昨年の夏。このコーナーで、原油高騰に打ち勝ってほしいと地場企業にエールを送りました。
オイルショック、バブル崩壊、円高不況…。日本経済は戦後、数々の苦難を乗り越えて「倒れないしたたかさ」が蓄積されているはずと。
当時、ガソリン価格は一リットル百四十円台前半。それが、一年ちょっとでここまで上がるとは思いませんでした。
一日朝、岡山県内でも主なガソリンスタンドが一斉に値上げ。十一月に記録した最高値をあっさりと更新する「157円」の看板は、衝撃的でもありました。
十一月に相次いで発表された地場上場企業の中間決算では、利益の伸び悩みが目立ちました。一番の要因は原油高騰や、原材料価格の上昇。来年三月期決算には、さらにずしりと響きそうです。
冬のボーナスシーズンですが、消費者マインドに及ぼす影響も心配されます。財布のひもが固くなれば、景気への影響も少なからずあるでしょう。年末年始に遠出を控える人が増えれば、観光地の客足も鈍りかねません。
ただ、逆に必要とされる商品やビジネスもあります。例えば、カー用品店で目立つ「燃費向上グッズ」。ほかにも、環境面への配慮と相まって、廃木材などバイオマス(生物資源)を燃料としてビジネス化する取り組みが岡山県内でも各地で進んでいます。
嘆いても、原油価格が下がるわけではありません。いま、そして三年後、五年後に求められるものは何か。荒波を乗り切る発想の源は、時代が変わっても同じはずです。
(経済部・大森知彦)