人件費コストがやたらと低く押さえられ、医薬品コストの高い日本:米国内科学会論文をみて
上図は何だろう?
答えは、OECD各国の医療費支出データ
Recent data are available only for 26 of the 30 Organization for Economic Co-operation and Development (OECD) countries. Source: Congressional Research Service based on OECD Health Data 2006 (October 2006).である。
日本の医療費は決して高い部類ではないのである。
因みに、米国内での内訳
を見ていただきたい。薬剤コストは10%である。
Annals of Internal Medicine誌で3つのパートに分けてアメリカの医療問題について解説
Achieving a High-Performance Health Care System with Universal Access: What the United States Can Learn from Other Countries
Ann. Int. Med.1 January 2008 Volume 148 Issue 1
表題はUniversal Accessであり、12の先進国を比較した部分があるそうで・・・日本の皆保険に関して考察するには良い材料だろう。・・・この文献を詳細に検討と思う。
鍵となる医療統計の国際比較
日本の特徴は出生率が低く、出生時余命が長く、高齢化率が高く、肥満者の割合が少ないが、喫煙率が高い、臨床医が少なく、入院ベッド数が多く、人口あたりのMRIの数がやたらと多く、医療支出がやたらと少ない。にも変わらず、医療費当たりの薬剤コストが先進国のなかで飛ぶ抜けて高い!
日本の医療従業者のコストは異様に低く見積もられているのである。
OECD各国に比べ入院患者数が異常に多く、検査機器も多い・・・すなわち、仕事量は異常に多いのに、人件費を異常に低く設定されている日本の医療従業者たち
日本の医療従事者たちはおとなしすぎる・・・この不当な労働条件の上では医療事故など不足な事態が生じるのは当たり前なのである。
医療事故を当事者の責任だけにして、当事者の責任だけに押しつけようとする、民事・刑事とも厳罰を与えようとする制度、、「国の組織」として「医療安全調査委員会」)「診療関連死における事故調査組織のあり方」)が今立ち上がろうとしている。
それに対して、恐ろしいことに、日本医師会はむしろ積極的なのである。
最低レベルの労働安全環境にしておいて、それはないだろうというのが実地医家のほとんどがおもうことではないだろうか?医師だけでなく、全医療従事者も人ごとではないであろう。
医療事故は決して一人の怠惰だけによるものではない、にもかかわらず、「謝罪マニュアル」という安直な対応をとろうとする公的病院・・・
歴史的これほど追いやられている業種ってのは他にあったのだろうか?
この論文の締めに、“米国の医療は多くの長所をもち、他国を凌駕するものが多い。だが、医療保険制度の適切なカバーと上質な経済上手段により、最新の技術や最良なケアを受けることできるのである。しかし、USの医療システムは不十分で、一貫性がないシステムである”とその欠点を指摘している。
日本の経済諮問会議は米国医療こそ最良の医療であるという嘘八百を国民に吹聴しつづけてきている。そして、医療崩壊が加速しているのである。さらにそれを加速する司法・行政による偏った介入がそれを致命的なものとしようとしているのである。
上図のような
医療の質(安全、協調的ケア、患者中心のケア)・アクセス、有効性、平等性、健康生存、一人あたりの費用など米国は最低の医療体制といえるのである。・・・にもかかわらず、リース会社の社長をハジメとする経団連は、この効率の悪い医療制度に移せと強引にのたまうのである。
医師たち、看護師たち、薬剤師たち、OT・PTたち、放射線技術者たち、MEの人達、医療報酬請求業務・窓口業務のひとたち・・・医療従事者たちは、この日本の事態をいかるべきなのである。
最近、医師会活動を外から見ることが多くなったが、客観的に見ると、医療従事者の代弁機能を果たさず、なんか政治家と政治ごっこをして、結局、開業医・勤務医・看護師・他の医療従事者の健常な勤務を阻害さえしている日本医師会
"厚生労働省”なのに、医療従事者の労働条件をさらに悪化させようとする支離滅裂な行政
武田製薬・大正富山製薬などの構成メンバーの経団連による政治的活動による、公的医療制度破壊活動・言動と、関連するであろう医薬比率の異常なる高さ
あいもかわらず、テレビドラマによる醜悪なる医師像創造し、一般民衆を"医者=悪者”と印象づけしたがるメディア・・・
by internalmedicine | 2007-12-05 08:39 | 医療一般 | Trackback