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世界の論調批評 

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。特に覇権国アメリカの評論は情勢をよく追っています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察します。

NPO法人岡崎研究所 理事長・所長 岡崎久彦


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イラク情勢好転 [2007年11月21日(水)]
最近のイラク情勢の好転について、11月21日付ニューヨーク・タイムズはThomas L. Friedmanの論説を、ワシントン・ポストはDavid Ignatiusの論説を載せています。

フリードマンは、先は見えないが、イラク問題という「厚い壁に割れ目が生じた」ことは間違いがないと指摘し、こうした時にライスがパレスチナ問題などに関わっているのは、まるで家が燃えているのに消防隊が樹上の猫を援けに行くようなものだと批判、その上で、アメリカが政治介入をするとすれば、その目的は、正式な和解の達成よりも、米軍の大幅撤退が可能になるような暫定合意を追求することにある、と言っています。

ワシントン・ポストは、既に数日前の社説で、フリードマンと同様、アメリカは今こそ外交努力をイラク国内和解に注ぐべきだと論じており、イグネイシャスは、ここではイラク問題についての現状分析と見通しを述べています。

イグネイシャスは、成功の原因は、アルカイーダの戦略があまりに過激なためにイラクでは失敗したこと、そしてイランが介入を控えていることにある、と述べ、しかしイランの抑制は、米軍撤退を促進するための戦術的な動きかもしれない、と警告を発しています。その上で、ブッシュ政権はこの機会を捉えて、早く事態をイラク側のコントロール下に移すよう努めるべきだ、と言っています。

ペトレイアスの増派作戦の成功によってイラクの軍事情勢が好転したことは、ついにニューヨーク・タイムズまでが、フリードマンの論説という形ではありますが、認めるようになり、さらに、米政府は、他の問題はさしおいても、この機会を捉えてイラク国内の政治的和解に外交的努力を傾注すべきだ、ということでも、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの主張は一致することになりました。従来の立場から言って、ブッシュ政権にもこれに反対する理由はないはずであり、北朝鮮政策の優先順位にも影響が出てくるかもしれません。

ただし、両紙とも、イラク政策の目的は米軍の撤退にあるという民主党系の主張は譲っていない、と言うよりも、前提条件となっています。

Posted by NPO法人 岡崎研究所 at 15:47 | イラク | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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