学校の隠蔽体質批判 国調査委員ら「子の叫び、とらえて」 筑前・中2自殺 /福岡県
筑前町の三輪中学2年の男子生徒(13)がいじめを受けたという遺書を残して自殺した問題で、25日に同町であった文部科学省と政府の教育再生会議の聞き取り調査では、学校や町教委からの情報提供が少ないことを指摘する声が上がった。聞き取り会場では、生徒の両親が友人に託された「本当にいじめはあった」と訴える手紙を朗読する場面もあった。
聞き取りは非公開で約3時間に及んだ。合谷智(ごうやさとし)校長や町教委の担当者、遺族から話を聴いた。
調査後、報道陣の取材に応じた教育再生会議の義家弘介委員は「情報が遺族に十分説明されていないと強く感じた。情報がどこでせき止められているか分からないが、教育行政の構造上の問題を考える必要がある」と苦言を呈した。
山谷えり子首相補佐官(教育再生担当)は学校側の姿勢を「なぜ隠蔽(いんぺい)体質になるのか。子どもの悲痛な叫びをもっと受け止める感受性が必要だ」と批判した。
文科省の小渕優子政務官は「自殺に結びつくまでの段階で、どのようないじめがあったのか明らかでない。現段階ですべての答えを求めるのは難しい。まだ始まりだ」と話した。
生徒の自殺をめぐっては、学校が在校生を対象にしたアンケートについて、遺族の意をくんだ設問内容になっていなかったほか、学校と町教委は、16日の会見を最後に報道機関の取材に応じていない。
義家氏は「いじめは地下に進行して発見しにくくなったが、いじめ(かどうか)の線引きが先生によってバラバラ。その『線』を示さなければ、子どもはおびえながら成長しないといけない」と主張。「線引き」の見直しを含めて再生会議で教育全体の改革を目指す考えを示した。
聞き取り調査の最後に、両親は生徒の友人から届いた手紙を朗読したという。早期の真相解明を求める内容だ。
「本当にいじめはあったのです。私は知っています。みました。だから学校も本当のことを言ってほしい。これ以上つらく悲しい思いをするのはいやです」
両親と会った義家氏は「息子の死についてすべてを話すのがどれほどつらかったことか。『二度と起こさない』という強い意志が強く心に響いた」。山谷氏も「『真相を究明してほしい、国はかかわってほしい』という言葉を強く刻んで、教育再生会議で具体的な解決策を議論したい」と述べた。
●専門者会議開き早期発見策探る 県教委が初会合
県教委は26日、学校でのいじめの早期発見について臨床心理士らが話し合う「教育相談等専門者会議」をつくり、初会合を開いた。
同会議は林幹男・福岡大教授(教育・臨床心理学)ら6人で構成。この日は、県教委が筑前町で中学2年の男子生徒が自殺した問題の概要や、学校側が取り組むいじめの早期発見策を説明した。
県義務教育課によると、委員から「家庭でもいじめに気付くチェックリストが必要では」「教師がより生徒の立場に立つ姿勢が重要だ」などの意見が出た。この日の意見は市町村教委を通じて、各小中学校に伝えるという。
【写真説明】
自殺した生徒の遺族との面会を終えて会見する小渕優子・文科政務官、山谷えり子・首相補佐官、義家弘介・教育再生会議委員(右から)=25日、筑前町で
朝日新聞 10/27
筑前町の三輪中学2年の男子生徒(13)がいじめを受けたという遺書を残して自殺した問題で、25日に同町であった文部科学省と政府の教育再生会議の聞き取り調査では、学校や町教委からの情報提供が少ないことを指摘する声が上がった。聞き取り会場では、生徒の両親が友人に託された「本当にいじめはあった」と訴える手紙を朗読する場面もあった。
聞き取りは非公開で約3時間に及んだ。合谷智(ごうやさとし)校長や町教委の担当者、遺族から話を聴いた。
調査後、報道陣の取材に応じた教育再生会議の義家弘介委員は「情報が遺族に十分説明されていないと強く感じた。情報がどこでせき止められているか分からないが、教育行政の構造上の問題を考える必要がある」と苦言を呈した。
山谷えり子首相補佐官(教育再生担当)は学校側の姿勢を「なぜ隠蔽(いんぺい)体質になるのか。子どもの悲痛な叫びをもっと受け止める感受性が必要だ」と批判した。
文科省の小渕優子政務官は「自殺に結びつくまでの段階で、どのようないじめがあったのか明らかでない。現段階ですべての答えを求めるのは難しい。まだ始まりだ」と話した。
生徒の自殺をめぐっては、学校が在校生を対象にしたアンケートについて、遺族の意をくんだ設問内容になっていなかったほか、学校と町教委は、16日の会見を最後に報道機関の取材に応じていない。
義家氏は「いじめは地下に進行して発見しにくくなったが、いじめ(かどうか)の線引きが先生によってバラバラ。その『線』を示さなければ、子どもはおびえながら成長しないといけない」と主張。「線引き」の見直しを含めて再生会議で教育全体の改革を目指す考えを示した。
聞き取り調査の最後に、両親は生徒の友人から届いた手紙を朗読したという。早期の真相解明を求める内容だ。
「本当にいじめはあったのです。私は知っています。みました。だから学校も本当のことを言ってほしい。これ以上つらく悲しい思いをするのはいやです」
両親と会った義家氏は「息子の死についてすべてを話すのがどれほどつらかったことか。『二度と起こさない』という強い意志が強く心に響いた」。山谷氏も「『真相を究明してほしい、国はかかわってほしい』という言葉を強く刻んで、教育再生会議で具体的な解決策を議論したい」と述べた。
●専門者会議開き早期発見策探る 県教委が初会合
県教委は26日、学校でのいじめの早期発見について臨床心理士らが話し合う「教育相談等専門者会議」をつくり、初会合を開いた。
同会議は林幹男・福岡大教授(教育・臨床心理学)ら6人で構成。この日は、県教委が筑前町で中学2年の男子生徒が自殺した問題の概要や、学校側が取り組むいじめの早期発見策を説明した。
県義務教育課によると、委員から「家庭でもいじめに気付くチェックリストが必要では」「教師がより生徒の立場に立つ姿勢が重要だ」などの意見が出た。この日の意見は市町村教委を通じて、各小中学校に伝えるという。
【写真説明】
自殺した生徒の遺族との面会を終えて会見する小渕優子・文科政務官、山谷えり子・首相補佐官、義家弘介・教育再生会議委員(右から)=25日、筑前町で
朝日新聞 10/27