スイス・ジュネーブ(AP) 当地を拠点とする非政府組織「居住権立ち退きセンター」(COHRE)は、中国が来年の北京五輪の準備で、毎月1万3000人の住民を立ち退かせていると報告した。
COHREは北京で現地調査を行った結果、北京五輪開幕までに推定150万人が立ち退くという予想を確認した。今年6月の時点で家を負われた人々は125万人に達し、8月にはさらに立ち退きが進行していたという。
中国政府はCOHREが立ち退き人数を水増ししていると主張し、住民から補償金への不満も出ていないと述べている。しかしCOHREの関係者は、国内の抗議行動や国際人権団体の非難をよそに、北京市や北京五輪組織委員会が立ち退き計画を進めている、とコメントした。
COHREによると、北京市は今年9月、豊台区の老朽化した建物数棟を取り壊した。「原告団の村」と呼ばれる現場には中国各地から何千人もの人々が集まり、政府の強引な土地接収や住民立ち退き、汚職に抗議している。
COHREはまた、北京市内の低所得者層が遠隔地に移動させられた結果、交通費の出費が増加し、一層貧困を招いている問題を指摘。立ち退きまでの時間の余裕や補償金を住民にほとんど与えないなど、手続きの強引さも問題だとしている。