▽市長も3院体制存続に強い期待
呉圏域での産科医療の集約化問題で三日、呉市議会定例会の一般質問などの場で市議らが産科の病院が減ることへの不安や疑問の声を上げた。市は広島大からの医師派遣に頼る状況では「集約はやむを得ない」との立場だが、小村和年市長は取材に対し「集約化しなくても済む方向を目指し、行政も最大限の後押しをする」と強調。市内の公的三病院体制の存続に強い期待を示した。
広島県などが示した三病院の産科を二病院に減らす案に対し、下西幸雄議員(公明)が「安心して産めないとの市民の声を聞く。里帰り出産を望む妊婦に対応できるのか」と質問。「市は県や広島大に市民の悲痛な声を届けるべきだ」と指摘した。
市側は「限られた医師数で医療の質を確保するためには集約化はやむを得ない」と説明。中本克州福祉保健部長は「集約化ですべて問題が解決するのではない。安心な体制を構築するため早急に実務者で協議しなければならない」と答弁した。
この日の定例会に出席した市議らの一部は「県と広島大に押しつけられた集約化に、なぜ従わなければならないのか」「三病院体制をあきらめるべきではない」と疑問を口にした。
一般質問での市議の発言などを受け、取材に応じた小村市長は「県や広島大に呉共済病院の産科存続を再三、要望したが受け入れられなかった」と説明。「市民感情からすれば、集約化や共済病院の産科休止は安易に容認できない」と述べた。(吉村明、新山創)
●クリック 呉圏域の産科集約化
国立病院機構呉医療センター、中国労災病院、呉共済病院のうち、広島大が来年4月から呉共済病院の産科医師を引き揚げ、中国労災病院に派遣する。呉共済病院での分娩(ぶんべん)はできなくなる。県と広島大が提案し、11月末に呉市や県、医師会、公的病院などで組織する呉地域保健対策協議会が承諾した。
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