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2007年12月6日

 落ち葉の季節も終わりに近い。どこから飛んできたのか師走の風に舞って道端に吹きだまり、ビルの中にまで迷い込む

本紙「きょうの言葉」筆者の秋庭道博さんの名は「秋の庭をどう掃く」という意味のペンネームだ。落ち葉に一家言あるのは言うまでもなく「放っておくのもよし、次々と掃き清めるのもよし」と達人の境地である

小松市の古刹(さつ)で豪州の女子大生二人が庭掃除で修行中という。「掃けば散り、払えばまたも塵(ちり)つもる、人の心も庭の落ち葉も」(詠み人しらず)。秋庭さんらしい言葉を日本の無常観や季節の美しさを学ぶ二人に贈りたい

落ち葉の人生訓はそのくらいにして現実の話を。「焚(た)くほどは風がもて来る落ち葉かな」の有名な一句があるが、今や環境問題で焚き火ができる庭はない。バリ島で開催中の気候変動会議の重要課題は森林対策である。森林伐採が地球温暖化に拍車を掛けているからだ

発展途上国の伐採を止めると雇用が奪われ貧困を招く。そこで先進国が補てんする。日本の負担も相当な額になる。木の葉がお金に化けるのも環境問題の一断面である。自業自得。人類に課せられた新たな修行だ。


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