「何とか同意をもらいたかった」。3日の県議会一般質問で、古川康知事は、九州新幹線西九州(長崎)ルートの着工同意をめぐる協議が昨年1月から途絶えていた鹿島市長、江北町長と会談したことを明かしつつ、話し合いが不調に終わったことを悔やんだ。
「自治体合意」から「知事合意」へ。「政府・与党整備新幹線検討委員会が年内にも着工条件を変更する」との見通しを公言し、条件が変更された場合は「尊重する」と言い切る古川知事の言動は、着工に向け、1つ1つ布石を打っているかのようにも見える。
本会議終了後、記者団の取材に応じた古川知事は「来週にも(着工)手続きを見直す可能性が高い。その前に、ぜひとも同意をもらえないか、とお願いした」と、2日に行われた鹿島市長、江北町長との「三者会談」の趣旨をこう説明した。
会談は歩み寄ることなく不調に終わった。「仮に着工条件が変更されても鹿島、江北との協議は続けるのか」との記者の質問に、古川知事は「同意を求める協議なので条件が見直されれば協議する意味はない」と突き放した。
一方、同日、記者会見した桑原允彦鹿島市長と田中源一江北町長によると、三者会談の場で、古川知事は着工条件が変更された場合の対応について「私は既に着工に同意している。ルールが変われば(沿線自治体の意思を聞くことなく)着工するのではないか。私が判断する場面はないかもしれない」と話した。その場で、桑原、田中両氏は「地元が合意するまで杭(くい)1本打たせないとの約束を破る」と反発。両氏とも政治生命を懸けて合意しない意思を古川知事に伝えたといい、新幹線着工問題は、重大局面を迎えようとしている。
=2007/12/04付 西日本新聞朝刊=
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