「そんなの関係ねえ」口走り乱入 南船場の郵便局強盗 |
大阪市中央区の大阪南船場一郵便局に男が押し入り、現金約140万円を奪って逃走、通行人や局員が刺された事件で、強盗の現行犯で逮捕された住所不定、無職、南澤聡容疑者(43)が「刑務所を出たばかりで年を越す金がなかった」と供述していることが26日、分かった。府警は強盗殺人未遂容疑に切り替えて動機を追及する。
調べでは、南澤容疑者は下着のパンツだけを身につけ上半身裸で、顔はマスクとサングラスで変装。長髪のカツラの上にキャップをかぶり、包丁と果物ナイフを持って玄関から局内に侵入した。ATMで記帳していた女性客(44)を羽交い締めにして包丁を突きつけ、局員に「金を出せ」と脅したという。
刺されたのは、元警察官の団体職員(69)▽郵便局の課長代理、安井健一郎さん(40)▽建設作業員、高崎秀仁さん(38)−の3人で、団体職員は左胸を刺され重傷。
郵便局近くで事件を目撃した男性会社員(33)によると、南澤容疑者は南の方向から自転車で現れた。郵便局を通り過ぎ、約20メートル離れたところに自転車を止めるとスキップを踏んで局内に入ったという。男性は「内またでサングラスをかけ、パンツ1丁の姿。何か変な人がいるな、と思っていました」。
「宝くじ売ってないか」「そんなの関係ねえ」などと口走りながら郵便局に押し入った南澤容疑者。やがて中から局員らの怒号が聞こえた。間もなく、南澤容疑者は袋に札束を入れて局内から飛び出してきた。
「強盗だ。捕まえてくれ」。追った3〜4人の局員らがカラーボールを投げつけたり、持っていた棒で殴りつけると、南澤容疑者はポリ袋を振り回し奪った札束を落とした。同時にカツラも落として丸刈り頭に。カラーボールの塗料で全身を黄や赤に染めた異様な風体のまま西へ走り、堺筋に出ると今度は南へ。
周囲のサラリーマンたちも追跡に加わり、10〜20人の集団が南澤容疑者を追った。自転車で通りかかった団体職員の男性が取り押さえようとしたが胸部を刺されて倒れ込んだ。
堺筋の西側の工事現場で休憩中だった高崎さんは騒ぎを聞きつけて堺筋を横断、逃げる南澤容疑者を羽交い締めにしたが、右足を刺された。
南澤容疑者はそのまま市営地下鉄堺筋線へ続く階段を下り、改札口を突破。ホームに下りると、ちょうど入線してきた電車のドアが開き、5両目に飛び乗った。不気味な姿に乗客たちは一斉に車内から飛び出したが、逃げ遅れた男性が刃物を突き付けられ、人質に。男性がすきをみて逃げ出すと南澤容疑者は刃物を座席に置き、観念した。駆け付けた南署捜査員が車内から引きずり出し、強盗の現行犯で逮捕した。
取り押さえに協力した男性会社員(32)は「無我夢中でした。みんなで追いかけていたので怖さは感じなかった」と興奮冷めやらぬ様子だった。
(2007/11/27 09:03)
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