二年に一度の診療報酬改定論議が大詰めを迎えている。大切なことは、医療の質を落とさないようにする一方、無駄を排し、従来よりも報酬を病院へ厚く盛るなど配分の見直しを徹底的に行うことだ。
診療報酬の改定率は二〇〇二年度から〇六年度まで三回連続してマイナスを記録し、特に〇六年度は3・16%と大幅な引き下げだった。
それだけに〇八年度では引き上げを求める診療側の声は強い。
次期改定について厚生労働省社会保障審議会の部会が「(医療現場の)厳しい現状を認識する必要がある」と基本方針で引き上げを促したのはこのためだ。
政府が今月下旬の予算編成過程の中で改定率を示した後、中央社会保険医療協議会(中医協)が具体的な診療報酬点数の設定作業を始める。
基本方針が指摘するまでもなく、産科や小児科をはじめとする病院、特に公立病院の勤務医の過酷な勤務状況は、頻発する診療休止などを通し、一般国民にも知られてきた。
これ以上、放置していては安心して出産・育児に取り組めない。これらの診療科の負担を軽減し、病院が安心して診療を続けられる体制にする必要がある。そのためには報酬引き上げはやむを得ない。
必要な財源をどう賄うか。報酬全体の引き上げは選択肢の一つだが、財源に限りがある以上、それだけに頼ることはできない。
医療費の五分の一を占める医薬品について、先発品よりも価格の安い後発品の使用促進を図るなど、まず無駄の排除が必要だ。同時に、従来の報酬全体の配分を見直すべきだ。
従来、報酬体系は病院よりも診療所(開業医)を優遇してきた。
少しずつ是正されてきたが、まだ不十分だ。勤務医に比べ開業医の収入が依然高額であることがそれを示している。勤務医をやめて開業する医師が増えているのはこのためだろう。診療所の初診・再診料などを引き下げ、その分を病院に回し、医師や看護師などが安心して業務に専念できるようにしたい。
地域医療に真剣に取り組んでいる診療所は少なくない。それにはきちんと報いなければならない。〇六年度改定で「在宅療養支援診療所」を優遇する報酬改定がなされたが、今後さらに在宅医療が増えることが予想される以上、その報酬引き上げも欠かせない。
救急病院などに症状の軽い患者がかかるのを減らすために、診療所の休日や夜間など時間外診療の報酬は引き上げたい。
報酬改定で強く求められることは、めりはりのある配分である。
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