていたテキスト類の表紙に
適当に視線をグルグルさせるだけでした。
そして…
視界の中に置時計が入って、
10時45分を指していたのを間違いなく確認したとき―――
「…生日」
ポソッと口にした静香の声に、
「え?」
よく聞き取れなくて、
は?と顔をあげると…
「私の誕生日。
覚えてる?」
静香の…誕生日…?
誕生日って…
この前の18歳の誕生日のことか…?
「私…
私ね、私…
すっごく楽しみにしてた…」
それは…
知ってる…
いつも静香は言ってた。
「もうすぐ18歳だなぁ。
楽しみだなぁ♪」
しつこいぐらいに言ってたのも覚えてる。
こんなやりとりもしたっけ。
「おいおい…
なにがそんなに楽しみなんだよ?
18歳になったからってそんなに変わんないぞ?」
20歳ならさ、お酒も煙草もOKだし、
完全な『大人』として認められるんだから、
楽しみにするっていうのは分かるんだけどさ…
18歳になっていいことってあったっけ?
パチンコ? 競馬?
ってかギャンブル関係Okになっても、
静香には全然関係ないでしょ?
ってかそんな趣味を持たれても困ります(大汗)
首をかしげる俺に対して、
ニヤっと笑いかける静香さん。
「へへへ~。
とぼけないでよ、ダーリン♪」
ってなんだぁ?!
その意味深な笑い方はっ?!
(゚Д゚≡゚Д゚)
「18歳になったら…
うふふ…
いよいよだね…?(笑)」
静香に言われて…
あっ!!!!!!
(//∇//) テレテレ
やっとのことで彼女の言わんとすることを
悟ったオッサンでした…(汗)
「お、お前なぁ…
そ、それはさ…
大学に受かってからって言っただろ?!」
そ、そうだよ…
約束したんじゃんかよ?
一緒に一泊旅行に行った静岡旅行のときにさ…(汗)
「えええええ?!
あれってやっぱ有効なのぉ?!」
あ、当り前じゃーっ!!!(汗)
(;゚皿゚)
「な、なんのための約束だと思ってんだよ…」
17の小娘の攻撃に焦る30歳オッサン…(汗)
「ちぇっ…
つまんないの…」
「ちぇっ、じゃないでしょ、ちぇっ、じゃ…(汗)」
そう…
こんなやりとりをしたんだ…
俺たちは…
静香は不満だったかもしれない。
周りの学校の友達にも、
彼氏がいる子がたくさんいるだろうし、
いろんなことを耳にしているだろう。
17~18ぐらいになれば、
それぐらい当然という感覚になってたって
全然不思議なことじゃない。
俺だって分かってる。
俺自身、静香ぐらいの年代のときに、
必死に純潔を守ってきたわけじゃないんだから…(汗)
でも…
俺と静香は…
普通の恋愛とは違うわけで…
年の差15歳。
生徒と教師。
現役高校生とバツイチ男。
なにをとっても、
世間の風は俺に冷たいわけであり…(汗)
この冷たい風を乗り越えて、
みんなに認められるような関係になるためには、
ちゃんとしていこうというのがあってさ。
少なくとも…
静香が高校を卒業して、
ある程度一人前と見られる大学生になるまでは…
それまでは我慢しようって思ってたから…
あと…
当然っちゃ当然なんだけど…
「娘に対していい加減なことするなよ?」
そういう思いでいるはずのご両親のためにも
静香に適当なことなんて出来るわけ…ない…
これらのことは静香にも話をしたし、
分かってくれてると思ってたから…
「私、ホントはね…
ホントはね…」
静香とのやりとりを思い出していた俺の耳の中に、
現実の彼女の声が突如響いてきて、ハッと我に返る。
「もしかしたら…
せんせぇ、私の気持ち分かってくれるかなぁ…
ちょっと期待してたんだ…」
「ちょ、ちょっと待てよ?!
俺、そのことについてはちゃんと説明したよね?
今年はお前も受験生だし、
来年受かったら盛大に祝ってやるからって…」
お前も…
「うん、それぐらい分かってるって。
大丈夫。せんせぇ、気にしすぎだってば」
そう言って…
笑顔を見せたじゃんかよ…
だから俺は…
「分かってる。
私がそれでいいって言ったんだもん。
前に約束したことだし、
それで仕方ないって思ったよ…
だけど…
だけど私は…
やっぱ18歳の誕生日なんて
そのときしかないし…
せんせぇに祝ってほしかった…
みんな友達は、
彼氏と一緒に旅行に入ったり、
一緒にお泊りしたり…
羨ましかった…」
「い、いや、静香さ…
あのさ…」
言いかけてた俺を、
遮って喋り始めた彼女の瞳から、
さっきまでおさまっていたはずの涙が
再び溢れ始める。
「せんせぇ…
わたし、別になにも高いものが欲しいわけじゃない…
どっか豪華なホテルに泊まって旅行したいわけでもないよ…?
ただ…ただね…
せんせぇと二人きりで…
一緒に祝ってもらいたかっただけなんだよ…?」
「い、いや…だ、だからそれは…」
そう言いかけて…
とても彼女を説得できるような言葉が思い浮かばなくて、
その後を続けることが出来なかった…
静香の言うことは…
彼女の偽らざる真実の想いであって…
今、たまりにたまっていたすべての想いを
吐き出そうとしている彼女に対して、
それを言いくるめられるだけの何かを
俺が持っているはずがないのだから…
「でもね…
せんせぇを信じようって何度も思った。
せんせぇは私のことを考えてくれてるから、
私のことを大切にしてくれてるからなんだって…
逆に喜ぶことだって、
何度も何度もそう考えたんだよ?」
そうだよ…
俺は…
お前のことを大切にしてるから…
「でも…」
「………」
「この前、喧嘩したとき、
私、自信なくなった…
せんせぇはもしかして…
私と別れたって別にいいやって
そう思ってるかもしれない。
私なんかと別れたって、
全然悲しくもないし、
全然平気なのかもしれない…
そう思うようになっちゃって…」
(_ _|||) ハァ…
くそっ…
だからさ…
だからなんでそうなるんだよ?!
アレはなんども言ってる通り、
買い言葉に売り言葉っていうか、
男女が付き合ってたら
それぐらいの言い争いぐらい普通あるだろ?!
なんでそんな単純思考になっちゃうんだよ?!
「だから違うって。
俺はお前と別れたくないし、
別れても平気だなんて在り得ないって!!
信じてないみたいだから何度も言うけどさ、
広野と仲良くしろって言ったのは本気じゃないから。
な? 信じてくれよ?」
ホントに…
頼むからいい加減、
俺の気持ちを分かってくれよ?!
そんな想いで口にしたわけなんだけど…
静香は首を横に振って、
あっさりそれを否定する―――
「せんせぇ…
私が一番ショックだったのは、
広野君のことじゃないよ…?」
「………」
「覚えてる?
私に男の子と勉強してるのかって聞いてきたとき、
最初にせんせぇが言った言葉…」
俺は…
不覚にも彼女になんと言ったのか、
すぐに思い出すことが出来なかったわけで…
俺…
なんか言ったっけ…?(汗)
思い出せねぇ…(汗)
_| ̄|○
静香は…
そんな戸惑いを見せる俺を見て、
なんと思ってるのだろう…
呆れているのだろうか…
気のせいかもしれないけど…
涙をこぼし続ける静香の表情が、
一瞬、物凄く冷めたように見えたような気がした。
そして―――
「せんせぇ…
『お前が望んだんなら、
それでいい…
もういいんだ…』
そう言ったんだよ…?」
言われて…
言われて初めて、
「あっ!!」と思った俺がいる…
そうだ…
確かにそう言った…
あまりのショックで、
静香の真意を確かめる前に、
そんなことを口にしてしまったわけで…
「私ね…
これを聞いたとき、
ああ、せんせぇは、
いつ私と別れても平気なんだなって思った。
本当に私のことを好きでいてくれたら、
こんなに簡単に別れてもいいなんて言うわけないもの。
だから…
せんせぇは私に手を出さないんじゃないかなって…
私に手をだして責任を取らされることになったら、
怖いから…
もしかしたらそれがせんせぇの本音かもしれないって…
そう思うようになって…」
完全に負けたと思った。
別に勝負してたわけじゃないけど、
静香の言うことに言い返せる自信もないし、
彼女にそう言われて当然だと思った。
すぐに諦める俺の悪い癖。
嫌なことがあると、どうでも良くなる悪い癖。
心にも思ってもいなことを言ってしまう悪い癖。
美沙のときも…
これで失敗して、
悲しい想いをしてきたというのに…
今、また、同じ過ちによって、
自らの手で自らの幸せをぶち壊そうとしている…
俺は…
一生、この繰り返しなんだろうな…
よく言えば『さっぱりしてる』
悪く言えば『すぐに投げ出す』
『諦め』かけた瞬間でした。
【お知らせ】
次回から通常更新の予定でしたが、
もう1回だけ24時間続きます(汗)
スミマセン…
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携帯からご覧の方はPC専用ブラウザをご利用頂ければ、
外部リンクに飛ぶことが出来ます。
【問題】
次の24時間の後はしばらく通常更新の予定です。
いや、ホントだって。間違いないって(汗)
ということで、次回24時間の公開日時はといいますと…
■いたいです…
2人の… 両方の言葉と気持ちが痛いです。
ヤキモチを妬きすぎる自分が嫌いで そのことで大好きな人に面倒だと思われるのが怖い… って思うことがあります。
何か… 色々思い出しちゃって痛くなりました。