徳島放送局

2007年12月5日 21時39分更新

刑務所医療「適切な措置を」

徳島刑務所で受刑者による刑務官への集団暴行があった問題などを受けて、刑務所の運営について第三者の立場から意見を述べる「視察委員会」が5日会見し、「刑務所の医師の行為は一般の医療水準にかなっていないと推測される」として、迅速に適切な措置をとるよう要請する意見書を提出したことを明らかにしました。
刑務所の「視察委員会」は名古屋刑務所で受刑者が虐待されていた事件を受け、法律に基づいて全国の刑務所ごとに設けられた組織です。
弁護士会や地元町内会、それに医師会などの代表4人でつくる「徳島刑務所視察委員会」では、11月16日に徳島刑務所で20人以上の受刑者が集団で複数の刑務官に暴行を加えた問題などを受け、5日、緊急に会見しました。
この中で委員長の松原健士郎弁護士は、ことし6月に刑務所を視察した際に受刑者から提出された文書のおよそ8割を「頭が痛いと言っても、いきなりこう門に指を入れらてた」などといった医療に対する苦情が占めたことを明らかにしました。
そのため徳島刑務所に対し担当医師を指導するよう求めましたが、刑務所側は一貫して「医師による不適切な医療行為は認められなかった」と答えていることなどから、あらためて適切な措置をとるよう強く要請する意見書を、4日徳島刑務所に郵送したということです。また意見書では、刑務所では「受刑者が過剰収容などによるストレスから精神的、身体的障害が発症し、刑務所職員に対する反発が起きることも考えられる」として、過剰収容の改善や、刑務官の増員なども要請しています。
視察委員会では今年4月に法務大臣に提出した報告書の中でも刑務所の医療について「患者への説明と合意に基づく医療という現在の常識からはかけ離れた医療が行われている」として早期に対策を取るよう求めたということですが、刑務所側は「診療の際には必ず受診者に説明するなど配慮している」などと答えたということです。
松原弁護士は「これまでの委員会の報告に刑務所が耳を傾けていたら、刑務官に対する暴行もなかったかもしれない。
刑務所が今回の意見書に対してもこれまでと同じような対応をとるなら法律を無視した態度と言わざるを得ない」と話しています。
視察委員会の意見に対し、徳島刑務所の高橋広志総務部長は「真摯に受け止め、今後は徳島刑務所の医療体制を含めた医療のあり方について再点検し、適正な医療の確保に努めたい」と話しています。