出産時に支給される一時金を支給したように見せかけて虚偽の記載をしたとして、東金署は3日、大網白里町都市整備課主事、大多和直幸容疑者(29)=白子町関=を公電磁的記録不正作出・同供用の疑いで逮捕した。
調べでは、大多和容疑者は国民年金課に勤めていた06年8月から今年3月にかけて、同町役場の住民記録オンラインシステムを使用して、住民基本台帳データなどの事務処理に使うパソコンのハードディスクに、14人分の出産育児一時金(30万〜35万円)を支給したように虚偽の記載をした疑い。計460万円の行方が分からなくなっていることから、大多和容疑者が流用した可能性もあるとみて、調べている。
大多和容疑者が逮捕された3日、堀内慶三町長らが記者会見した。昨年に続き2度目の職員逮捕に、堀内町長は「引き続き信頼を裏切り申し訳ない」と頭を下げた。
町の説明では、昨年度支出された出産育児一時金(30万〜35万円)と葬祭費(5万〜7万円)のうち、同容疑者が扱った21人分計507万円が、実際には町民に渡っておらず不明だという。同容疑者は町の調査に「時間がたち記憶にない」などと事実を認めていない。
問題が発覚したのは今年5月、国保税などの滞納者への調査がきっかけだった。健康保険から出産育児一時金を受け取っていた14人に、記録では国保(町)から二重に支払われたことになっていた。健保から国保に加入して6カ月以内の出産は、以前の健保から給付される仕組みだが、14人とも半年より前に国保に移ったことにされていた。町のシステムは、社会保険庁と連動しておらず、健保、国保の「二重払い」に気づかなかったという。
出産育児一時金は申請を受け、窓口で現金で渡される。申請書類の半分ほどは同容疑者の筆跡だが、同容疑者は町の調べに「町民の依頼で書いた。窓口で虚偽申請されたのでは」と話している。
しかし、二重に受け取ったとされた町民は、申請した覚えがないという。葬祭費の町民7人も受け取っておらず、うち6人は申請もしていなかった。
同容疑者が調査(6月)で、認めなかったため、町は「罪名がわからない」として東金署に「被害報告」を出していた。