NHK大河ドラマ「風林火山」がクライマックスを迎えている。九日放送はいよいよ、武田信玄と上杉謙信の両雄が激突する「死闘川中島」だ。
ドラマの主人公は、信玄に天下取りの夢を託した孤高の軍師・山本勘助。その生涯を通して、戦国の乱世を生き抜いた人々の愛と夢を壮大なスケールで描いてきた。世に名高い川中島の合戦では、勘助の献策した戦法が見破られ、責任を取って自ら敵陣に突っ込んでいく。
軍師といえば、「三国志」に登場する、劉備が三顧の礼で迎えた諸葛孔明がすぐ頭に浮かぶ。日本の戦国時代では、山本勘助のほか、今川義元に仕えた太原雪斎、豊臣秀吉に仕えた竹中半兵衛、黒田官兵衛らの名が上がる。
「軍師・参謀」の著者である小和田哲男・静岡大教授によると、軍師はもともと占いや加持・祈祷(きとう)を行う陰陽師(おんみょうじ)的な存在だったという。それが、戦国時代半ばごろから「軍事面だけではなく政治面にも発言力をもつ参謀が登場してきた」と指摘する。
今様にいえば、リーダーを支えるブレーン、知恵袋といえようか。小泉政権における飯島勲秘書官の存在は無視できなかった。対照的に、安倍政権の場合は「チーム安倍」がうまく機能せず、迷走の末、瓦解した。
福田政権には果たして“名軍師”は存在するのか。参院審議入りした新テロ対策特別措置法案の行方もまだ不透明だ。