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北海道洞爺湖サミット
自然環境に高評価 8月視察の海外メディア 「経済厳しい」指摘も
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有珠山の展望台で取材する海外メディアの特派員ら=8月30日 |
来年七月の北海道洞爺湖サミットに向け、開催地・北海道と洞爺湖周辺に対する在京海外メディアの関心が高まっている。海外メディアは北海道をどう評価し、何を伝えるのか。八月末に行われたプレスツアー参加記者の報告記事から探ってみると−。
同ツアーは、海外メディアを支援する「フォーリンプレスセンター」(東京)が一泊二日で実施。十の国と地域の新聞社やテレビ局から十七人が参加し、主会場のザ・ウィンザーホテル洞爺(胆振管内洞爺湖町)や後志管内ニセコ町などを訪問した。同センターによると、七社がツアーの取材を基に記事を掲載した。
ほぼ全社の記事に共通していたのは、洞爺湖を「北海道の宝」と評するなど、道内の自然環境や景観への評価の高さだ。
「聯合早報」(シンガポール)は「冷地“熱”起来」(寒冷地が熱くなってきた)の大見出しで、一ページの大半を割いて自然環境やサミットの準備状況などを紹介。地球温暖化問題を背景に「酷寒地の価値はますます上がっている」とし、北海道でのサミット開催は温暖化問題を再考する意味を持つなどと指摘した。
オーストラリアのスキー客ら外国人観光客が急増するニセコ地域についての記述も目立った。「中国時報」(台湾)は、コンドミニアムが立ち並ぶ街並みを「日本だということを忘れそうになる」と紹介。地元すし店で外国人一家が一回に四、五万円を使っていくなどのエピソードを交え、活況ぶりを伝えた。「金融時報」(中国)もオーストラリア人投資家の増加で「地価が一坪(三・三平方メートル)六十万円に達し、当地の歴史上かつてない価格」と驚きを持って報じた。
一方、厳しい道内経済への言及も。「ダッカ・コリエー」(バングラデシュ)は景気低迷から、道が当初はサミット開催地への立候補をためらったと指摘。中国時報はザ・ウィンザーホテル洞爺の前身が約七百億円かけて建設され、拓銀破たんで一度は閉鎖に追い込まれた「バブル経済の象徴」とした上で、地元にはサミットを経済活性化につなげようとの期待感が高まっていると伝えた。
各社とも、高橋はるみ知事の発言を紹介しているが、印象や言葉の受け止め方はさまざま。聯合早報は「知事は白いスーツ姿で、白い肌は冬の雪のようだった」と、北海道の女性知事にふさわしい表現を選んで報道。独特の視点が際立ったのは「韓国経済新聞」のコラムで、知事が韓国人観光客の増加に謝意を述べたことを踏まえ、「北海道の住民らは今や『韓国に向かってお辞儀でもしたい心境だ』という」などと伝えた。